レセプトシステムは、多くの医療機関が導入している、診療報酬明細書を作成する電子算定システムです。
クリニックの開業や改装の機会には導入を検討する方も多いのではないでしょうか。
システムを導入するにあたって、まず気になるのは費用。
本記事では、レセプトシステムの費用相場から費用の内訳、費用を抑えたレセプトシステムの選び方などについて解説します。
目次
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レセプトシステムの導入にかかる費用相場とは
レセプトシステムとは、病院などの医療機関から診療報酬を請求するための「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するものです。
病院や診療所、薬剤薬局などはレセプトを出すために「レセプトコンピューター」を設置しています。
厚生労働省の「レセプト請求状況」によれば、レセプトシステム を導入している医療機関は94%です。電子カルテの導入などと同時にレセプトシステムを導入する医療機関も多くあります。
こうしたレセプトシステムの導入費用は初期費用で150万円前後とされています。また初期費用に加え、システムやハードウェアのサポート費用などが月額で別途かかってくるのが一般的です。
●レセプトシステムの費用内訳
レセプトシステムの費用内訳は下記のように分けられます。
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ハードウェア費用
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周辺システムとの連携費用
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サポートメンテナンス費用
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システム更新費用
それぞれの内訳について解説していきます。
ハードウェア費用
ハードウェアとはレセプトシステムを動かすために必要な機器のことです。具体的には下記のようなものが挙げられます。
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PC
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モニター
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サーバー
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外付けHDD
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無停電電源装置
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ルーター
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ハブ
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プリンタ
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スキャナ
レセプトシステムを導入する際は、システムの要件を満たしたスペックを持つPCやサーバーなどが必要になります。またプリンタやスキャナは、領収書の印刷や資料をデータとして取り込むのに必要です。
ハードウェアの台数やスペックは医療機関の規模によって変わってきます。たとえば病床数が300床ある病院と30床の病院では、必要な台数やスペックは変わってくるでしょう。そのためハードウェアとして必要なものを認識しておき、どれくらいの台数やスペックが必要なのかを考えることが大切です。
周辺システムとの連携費用
多くの医療機関がレセプトシステムを周辺システムと連携して動かしています。なぜなら周辺システムと連携することで、業務効率化につながるからです。
例えば、電子カルテと患者の情報を連携できれば、レセプトシステムで出力する診療報酬点数(※)などを簡単に計算できます。そのためレセプトシステム単体で考えるのではなく、周辺システムとの連携を前提として考えることが必要です。こうした連携費用もかかることを認識しておくと良いでしょう。
※診療報酬点数:医療行為を点数化したものです。1点10円で医療費が算出できます。
サポート・メンテナンス費用
システムは導入して終わりではありません。きちんと運用して初めて効果を発揮します。
そのためシステムが停止することなく、継続的に運用するためにはサポートやメンテナンスは必須であるといえます。また万が一、システムが停止してしまった場合でも、復旧までサポートがどのようになっているかを確認しておくことは重要です。
サポートやメンテナンス費用は月額費用として支払っていくことがほとんどのため、内容を確認しておきましょう。
システム更新費用
レセプトシステムに限らず、システムは常にアップデートされていくものです。そのためシステムを常に最新で利用できるように、システム更新費用が必要です。なおシステム更新費用については、クラウド型かオンプレミス型かで考え方が変わってきます。
