新型コロナウイルスの流行によって、時差出勤やテレワークが求められるようになりました。コロナ禍の影響で、テレワークを導入する企業も増えてきています。国土交通省の「テレワーク人口実態調査」によれば、雇用型の就業者がテレワークを実施した割合は2019年の14.8%から、2020年は23.0%にまで拡大しています。(※1)加えて一般社団法人オンラインコミュニケーション協会の調査によれば、テレワークを実施した企業の8割が今後もテレワークを継続させる見込み(※2)としています。またテレワークを実施した企業の従業員満足度もポジティブな変化が起こったとしています。
上記を踏まえると、今後もテレワークを実施する企業が増えていくことでしょう。本記事ではテレワークの導入を考えている企業に向けて、導入に必要なものから、かかる費用、テレワーク導入で利用できる助成金やシステムの種類を解説していきます。
参照元
※2:一般社団法人オンラインコミュニケーション協会 テレワークに関する実態調査
目次
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テレワーク導入に必要なもの
テレワークを実施するためには、企業側・従業員側でそれぞれの環境整備が必要です。
●企業側で必要なもの
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社内のインターネット環境
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リモートアクセスツール
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セキュリティツール
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労務管理システム
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コミュニケーションツール
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就業規則の改定
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水道光熱費・消耗品費
テレワークは、従業員が自宅やレンタルオフィスからインターネット環境を活用して業務を行うことです。そのため企業側は、社内のインターネット環境やリモートアクセスツールなどの整備がまず必要です。社内のインターネット環境を整備するために、Wi-Fi環境を整えるための改修工事が必要な場合もあります。リモートアクセスツールとは、外部から社内のパソコンなどに接続して、社内で業務を行うのと同じような状態にするものです。リモートアクセスツールを活用することで、社内の情報にアクセスできるようになります。
また、セキュリティツールも重要です。テレワークは、従業員が自身のパソコンからアクセスを行うため、情報漏えいのリスクが上がってしまいます。そのため、パソコンに導入するセキュリティソフトや、自社の環境に侵入させないゲートウェイセキュリティ製品の導入などが必要です。情報漏えいを起こしてしまうと、社会的信用の失墜につながるので、万全な対策が求められます。
コミュニケーションツールも必要です。当然ですが、テレワークでは従業員が会社に出勤しないため、コミュニケーションの機会が失われてしまうのが難点です。また、会議を対面で行うことも難しいため、業務の進捗状況の確認を行う手段が必要になります。ビジネスチャットが利用できるコミュニケーションツールを導入すれば、密なコミュニケーションも可能になります。ほかにも、Zoomなどに代表されるWeb会議ツールの導入も検討すると良いでしょう。
最後に、就業規則の改定です。テレワークを実施すると、従来の就業規則ではカバーできない範囲が出てくる可能性があります。例えば、テレワークでは出勤する必要がないため、定期券を購入するための交通費が必要ありません。一方、従業員が自宅から業務を行う場合、光熱費や水道費などの補助は必要になってくるでしょう。こうしたテレワークに適した就業規則になっていなければ、トラブルに発展する可能性もあります。そのため、就業規則の改定も重要になります。
●従業員側で必要なもの
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パソコンなどの周辺機器
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自宅のインターネット環境
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ヘッドセット
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デスク・チェア
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ITツール
自宅などで業務を行うためには、パソコンや自宅でのインターネット環境が必要です。企業によっては支給を行う、環境を整えるための補助を行う場合もあります。社内で業務を行う環境と同じような環境作りが求められます。
テレワークを行うためのデスクやチェアも、場合によっては必要です。リビングなどで業務を行う方もいますが、機密情報を扱うこともあり、注意が必要です。家族がいるため、業務に集中できないなどの懸念もあるでしょう。自室にデスクとチェアを用意し、簡易的な仕事場を用意すると業務の効率も良くなるでしょう。また、Web会議を行う場合はヘッドセットを用意しましょう。音質がクリアになるため、相手とのコミュニケーションがはかどります。
ITツールは、企業側が用意したものをきちんと利用できることが大切です。業務をスムーズに遂行するには、ITツールの効果的な活用が欠かせません。どのように運用するかをきちんと把握するようにしましょう。
テレワークで削減できる費用
テレワークで削減できる費用としては、主に以下の4つが挙げられます。
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交通費
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オフィスの光熱費・賃料
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人材育成費
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採用コスト
従業員は、テレワークによって出勤の必要がなくなるため、交通費の支給は必要なくなります。加えて、Web会議システムなどの活用が広がれば、遠隔地にいる人ともコミュニケーションが図れます。わざわざ出張しなくて済むので、大幅な交通費の削減につながります。
