継続的にサービスを続けていくためには、アプリを適切に運用・維持する必要があります。開発したアプリの運用・保守を依頼したものの、トラブル時にどう依頼すれば良いのか、わからなくて困っているという声は意外にも多いものです。そのような状態にならないためにも、アプリケーションに関する理解を深めて、外注業者に開発を依頼する必要があります。
この記事では運用・保守の違いやそれぞれの業務内容、費用の相場、外部委託する際のポイントについて解説します。
目次
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アプリケーション運用と保守の違い
アプリケーションをリリースした後には、「運用」と「保守」を両方行う必要があります。運用と保守は、どちらもリリース後に行う業務ですが、役割が異なります。運用・保守を外部委託するにしても、まずは双方の違いを把握しておきましょう。
●アプリケーション運用とは?
運用業務では、アプリケーションを安定的に稼働させるためのシステム管理を行います。アプリケーション運用の主な内容は、以下のとおりです。
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アプリケーションの起動と停止
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システム環境の監視
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データのバックアップ作成
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データの入力・出力
運用の業務は、「オペレーション」と「監視」に分けられます。
「オペレーション」は、アプリの起動・停止、データのバックアップなど、システムを安定的に稼働させるための業務全般を指します。「監視」は、正常稼働をしているかどうかを定期的にチェックし、トラブル対処する業務全般です。
●アプリケーション保守とは?
保守業務は、不具合時の緊急対応や改善作業がメインとなります。アプリケーション保守の主な内容は、以下のとおりです。
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アプリケーションのアップデート
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OSアップデートに対応した修正作業
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アプリケーションへの機能追加
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不具合発生時の修正対応
アプリケーションのアップデートや仕様変更など、幅広い業務を担います。
保守の業務は、「トラブル対応」と「改善」に分かれます。
「トラブル対応」は、突発的な不具合の解消、システム障害の原因追求や復旧といった作業のことで、「改善」では、より快適にアプリケーションを使えるような仕様変更やアップデートを行います。
「アプリ開発の運用保守」についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
アプリケーション運用の作業内容
アプリケーション運用の作業内容をさらに詳しく見てみましょう。運用の主な作業は、以下の3つを計画的に進めるケースが一般的です。
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アプリケーションの起動・停止
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システム環境の監視
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データのバックアップ作成
●アプリケーションの起動・停止
運用業務のルーティンワークには、アプリケーションの監視と起動・停止の制御があります。アプリケーションサーバー上で動作しているプロセスの稼働状況を監視し、起動・停止を制御する作業です。稼働すべき時間に停止しているプロセス、もしくは停止すべき時間に稼働しているプロセスがあれば、速やかに起動・停止を実行します。
●システム環境の監視
システムが正常に動いているかどうかを、24時間365日体制でチェックします。サーバーの稼働状況をチェックする死活監視、ハードウェアの目視確認、データ量からネットワークトラブルの予兆を検知するトラフィック監視、CPU・メモリなどのリソース監視、バッチ処理の管理、不正アクセスやウイルス感染を防ぐセキュリティ管理などの作業があります。多くの場合、運用監視者がトラブルシューティングを行うことはなく、アラートに応じて管理者へオペレーティングするのが一般的です。
●データのバックアップ作成
万が一に備えて、サーバーに保存されたデータを複製する作業です。複製した媒体は分散して保管し、適切に管理します。バックアップはスケジュールと範囲を計画し、スケジュールどおりに実施します。サーバーをバックアップする際には、環境をまるごと複製するシステムバックアップと、データのみを保管するデータバックアップを行います。システムとデータを両方バックアップすることで、データが消えてしまったり、サーバーが故障してしまったりした時も、状況に応じて素早く復旧することが可能です。
アプリケーション保守の作業内容
アプリケーション保守の主な作業内容は、以下の4つに分類されます。保守が運用と異なるのは、トラブルを解決する作業が発生する点です。
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不具合の復旧・原因究明
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アプリケーションのアップデート
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OSアップデートに対応した修正作業
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アプリケーションへの機能追加
●不具合の復旧・原因究明
バグや通信障害といった不具合のトラブルシューティングをします。不具合は売上やアクティブユーザー数に関係する問題ですが、不具合を完全になくすことは困難です。復旧が遅すぎるとアプリケーション提供元の信用にかかわるため、スピーディーに対処できる体制を整えることが重要となります。特に、機能追加や仕様変更をすると、予期せぬトラブルが生じやすくなるので注意が必要です。
