システム開発をするうえで欠かせない工程の1つに最終テストがあり、その際に使われるのがステージング環境です。開発が完了してリリースをする直前に行う最終テストでは、本番と同様の環境を用意して不具合や動作をチェックします。ステージング環境に至る前に開発環境や検証環境を経て、入念にチェックを行いながら本番環境へと進みます。これらのステップは、リリース後にバグが起こらないようにするうえで非常に重要です。今回は、ステージング環境にスポットを当てて、その概要やメリット、デメリットなどを詳しく紹介します。これから、システム開発を行う方は、ぜひチェックしておいてください。
目次
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ステージング環境とは最終テスト用環境のこと
一般的に、システムの開発からサービスのリリースにかけては「開発環境」「検証環境」「ステージング環境」「本番環境」の4つの環境で行われます。このうちステージング環境とは、本番環境と同じようなテスト環境のことを指し、いわゆる最終テストを行う環境のことです。
エンドユーザーに対して公開する段階が「本番環境」であり、ステージング環境の段階では、動作や表示に問題がないかをチェックします。特に、Webシステムのように継続して保守や改修、更新が行われるシステムでは、リリース直前の細密なチェックがユーザーの印象に大きく影響するでしょう。
そのため、ステージング環境を用意しておかなければ、安心してユーザーが使えるシステムをリリースできません。
ステージング環境では実際にユーザーが使用する環境と類似した環境でテストを行うため、これまでの段階で見つけられなかったエラーや問題点に気づきやすいのが特徴です。また、サービスの提供が開始された後もアップデートをする際に利用します。
知っておきたい、システム開発からリリースまでの流れとは?
システム開発をスムーズに行い確実に仕上げるためには、前章でも触れたように以下4つのステップを踏みます。
- 開発環境でコーディング作業
- 検証環境でテスト
- ステージング環境で本番動作の確認
- 本番(プロダクション)環境でサービス提供開始
いずれも重要な役割があり、受注側はもちろん発注側も作業の流れを把握しておくと、安心して取引やスケジューリングを行えるでしょう。続いては、システム開発から始まりリリースまでに至る流れをステップごとに解説します。
●開発環境でコーディング作業
システム開発は、開発環境で行う作業から始まります。開発環境とは、プログラミング言語を使ってコーディングして、ソフトウェアやシステムを開発する環境のことを指します。
開発環境では、コードを記述する際に使う「テキストエディタ」や翻訳する「コンパイラ」、誤りを修正する「デバッガ」などを使います。それぞれ別々のツールを使う手段もありますが、開発環境に必要なツールを1つにまとめた統合開発環境(IDE)を使うケースが多いでしょう。
プログラマーやシステムエンジニアが行う作業で、コーディングをしながら、コードの動作チェックも行います。
●検証環境でテスト
開発環境でコーディングまでを終えたら、実際に機能するかを確認するため、検証環境へと移ります。検証環境は、別名「テスト環境」とも呼び、その名の通り動作の状況を確認する環境です。
通常、テスト環境は開発環境と別に設けるケースが多く、開発とテストが同時進行します。規模が大きいシステム開発を行う際は、1つの検証環境では確認しきれないことも少なくありません。そこで、複数の検証環境を設け、担当者を複数人用意して臨むケースもあります。
検証環境で不具合が見つかった場合は、修正を行わなければなりません。修正後、再びテストを行い不具合がなくなるまで繰り返します。仕様を満たしているかを検証するだけではなく、「ユーザーが使いやすい状態になっているか」「セキュリティに抜けはないか」なども検証環境を通して確認します。
「テスト」の種類は様々
「検証環境でテスト」といっても、様々な種類があります。確認テスト、評価テスト、そして負荷テストなどが代表的です。
確認テストはシステムに修正を加えたとき、不具合の発生やバグの再発を防ぐ目的で行います。評価テストはセキュリティの性能や、システムの使いやすさ、障害が発生しても最低限の機能が使えるかを試すテストです。
そして負荷テストは処理能力が仕様を満たしているか、システムを連続稼働させてパフォーマンスが落ちないか、一度に多くのアクセスをしてもシステムが正常稼働をするか、などを確かめます。
●ステージング環境で本番動作の確認
前述の検証環境で動作確認が取れたら、いよいよステージング環境に入ります。ステージング環境は、前章でも触れたように、ユーザーに公開する前の最終テストです。そのため、設定やソフトウェアなどは実際に利用するのと同様に、本番さながらの環境を作って行います。
検証環境において正常に動作したとしても、実際と同じ環境を導入した途端に不具合が起こるケースも少なくありません。万が一、ステージング環境でバグが発生したら、検証環境に戻って作業し直す必要があります。
また、ステージング環境が実際の環境とかけ離れてしまうと、本番でバグが起こるリスクが高くなるため要注意です。本番での不具合を避けるためにも、同等の環境を設けなければなりません。近年はクラウドや仮想化技術が上がっているため、実際の状況と同等の環境を構築しやすいでしょう。
●本番(プロダクション)環境でサービス提供開始
ステージング環境で不具合が起こらず仕様通りに動作したら、ついに本番環境でユーザーに対してサービスを公開する流れになります。開発環境からステージング環境に至る3ステップは、本番環境において正常に動作することを目指して行う作業です。
リリースしてからトラブルが起きると、ユーザーに迷惑がかかり信用問題にもかかわります。システム開発では想定外のトラブルも踏まえて、隅々まで見落とさないようにするために何段階もの環境が欠かせません。
