SMEビジネスの市場が目まぐるしく変化する中、企業は時代に合わせて変革していかなければなりません。昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けてさまざまな企業が取り組みを行っており、中小企業にもその波は押し寄せています。早急なデジタル化対策が求められていますが「DXをしたくても資金がない」「費用がどれくらいかかるのか検討がつかない」といった理由から踏み切れずにいる企業も多いのではないでしょうか?今回は、中小企業がITシステムを導入するとしたらどのくらい費用が発生するのか、相場を解説していきます。詳細な投資費用を算出するポイントや、費用負担の削減に役立つ補助金制度などもご紹介しますので、システム導入を検討する参考にしてください。
目次
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中小企業のDX化にかかる費用相場について
中小企業のDX化時に発生する費用相場については、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によると、業種全体におけるIT予算は2019年度の平均値が 2.21%、2018年度に比べて0.25 ポイント増加しているデータが出ています。※
ちなみに将来的な投資額は「年商売上高×指定%×ツールの利用年数」で簡単に出すことができます。たとえば「年商売上高が5億円でそこから3%投資を行う、そしてITツールをひとまず10年は利用する」と仮定すると、「5億円×3%×10年=1億5,000万円」です。ただしこれは売上高や投資割合が毎年固定だと仮定した場合の概算なので、実際の数値は異なってくるでしょう。その場合も概算と乖離が大きい場合は問題がある可能性があるので、分析の際注意しておいてください。
※参照元:企業IT動向調査報告書 2020
●2025年の壁が課題に!今後の中小企業IT投資戦略はどうなっていくのか
残念ながら日本の経営者は、まだまだDX投資に積極的とはいえません。「IT投資に対する具体的なコストメリットが分からない」「将来的なDXの展望を描けない」といった理由で投資に消極的になりがちです。そしてその消極的な姿勢が日本全体のDX鈍化へ拍車を掛けてしまうリスクが出てきています。
政府は「2025年の壁」という課題を公表しています。これは「2025年までに日本全体でDXが上手く達成されないと、毎年最大で12兆円ほどの経済的損失が発生するリスクがある」という考えです。日本では投資の消極的姿勢の他にも、以下のような課題があります。
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システム内部がブラックボックス化しており触れない
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人材不足でDX対応が遅れている
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外注先にDX対応を依存している
こういった課題は投資を上手くできない中小企業で多く見られる問題であり、すでにDXを達成している大企業に対して大きく差をつけられている状況です。政府は補助金投資などでDX化を推進していますが、まだ成功は得られていません。
継続的な政府戦略と、それに乗っかる積極的な企業の姿勢が今後のDXで重要となるでしょう。
●最低限のITインフラを構築したい場合の費用相場
最低限のITインフラの例は以下の通りです。
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PC
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スマートフォン
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タブレット
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インターネット環境
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モバイル環境
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各システム
それぞれでかかる費用は違いますが、ビジネスである程度使えるインフラを整備する場合は、次のような相場事例が考えられるでしょう。
※従業員を20人として計算、投資初年度にかかる費用の概算
費用項目 | 費用(万円) | 費用内訳 |
---|---|---|
PC | 200 | 10万円×20人 |
スマートフォン | 100 | 5万円×20人 |
タブレット | 5 | 5万円×1オフィス |
インターネット環境 | 6 | 月額5,000円×12か月 |
モバイル環境 | 4 | 月額2,000円×20人 |
各システム(チャットツール) | 2 | 1アカウント月額1,000円×20人分 |
各システム(オフィスツール一式) | 40 | 2万円×20人分 |
初年度投資費用合計 | 357 |
合計で初年度は357万円がかかるのがポイントです。もちろん従業員の数や各機器の仕入れ値などは違ってくるので、これより安くもできますし、機器にスペックを求めればさらに高額になります。基準の一例をご紹介します。
