Shell(シェル)は、コンピュータを使用するユーザーと実際にコンピュータを動かすOS、この2つをつなぐ重要なプログラムです。IT・システム開発の部門においてShellという用語は頻繁に使用されますが、Shellについて良くわからず困っている方も多いでしょう。そこで今回は、Shellの概要や特徴、重要な役割などを紹介したうえで、具体的な活用方法を解説します。また、混同しやすいものの1つとしてシェルスクリプトという用語もあるため、併せてShellとシェルスクリプトの違いにも触れていきます。
Shellとシェルスクリプトの役割を理解してうまく活用することで、日時を指定した自動プログラムの実行やデータ抽出の簡略化などが可能になります。しかし、今後Shellを使用したシステム開発を導入したいと考えているが、開発業務にそこまで時間や手間をかけられないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。その際は、課題やニーズに合ったシステム開発会社を紹介してもらえるサービスを利用する方法もあるのでおすすめです。
本記事でShellについて理解を深めたうえで、Shellを使用した開発業務の効率化を実現させましょう。
目次
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国4000社以上からご提案
Shell(シェル)とは
はじめに、Shell(シェル)の具体的な意味や役割について紹介します。
Shellとは、ユーザーとコンピュータのOSをつなぐ役を担う重要なプログラムの一種です。OS(オペレーティングシステム)はコンピュータを操作するにあたって様々な指令を出す基本のソフトウェアを指します。つまり、Shellはユーザーが望む動作を受け、それをOSに伝えたうえで具体的なコンピュータの動作につなげていきます。アプリケーションにおいても、操作や結果表示などの役割を担う機能をShellと呼ぶこともあります。
基本的な仕組みとして、ユーザーがAというアプリケーションを立ち上げたい場合、その指令の伝達機能がコンピュータに備わっていなければAのボタンを押したところでAは立ち上がりません。ここでShellは「Aを立ち上げる」という指令をOSに対して出します。するとOSはその指令を受け、Aを立ち上げる動作を実際に行うという仕組みです。コンピュータの分野ではこの指令のことをコマンドといいます。コマンドには様々なものがあり、上記のAというアプリケーションを立ち上げるコマンドもあれば、ロボットの動きを制御するコマンドなどもあります。
なお、より具体的な仕組みとして、Shellがこのコマンドを受けるとOSの中枢ともいえるソフトウェア「カーネル」に伝えます。カーネルはShellからの指令を受けた後、その結果を再度Shellに返します。Shellはカーネルから伝達された結果を、ユーザーがわかるように表示させる役割を果たしています。
具体的な構造は下記のとおりです。
<指令伝達の流れ>
ユーザーからのコマンド
↓
Shellがコマンドを受ける
↓
Shellがカーネルに指令を送る
↓
カーネルが指令を受け取る
↓
カーネルが指令の結果をShellに送る
↓
Shellが結果を受け取り、ユーザーに結果を表示する
このようにShellは、ユーザーとカーネルの仲介役といった大切な役割を持っていることがわかります。私たちが普段コンピュータを操作する際にコマンドに従って何らかの結果が出るのは、Shellがその役割を担っているからです。
活用方法については後述していきますが、このようなShellの性質を理解したうえでプログラムの開発を行えば、様々なコマンドを自動で実行する便利なプログラムとして業務に活用できるでしょう。
Shellとシェルスクリプトとの違いは?
プログラミングの分野で混同しやすい用語として、Shell(シェル)とシェルスクリプトがあります。
まずShellは、前項でも触れたとおり、コマンドをOSに伝達する橋渡し役のプログラムです。コンピュータの操作の際には、ユーザーの指令はShellを通じて各ソフトウェアに伝わります。一方でシェルスクリプトは、Shellが各ソフトウェアに伝える「指令ファイル」を指します。または、Shell上で実行できるスクリプト言語のことをいう場合もあります。
つまり、Aのアプリケーションを立ち上げたくてユーザーが「アプリケーション立ち上げ」のコマンドを出せば、Shellは「Aを立ち上げる」というシェルスクリプトでカーネルに指令を送ります。
シェルスクリプトを使用してShellプログラムを機能させれば、主に次のようなことが実現可能になります。
- 決まったパターンの作業のオートメーション化
- データ抽出
- 様々な業務の効率化(必要に応じてそのほかのプログラミング言語との組み合わせる)
実際にシェルスクリプトを使用してShellを作動させ、業務をシステム化しているシーンは多数あります。
同じShellという名前がつく用語ではあるものの、Shellはプログラムそのものを指し、シェルスクリプトは命令を記したファイルという解釈になります。そのため両者は名前こそ似ていますが、意味も分類も大きく異なります。Shellというプログラムを機能させるために必要な「指示書」「台本」となるのが、シェルスクリプトなのです。
Shellの種類は?