段階を踏まずに開発すると、リリースができたとしても運用で躓きやすくなってしまいます。プログラム開発と運用はセットであり、常に運用することを念頭に置きながら開発をすることが重要です。
ステージング環境の構築は不具合・トラブルに役立つ
まず、ステージング環境を設けると、本番環境前に隅々まで検証ができます。そのため、本番運用で起こり得るトラブルを事前に回避しやすくなる点は、ステージング環境におけるメリットの1つです。
ステージング環境でのテストを行わずにリリースし不具合が発生してしまえば、サービスを一時停止しなければなりません。リリース前であれば、ユーザーに対して迷惑をかける可能性が軽減されるため、ステージング環境でのテストは必ず行いましょう。
また、ステージング環境を用意しておけばリリース後にも役立ちます。例えばバージョンアップ作業を行うと、以前は動作していた部分に不具合が発生することも考えられるでしょう。そのため、更新前にステージング環境を利用して再度チェックを行う必要があります。
そのほか、ステージング環境ではUIやデザインを複数比較することができます。最終的にA案かB案で迷うことも少なくありません。ステージング環境であれば、実際にブラウザを動かしながらチェックできるため、ユーザー目線に立って選択でき使いやすいシステムに仕上げられます。
そしてステージング環境はインターネット上にあるため、URLさえ共有できればアクセス権のある方なら誰でも動作確認を行えます。例えば上司やクライアントに、リリース前に状態を確認してもらうことも可能です。
【注意】ステージング環境はコスト・手間がかかる
システム開発において重要な役割を果たすステージング環境ですが、デメリットも少なからずあります。
まず懸念されるのがサーバーの維持費です。ステージングでは、本番環境に近づけた環境を用意することになるため、どうしても費用が嵩みます。サーバー代やクラウド環境を整えるためのコストを考えると、負担が少ないとはいえません。
そして、大規模なシステム開発をする場合は、複数のテスト環境を設ける必要があります。それだけ管理の手間も増えることになり、人件費も嵩んでしまいます。
ステージング環境はユーザーが使用する本番環境と類似した状態を保たなければ意味がないため、コスト面との兼ね合いを考えながら効率良くテストを行うことが重要です。
ステージング環境を構築する際の2つのポイント
ステージング環境は、本番環境で不具合を起こさないための最後のチェック工程です。万が一、不具合が起こってもステージングの段階であれば修正が効くため、見逃さないように確認しなければなりません。
続いては、ステージング環境を構築する際に、押さえておきたいポイントを2点解説します。
- 本番環境に近い環境の構築をすること
- 絶対パスと相対パスの使い分けをすること
●本番環境に近い環境の構築をすること
ステージング環境で何よりも大切なのが、可能な限り本番環境と類似した環境を構築する点です。例えばハードウェアやOS、ネット環境なども同じものを用意する必要があります。
また、Webサイトに欠かせないディレクトリ構成やコードの記述、本番で使用する機能なども同じ状況にしなければなりません。これらの環境が異なってしまうと、何度テストを行っても正確にチェックできず、リリース後にバグが起こる可能性が高くなります。
さらにステージング環境は、実際に使うユーザーの気持ちになってテストすることもポイントです。すべての動作に着目し、本番で起きても問題ない処理かどうかを検証していきましょう。本番で起こり得る状況を、細かく検証していくことが重要です。
●絶対パスと相対パスの使い分けをすること
押さえておきたいポイントとして、絶対パスと相対パスの使い分けも挙げられます。絶対パスは「フルパス」とも呼ばれ「https://ドメイン/フォルダ名/ファイル名」の流れで、ドメインから対象のファイルまでの階層構造をすべて記述します。
リンク切れを起こしにくく、全体から見た位置がわかりやすいというメリットがありますが、ネットワークに接続されていないローカル作業では使えません。
一方で相対パスは、作業中の階層を基準としてファイルの位置を記述する形式です。絶対パスが最上部からすべて記載するのに比べて、パスが短くてシンプルというメリットがあります。
相対パスはローカルテストでも作業できるため、ネットワークに接続できないステージング環境で使えます。デメリットとしてはリンク切れが起きやすい点や、目的のファイルが全体のどの位置にあるかわかりづらい点などが挙げられます。
本番環境に移行する直前には絶対パスに書き換える必要があるため、双方を使い分けられるように準備しておかなくてはなりません。書き換えを忘れてしまうと、リリースしてもWebサービスが開かないため注意しましょう。
システム開発を成功させるためには、ステップごとの作業が欠かせません。開発環境で十分にコードを確認し、検証環境で予定通りの動作が行えるかをチェックします。そして、リリース前の最も大切なステップがステージング環境の最終テストです。ユーザーが使用する本番環境と類似した環境を設けて、リリース後に不具合が発生しないよう念入りにチェックをしなければなりません。リリース後に不具合が起これば、クライアントやユーザーに迷惑がかかり、会社の信用問題にもつながります。ステージング環境の時点で不具合がわかれば、検証環境に戻って対処することが可能です。小さなバグも見逃さないようにするためには、いかに本番と同じような環境を作れるかがポイントとなります。
システム開発は環境が整えば自社でも行うことができますが、プログラミングに長けた人材が必要です。また、社内に優秀な人材がいたとしても、通常の業務を疎かにすることはできません。そのため、システム開発に特化した専門業者に外注する方法を選ぶのも良いでしょう。
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