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軽いやり取りや文書作成などに使う場合は、3万円くらいでもPCが購入できる
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スマートフォンは安ければ2万円くらいで購入が可能
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タブレットはそもそも必要ない企業もあり、PCにタブレット機能が搭載されていれば不要
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インターネット環境は10Gbpsといった高速性を求めると月額7,000円程度になる
投資額をなるべく安くしながら機器のクオリティなどを下げないためには、以下の点に留意して検討を進めましょう。
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インターネット・問い合わせなどでキャッシュバックや法人専用契約割引などを確認する
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まとめ購入で単価を下げてディスカウント購入できないか確認する
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機器やツールのスペックを事前に確認して余計な機能が付いていないか確認する
●詳細な投資費用を算出するには
費用をより正確に算出するためには、概算を自社で用意した上でDX支援サービスを行っている開発会社へ見積もりを依頼してみるとよいでしょう。単なる開発だけではなく将来的な成功体験まで戦略立てて提供してくれる開発会社へ依頼をすると、実績を基にした正確な見積もりをもらうことができます。
自社で立てた概算と見積もりと比較して差異があれば、今後の予算取りの参考にもなるでしょう。ただしDX支援まで請け負える企業は、開発会社の全体数からすれば多くはありません。実績やサービス内容を確認して、DXサポートを強みにしている会社を探すのがコツです。
DX支援やコンサルにかかる費用相場については、こちらのページでご紹介しています。依頼するときは作業を丸投げにせず当事者感覚を持って並走でDXを進めるのがポイントです。
新システムの導入は導入費・維持保守費・人材育成費が必要
IT投資に伴う新システムの導入に関しては、次のような費用が発生します。
●導入費
システムの導入時にかかる初期費用です。基本的に1回支払えば将来的には支払いは発生しません。その分高額になるのが特徴です。
クラウドタイプのシステムの場合は、初期導入費に関して、「無料キャンペーン」や「キャッシュバック」など、キャンペーンが適用されるケースがあります。
これらの特典を用意してコストを削減できるように工夫されているサービスもあります。
導入費は、事例から見ると10万円程度の費用がかかることが多いようです。大規模なシステムになれば数百万円発生してもおかしくありません。導入費は公表されていない場合もあるので事前に見積りをとっておくと安心です。
●維持・保守費
維持・保守費は以下の通り分けられます。
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維持費:トラブルが起きていないかのチェックなど
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保守費:システムアップデートなどに伴う改善作業など
維持費や保守費は、担当者の人数、実行する期間、システム規模などによっても変わってきます。
システムではパッケージとして維持や保守まで代行してくれるサービスがありますが、発生する費用は上記のような条件で変わってくるのがポイントです。
ちなみにクラウドタイプでは初期費用や月額費用に、維持・保守費がすでにセットになっているケースが多いです。導入が成功してもトラブルが起きるとシステムが回らない分損失が発生します。維持・保守をスムーズに進められるよう継続投資が必要です。
●人材育成費
人材育成に伴う費用も計算しておく必要があります。人材補充のパターンは、新規採用を行う、既存リソースに教育を行うといった方法がありますが、新規採用にしても教育方針の設定にしても時間がかかります。前もって長い目で計画を立てて実行できるかがポイントです。
計画が浸透してスムーズに進めば費用は下がるでしょうが、継続的な投資も必要です。DX開発サポート会社の育成サービスも利用しながら効率よく改革を進めていくのが良いでしょう。
ちなみに想定している人材が使えるシステムを導入するのも重要です。機能が多すぎる、画面が使いにくいなどのトラブルが起きないよう無料トライアルなどで実際の利用経験を重ねてから導入を始めることをおすすめします。
システムを開発・構築・改修を依頼すると多くの費用が発生
システム開発にかかる基本費用は「作業単価×作業時間+固定費用」です。
作業単価×作業時間は、「人月」と呼ばれる単位で計算を行います。たとえば「単価が月100万円の作業担当者が3人、作業時間(期間)が3か月だ」とすると「100万円×3×3=900万円」がシステム開発の作業量として発生するのがポイントです。