一口にShellといっても、様々な種類が存在します。もちろん種類によって特徴や性質、役割などの要素は異なるため、Shellについて理解を深める際には種類を知ることも重要です。
主な種類としては、次の3つが挙げられます。
- bash
- tcsh
- zsh
●bash
1つ目のbashは、sh系(Bシェル系)に分類されるShellにあたります。複数あるShellの種類の中でも、オーソドックスなものとして知られるプログラムでもあります。主に、UNIX系のOSに取り入れられるのが特徴です。Linuxのシステムにおいては、デフォルトとしてbashのShellプログラムが採用されています。macOSにも導入済みですので、それらの環境をお持ちでしたら利用できます。複雑なタスクを効率的にこなしたり、ログを抽出したりすることが可能です。いわゆるコンピュータにおける基本動作を担うのが特徴です。
●tcsh
2つ目のtcshも、UNIX系のOSにおいてよく採用されているShellプログラムにあたります。現在は様々な種類のShellが世に登場しており、機能面の改良を図ってcsh系(Cシェル系)が開発されました。さらにShellを利用しやすく改良を重ねたものがtcshです。もともとC言語に似た文法で構成されるプログラムのため、使いやすいという利点があります。
●zsh
最後のzshは、様々な便利機能を採用した水準の高いShellプログラムとして知られています。多くの要素においてカスタマイズ性に優れているのが特徴です。zshは、sh系とcsh系などの良いとこ取りをした万能Shellプログラムですが、機能が充実しているだけにプログラムが重たくなる傾向にあります。
Shellにはほかにも様々な種類のプログラムがあります。
- sh…オーソドックスなShell
- csh…UNIX系で採用されたShellでC言語に似ている
- ksh…shの上位互換としてコマンド履歴やコマンド名の補完などを実行する
- ash…軽量なためメモリが少ない場合に適している
- zsh…機能が充実した万能Shell
- fish…シェルスクリプトの標準仕様のようなPOSIXに非互換ではあるがハイレベルな機能を搭載している
Shellについて理解を深める際には、このようにShellプログラムの種類を把握することが重要です。用途や時代の流れなどに合わせて、コンピュータには複数のShellプログラムが取り入れられているのです。
Shellの特徴は?活用方法もご紹介
ここからは、Shellの特徴について詳細を解説していきます。特徴をもとに、Shellの様々な活用方法を整理していきましょう。Shellを賢く活用すれば、煩雑な業務の効率化や自動化が実現します。
Shellは、シェルスクリプトを用いてOSのカーネルに様々な指令を出します。コマンドを記述したうえで伝達するのが特徴で、上から下へコマンドを実行していくため、定期的な動作を自動で行うことが可能です。よって、Shellを活用すれば決められたスパンで行う操作を効率化することができるでしょう。例えばメンテナンスやデータ表示などが挙げられます。
Shellの操作方法について簡単に手順をまとめると、次のようになります。
- シェルスクリプトの実行ファイルを作る
- シェルスクリプトに実行権限を与える
実行ファイルはテキストの形式になるため、主にviなどのエディタを使用して記述していくのが一般的です。場合によっては複数の別のプログラミング言語(JavaやRubyなど)を組み合わせて使うことで、Shell活用の幅を広げられることもあります。そうすると単純なコマンドの実行だけでなく、多少複数な作業も可能になるでしょう。Shellの特徴や性質を理解したうえで、作業効率アップを目指すことが大切です。
Shell開発を行うには?
Shellは、ユーザーのコマンドをカーネルに送り、実行につなげるための重要な橋渡し的プログラムです。Shellではシェルスクリプトに基づいて、決められた動作を定期的に実行できるようプログラムを組むことが可能なため、うまく活用すれば作業効率を大幅にアップさせられるでしょう。そのためメンテナンスや点検などの工程において、Shellの活用がおすすめです。また、システムによって自動で実行するため、作業の品質にばらつきが出ないのも利点です。作業の標準化や品質アップにつながり、ヒューマンエラーによるトラブルを未然に防ぐことができます。
なお、Shell開発を進める際は、基本的に外部のシステム会社へ発注するのが望ましいです。Shellはそこまで難易度の高くないプログラムではあるものの、複雑な処理を組む場合には、Shellでベースのプログラムを作りつつ、ほかのプログラミング言語を用いて開発を行う必要があります。そのため、自社のニーズに合わせてシステムを開発する場合、専門のシステム会社と打ち合わせを重ね開発を依頼するのが良いでしょう。
しかし外注するとなると、どのような会社を選べば良いのか悩むことも少なくありません。Shell開発について相談・依頼するうえで、以下のような悩みを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- こちらの意図をしっかりくみ取ってくれる会社であってほしい
- 実績豊富な会社に任せたい
- システムに詳しくないため初心者でも相談しやすい会社が良い
- 複数社から見積もりを取ったうえでじっくり検討したい
そんな時にチェックしておきたいのが、システム開発を依頼したい会社と外部からの依頼を受け付けているシステム開発会社を結びつけるサービス「発注ナビ」です。発注ナビはシステム開発会社に特化しているのが最大の特徴です。そのため、自社に合ったシステム開発会社を効率良く探すことができます。対応可能な社数は全国で3,000社にも及びます。
発注ナビでは、主に次のような流れで最適な提案を受けられます。
- 発注ナビへ相談登録
- 専門スタッフが要望をヒアリング
- 自社に合う開発会社の提案
- 選定のうえ実際に紹介を受ける
- 商談
システム開発業界を熟知したスタッフが、Shell開発における要望や悩みなどを細かくヒアリングします。そのため、ITに詳しくない方だけでなく開発者が不足している会社でも、安心してご相談ください。ご相談から見積もりまでは完全無料です。
Shell開発の外注を本格的にお考えの方は、発注ナビをご覧ください。
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国4000社以上からご提案
■システム開発に関連した記事
![]() |
|
![]() |