クラウド型の場合、自動的に更新されるため、常に最新の状態で利用することが可能です。一方でオンプレミス型の場合、5年に一度程度の頻度で更新する必要があります。なお更新費用は、導入時と同額程度を考えておくと良いでしょう。
そのため新規で導入する際に、システム更新費用はどの程度かかってくるのか、その時期はいつになるのかを確認しておくと備えができます。
●レセプトシステムの構成
レセプトシステムは、システムを稼働するサーバーや実際に担当者が操作を行うPC、領収書を出力するプリンタ、電子カルテなどの他システムとの連携などで構成されます。
そのため、「機器の構成」と「どのシステムと連携させるか」の両面から考えていく必要があります。また同時にクラウド型で構成するか、オンプレミス型で構成するかなどもベンダー企業と擦り合わせると良いでしょう。
レセプトシステムの費用を決める要素
前述したようにレセプトシステムは医療機関の規模などによって、必要な機器の数やスペックが変わってきます。
レセプトシステムの費用を決める要素は下記の5つから考えられます。
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システム形式の違い
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レセコン一体型かそうでないか
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導入サポートの有無
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カスタマイズ性の有無
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ライセンスの数
それぞれについて解説していきます。
●システム形式の違い
システム形式の違いとは「クラウド型」か「オンプレミス型」かの違いです。
クラウド型とは病院内にサーバなどを設置せず、オンライン上のサーバーを使ってシステムを運用していく方法です。クラウド型を利用することで、導入や運用コストを抑えられる、他システムと連携がしやすいなどのメリットがあります。
オンプレミス型は、クラウド型とは反対に、病院内にサーバーを設置し、院内のネットワークでシステムを運用していく方法です。オンプレミス型のメリットは、ネットワークが外部とつながっていないため、セキュリティ面での安全性が高いことが挙げられます。
一方でハードウェアの費用などの初期費用がかかってくるため、導入コストなどはクラウド型と比較すると高くなってしまう傾向にあります。「クラウド型」か「オンプレミス型」かのシステム形式の違いで、費用が変わってくることを押さえておくと良いでしょう。また、ベンダーに対してクラウド型での導入の場合とオンプレミス型での導入の場合で、費用差はどれくらいあるのかの見積もりを出してもらうこともおすすめです。
●レセコン一体型かそうでないか
レセコン一体型とは、レセプトシステムを単独で動かすのではなく、電子カルテなど他システムと一体として運用するものです。レセコン一体型を導入することで、システムの連携や互換性などの心配がなくなります。そのため安定した運用体制をすぐに構築できるのが大きなメリットです。
それぞれのシステムを単独で導入するか、レセコン一体型として導入するかで費用感は変わってきます。
●導入サポートの有無
導入サポートとはシステムを導入したら、すぐに使える状態にしてもらうことです。レセプトシステムでは導入時にシステムの設定などが必要になってくるため、設定だけで多くの時間を取られてしまうこともあります。また、導入サポートにはシステムの使い方を研修するなどが含まれている場合も多いです。院内のメンバーに対して、使い方をレクチャーすることで、導入時からスムーズな運用が期待できます。
こうした導入サポートの有無によっても費用感は変わってきます。
●カスタマイズ性の有無
システムはカスタマイズができるのも大きなメリットです。担当者が見やすい、使いやすいと感じるフォーマットや画面にすることで作業効率は上がっていくでしょう。なおレセプトシステムによっては、カスタマイズができないものや一部しか対応ができないものもあります。導入時にはベンダーにきちんと確認しておくことが大切です。
なお、カスタマイズを行う際は、ベンダーの担当者の作業工数がかかってしまうため、コストが高くなってしまう点も事前に押さえておくと良いでしょう。
●ライセンスの数
ライセンスとはシステムにアクセスできる人数が何人になるかということです。ライセンスを持っていなければ、システムにアクセスできないため、担当者分のライセンスを用意すると良いでしょう。
しかしライセンス数が多くなってしまうと、その分の費用が高くなってしまいます。中にはライセンスを部署で共通にするなどして、必要なライセンス数を最低限にしている医療機関もあります。
費用を抑えたレセプトシステムの選び方
やみくもにレセプトシステムを導入したいと考えても、効果的な選び方はできません。少しでも費用を抑えて導入したいと考えた場合、下記の点を意識しておくことが大切です。
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導入目的と予算を明確にする
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業者に見積もり作成を依頼する
●導入目的と予算を明確にする
まずは導入目的と予算を明確にすることが大切です。