不具合の復旧がどれだけ早くても、同じような不具合を繰り返すようでは、やはりユーザーからの信頼を失ってしまいます。復旧後には不具合の原因究明を行い、対策を講じることも保守の重要な役割です。
●アプリケーションのアップデート
予想される不具合やトラブルの再発を防ぐには、アプリケーション自体の改善をする必要があります。より使いやすいアプリへ成長させるためには、ユーザーからのフィードバックを反映した継続的なアップデートが不可欠です。
トラブル時の復旧も重要ですが、トラブルを未然に防ぎ、同様の不具合を根本から修正し、ユーザーからの報告を反映させることも重要な業務となります。アプリを快適に使ってもらうためにも、アプリの信用を守るためにも、継続的なアップデートは欠かせません。
●OSアップデートに対応した修正作業
端末へインストールするタイプのアプリケーションは、リリース時点のOS(iOS/AndroidやWindows/Linuxなど)に合わせて作成するため、OSのアップデートに応じた修正作業が必要になります。OSのアップデートによって「正常に作動しなくなった」、「動かなくなった」というトラブルに発展するケースは珍しくありません。メジャーアップデートはもちろん、マイナーアップデートの情報も逃さないように情報収集を行い、OSアップデートがアプリケーションへ与える影響を判断する仕組みが必要です。
●アプリケーションへの機能追加
ユーザーから寄せられたフィードバックをもとに、アプリケーションの機能追加や仕様変更を行います。最初から完璧なアプリケーションを作ることはできません。ユーザーのニーズを満たしているかどうかはリリースしないとわからないので、ユーザーの声を拾いながら機能追加や仕様変更を重ねて、アプリケーションの完成度を高めていくことになります。
運用・保守は細やかな作業が多いため、専門の会社に委託するというのも1つの方法です。外注する場合は自社に合うサービスを提供してくれる会社を選ぶことが重要ですが、たくさんある会社を比較検討して選ぶのは、それだけで多大な労力がかかります。
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アプリケーション運用・保守に必要な費用の相場
アプリケーション運用・保守には費用がかかります。ここでは、アプリケーションを動かすために必要な費用の相場と内訳について解説します。
●相場は開発費の15%以内
アプリの運用・保守に必要な費用は、開発にかかった費用の15%程度が月額相場といわれています。例えば、開発費700万円のアプリ保守にかかる費用目安は105万円(月額87,500円)です。
費用はシステムの規模や業務内容に左右されますが、このことからも一般的なアプリケーションの保守なら、毎月5万~20万円ほどが相場となります。
開発費の15%は、あくまでもハードウェアやソフトウェアに対する最低限の運用・保守費用です。サイト運用やヘルプデスクといったサービス委託をお願いする場合には、追加で20万~50万円ほど見積もっておくと良いです。保守にかけるコストと依頼したい業務範囲を明確にしたうえで見積もりを取り、費用の内訳を確認しましょう。
●アプリケーション運用・保守にかかる費用の内訳
運用・保守にかかる費用の内訳は、ソフトウェア関連、ハードウェア関連、サービス委託に分けられます。
ソフトウェア関連 | アプリケーションの不具合対応 |
---|---|
アプリケーションの改修・修正 | |
アプリケーションの仕様変更 | |
通信障害への対応 | |
質問・相談対応 など | |
ハードウェア関連 | ハードウェアの管理・故障対応 |
ネットワーク監視 | |
OSのアップデート | |
セキュリティ対策 | |
バックアップ対応 | |
データの復旧 など | |
サービス委託 | ECサイト運営 |
SEO対策 | |
リスティング広告代行 | |
コンテンツマーケティング運用 | |
データベースメンテナンス | |
ヘルプデスク など | |
(会社によって内訳は異なります) |
ソフトウェア関連
アプリケーションやサーバーなどのプログラムの障害対応・修正対応・仕様変更などを行います。トラブル対応、通信障害への対応、運用における相談・質問対応などがメインです。
ハードウェア関連
通信環境やネットワーク機器のメンテナンス、障害対応、監視などを行います。セキュリティシステムの維持、OSのアップデート、バックアップ対応やデータ破損時の復旧作業などがメインです。
サービス委託
サービス委託は、運用・保守というよりも、「運営」に近い内容です。例えば、ECサイトの運営、SEO対策、利用者からの質問に答えるヘルプデスクなどが挙げられます。必要なサービスがあればまとめて依頼できるので、何を依頼するのか明確にするのが良いでしょう。
アプリケーション保守を外部委託する3つの確認ポイント
アプリケーション保守を外部委託する際に、契約前に確認すべきポイントをまとめました。
●対象範囲をはっきりさせてから契約
委託先に任せる保守の対象範囲を明確にしたうえで、契約を結びます。対象はアプリケーションだけで良いのか、それともアプリケーションを構成するハードウェアやミドルウェアも含めて依頼したいのか、保守の対象をきちんと定めましょう。認識の違いによるトラブルを防ぐためにも、対象範囲をはっきりさせてから契約を結ぶことが大切です。
●運用・保守費用が開発コストの15%以内になるか確認
サービス委託を除いた運用・保守費用は、開発コストの15%程度が目安です。15%を大きく超えている場合は、サービス委託の費用が含まれている可能性があります。費用内訳と保守業務の対象範囲と照らし合わせて、妥当な金額かどうかを確認する必要があります。費用内訳を見て、サービス委託を除いた運用・保守費用が開発コストの15%前後になっているかどうか確認することも重要です。
●対応可能な時間や契約期間を確認
運用・保守の契約を結ぶ前に、対応可能な時間や契約期間をチェックします。いつまで契約を結ぶかという「契約期間」はしっかりと確認する必要があり、契約を自動更新する旨が記載されていると、外注先を変更しにくくなる恐れがあります。
基本的にシステム運用・保守の契約は長期にわたりますが、委託先の対応や費用感が合わなくなるケースも考えられます。委託先の変更を検討する可能性も踏まえた契約内容を検討したほうが良いでしょう。対応時間については、休日や年末年始やお盆休みシーズンでもトラブルに対応してくれるかどうか確認しておくと安心です。
数ある外注先を比較検討して自社に合う会社を選ぶのは、そう簡単なことではありません。
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