作業担当者のスキルが高いと単価が上がるので当然ながら費用もアップします。開発期間が延長になると追加料金が必要になります。このためシステムの規模感や必要機能などをあらかじめ仕様書として策定、共有する作業が重要となります。ちなみにこまめに開発を繰り返すアジャイル開発だと、開発期間が延びてしまうリスクがあるので調整するのも重要です。
これに加えて、依頼時に固定費用が発生するケースもあります。公開されていない場合は細かい内訳や費用を見積りで取り寄せたほうがスムーズです。
総合的には、「数十万円~数百万円」くらいがシステム開発において発生する料金相場となります。当然ITインフラの機器整備費用とは別料金なのでコストが高くなってしまうのがネックです。オリジナリティが業種の事情で必要といった場面があれば開発を依頼してみるのがおすすめです。そうでなければクラウドタイプのシステム導入などで費用を抑えるのが良いでしょう。
費用を抑えたいなら助成金・補助金の受給がおすすめ
ここからは費用を抑えるために活用したい、助成金・補助金制度についてご紹介していきます。
●IT導入補助金
ITツール導入などに関して受けられる補助金です。
資本金、従業員などの項目で条件に該当する中小企業が受けられます。
A類型・B類型に追加して、アフターコロナを考えたC類型・D類型の枠が新規追加されています。コロナ禍で非接触戦略などを実現した企業に対して、最高450万円(金額全体の3分の2まで)が補助される仕組みになっているのがポイントです。コロナ禍で効率よくITツール導入を進めるために、ぜひC類型・D類型の活用を考えてみてください。
●ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
商品生産等に関して、生産性を向上させるための戦略を実現しようとしている企業へ補助金を配布する制度です。
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資本金
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従業員数
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成長、収益の成長性
などが制度を適用できるかの条件となっています。
こちらもコロナ禍を見越して優先的にサポートを受けられる「低感染リスク型ビジネス枠」が追加されています。「グローバル展開型」だと最大で3,000万円まで補助金を受けられるのでおすすめです。
●事業再構築補助金
コロナ禍で事業の新規分野開拓や転換などを行う企業へ補助金を配る制度です。要はコロナ禍でDXを求められている企業向けの補助金制度になっています。
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売上減少具合が大きい
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新分野開拓や事業再編等抜本的な改革に取り組む予定
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必要な計画書類を作成して提出する
といった条件をクリアすると制度を適用できます。
中小企業の場合は8,000万円といった補助金を受け取れるケースもあり、条件は若干厳しいですが魅力的な制度となっています。
●中小企業デジタル化応援隊事業
サポートを受ける中小企業ではなく、サポートを行う企業側に謝金が支払われる特殊な事業制度です。デジタル化に伴い専門企業からのアドバイスを受けている企業・そしてサポート先が対象となります。
IT導入のサポートを行っている企業には、時間単価で最大3,500円が支払われるのがポイントです。サポートを受けている中小企業は契約時の金額から3,500円を最大差し引いた分を支払えば済むので、実質的に負担金額が減りますしサポート先も契約金額が減るわけではないので安心できます。
ただし負担として、謝金を引いた後に最低500円の時間単価が発生しないと受け取れません。契約内容に注意して利用してみると良いでしょう。
●戦略的基盤技術高度化支援事業
中小企業で製造関連事業を行っているところを対象とした制度です。戦略的に抜本的な製造体制アップデートなどを行う際に利用できます。
「特定ものづくり基盤技術高度化指針」に沿った研究や開発を行っていることが条件となっており、単年度で最大4,500万円の補助を受けることができるのがポイントです。ただし中小企業で対象となる共同体を作る必要があり、単独では申請ができない点に注意してみてください。
申請方法や受給の注意点については、以下のページでご紹介しています。
東京都や神奈川県など、都道府県によっても特別な補助が受けられる制度が別に用意されています。ここではご紹介しませんがぜひ自治体公式などで情報を受け取ってみてください。
まとめ
今回は中小企業システムを活用した際にどのくらい費用が発生するのか、相場を確認してきました。
中小企業はシステムのブラックボックス化などによって上手くDXを進められていない企業も存在します。プロのサポートも受けながら補助金制度や助成金制度などを活用しつつ、課題を洗い出して問題解決を目指しましょう。
地域によってもサポート制度が違うので、個別に確認してみてください。ただし条件が厳しかったり、キャッシュバックを受けられるまでの期間が長かったりする場合があるため注意しましょう。
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