導入目的は多くが業務の作業効率化です。担当者が使いにくいと感じるシステムを導入しても、反対に作業効率が落ちてしまう恐れがあります。そのため導入することを目的にするのではなく、導入してどのようになりたいかを考えると良いでしょう。
また合わせて予算も大切になります。費用相場や月額にかかる費用を試算し、予算を決めることで、導入するシステムが適正かどうかの判断基準になります。
●業者に見積もり作成を依頼する
見積もりを取ることで、導入にどれくらいの費用が必要なのかが明確になります。予算を超えていれば、導入しないという判断にもなるでしょう。
また見積もりの作成を依頼する際は、複数のパターンを用意してもらうことが効果的です。複数のパターンとはクラウド型とオンプレミス型でどのように違うか、連携するシステムに違いが出ると費用はどのように変わるかなどです。複数パターンの見積もりを取ることで、導入の優先順位などが見えてきます。
また複数社で見積もりを取ることも大切です。費用対効果が適しているかなどを判別できるからです。そのため見積もり作成の依頼は必ず行うと良いでしょう。
●補助金制度を利用する
レセプトシステムの導入に向けて補助金システムを利用するのも一つの方法です。具体的には下記のようなものが挙げられます。
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IT導入補助金
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医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援
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小規模事業者持続化補助金
補助金の詳細については、以下のページでも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
IT導入補助金
IT導入補助金(※)は経済産業省が行っている、ITツールを導入時に得られる補助金です。ITツールとはシステムの費用やクラウドサービスの初期導入費用などが該当します。
通常枠の場合は最大で450万円の補助など、規模が大きいものが特徴です。ITの知識がなくても「IT導入支援事業者」が申請サポートを行ってくれるため、安心して利用ができるのも特徴です。
※参照元:IT導入補助金について|2022 一般社団法人 サービスデザイン推進協議会
医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援
医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援は厚生労働省が行っている施策です。新型コロナウイルスの感染拡大防止に取り組むために必要な費用の補助を行ってくれます。
オンラインによる提出になるため、作業の手間などが比較的軽いのも嬉しい点です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁が販路開拓などに取り組む費用の補助として開始した施策です。商工会議所が発行する事業支援計画書などを作成して、申請を行います。対象の枠が少し狭いため、自院が対象であるかを確認しておくと良いでしょう。
レセプトシステムは開発・構築・改修どれがお得?
レセプトシステムの開発・構築・改修の基本的な費用相場は「作業単価×作業時間+固定費用」です。当然ですが優秀なエンジニアが作業を行えば、その分の作業単価は上がっていきます。
また要件定義や作業日数によっても費用は変わってきます。規模が大きなシステムとなった場合は、日数も多くかかってしまうので、注意が必要です。簡単な試算ですが、数十万〜数百万円程の費用を目算しておくと良いでしょう。
なお要件定義については以下のページで詳しく紹介していますので、確認してみてください。
▶ システム開発の成功を左右する『要件定義』とは?必要な進め方のコツ
またシステム開発にかかる費用等については、以下のページでより詳細に解説していますので、合わせてご確認ください。
▶ システム開発にかかる費用はどのくらい?費用計算の方法も解説!
●開発・構築・改修にかかる作業日数はどれくらい?
導入までの日数が気になる方も多いと思います。実際のところ、システムの規模感によって日数は変わってきます。そのためあくまでも目安として捉え、ベンダーときちんと確認すると良いでしょう。
<作業日数目安>
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小規模:1~2ヶ月
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中規模:3~5ヶ月
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大規模:半年~1年
まとめ
レセプトシステムを導入する時には、規模感や操作感の適したものを導入するのが大切です。費用や機能面など、多角的に捉えて費用対効果を高めるシステムを導入することを目指すと良いでしょう。
合わせて補助金の活用など、積極的に進めてみるのもおすすめです。ぜひ本記事を参考に、適切なレセプトシステムを導入してみてください。
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