オフィスに出勤する従業員は最低限の人員で済むため、オフィスの光熱費の削減が期待できます。利用していないフロアの電気は消灯する、オフィスの明かりをいつもより暗くするなどに努めれば、省エネにもつながるでしょう。
人材育成費や採用コストも削減が期待できます。テレワークを行うことで、多様な働き方を実現している会社だとアピールすることができます。多様な働き方を取り入れている企業は、従業員の要望にも柔軟に対応が可能です。時短勤務の要望をテレワークにより実現できれば、従業員満足度も向上し、退職者の減少につながります。採用でもアピールポイントとして使えるので、貴重な人材の採用にも、柔軟に対応することができるでしょう。
テレワークでかかる費用
テレワークを実施する際にかかる費用としては、主に以下のようなものが挙げられます。
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通信機器・通信回線の導入費用
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ビジネスツールの導入費用
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備品・消耗品費
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水道光熱費
通信機器や通信回線はテレワークを行うのに欠かせないものです。まずは導入できるような環境を整えることが重要です。それには、通信機器や通信回線を整えることが重要です。合わせて、従業員が外出先でも仕事を行えるようなツールを用意することも必要です。ノートパソコンやスマートフォンなどのデバイス、コミュニケーションツールの導入など、働きやすい環境を整えることも求められます。
加えて、従業員が利用する備品や消耗品、家で業務を行う場合の水道光熱費なども必要です。経費精算がしやすいツールを導入する、水道光熱費は一定額の補助を行うなど、従業員をサポートする費用が発生します。
テレワークシステムの費用相場
テレワークシステムを導入する際にかかる費用は、企業の規模や範囲などによって変わってきます。
導入にかかる要素 | 費用相場 | 内訳 |
---|---|---|
通信回線の導入費用 | 数千円~数万円/人 | 回線工事費、Wi-Fiルーター貸与費など |
通信機器の導入費用 | 数万円~数十万円 | ・テレワークが可能なノートPC・スマートフォン ・テレワークに必要なデバイス →デバイス例:カメラ、マイク |
ビジネスツールの導入費用 | 数千円~一万数千円/人 (月額また年額) |
テレワーク用ツールのライセンス費用 |
備品・消耗品費 | 数千円/人 | ペン、紙、プリンターのトナーなど |
水道光熱費 | 数千円~一万円/人 | 在宅勤務中に発生した通信代や電気代の補助費用 |
上記の表は、社員1人あたりにかかる費用相場です。多くの社員が在籍している企業や部署ほど、費用がかかります。テレワークシステムの導入にかかる費用は、通信回線、テレワーク用のパソコンやスマートフォン、それらに装着して使うデバイス、コミュニケーションツールの導入、勤怠管理システムの導入、Web会議ツールの導入、水道光熱費の補助など様々です。
まず通信回線の導入方法は社員の自宅に回線を引く、もしくはWi-Fiルーターを貸与する、など複数の方法が考えられます。通信回線はテレワークの要でもあるため、最初に検討すべきです。
次にパソコン・スマートフォンについては、スペックが控えめで安いものを購入すれば費用を抑えられますが、スペックの低さのせいで動作が遅く固まる、ツールを使った通信中にラグが頻繁に発生するといったトラブルが発生してしまいます。
快適なテレワークを行うためにも、パソコン・スマートフォンのスペックはある程度高めのものを検討しましょう。
ビジネスツールには年額や月額で支払うものが多く、またユーザー数によっても金額が変わるため、気になるツールについては事前に問い合わせることが大切です。
また、備品・消耗品費と水道光熱費は補助金額を一律金額で支給するのか、算出方法はどうするのかなどを社内で固め、就業規則に明記することが求められます。
テレワークシステム導入で使える助成金
テレワークを実施するにあたって、助成金が活用できます。主な助成金は以下の2つがあります。
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テレワーク促進助成金
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人材確保等支援助成金
それぞれの助成金について解説していきます。
●テレワーク促進助成金
感染症の拡大防止と経済活動の両立に向け、テレワークを更に定着させるため、東京都内の中堅・中小企業を対象に支給される助成金です。
主にテレワークの導入に必要な情報通信機器等の経費が対象となります。助成対象の例としては、パソコン、タブレット、クラウドサービス、ソフトウェア、機器設置・設定費などです。助成金の上限は、常時雇用する労働者数によって以下の2種類が設定されています。
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常時雇用する労働者が30名以上999人以下の事業者:250万円まで
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常時雇用する労働者が2名以上30人未満の事業者:150万円まで
参照元:公益財団法人 東京しごと財団
●人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は厚生労働省が実施している施策です。9つのコースから自社に適切なコースを選び、助成金を受けられるものです。
9つあるコースの中の1つに「テレワークコース」があります。テレワークコースの概要は、実際にテレワークを導入した中小企業に対して補助が行われるものです。具体的にはテレワークにより人材確保が行われた、雇用環境に改善が見られたなどの条件が対象になります。
テレワークコースには以下の2つの助成金が設定されており、それぞれの要件を満たすことが必要です。
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機器等導入助成:評価機関において、テレワーク実施対象労働者全員が1回以上のテレワーク実施などの成果によって、1企業あたり、支給対象となる経費の30%を支援する。
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目標達成助成:評価時の離職率が、計画時の離職率以下だったなどを成果にすることで、1企業あたり支給対象となる経費の20% (生産性要件を満たす場合35%)を支援する
それぞれの要件には、評価期間が定められています。要件を満たせなかった場合、助成金が受け取れないため注意が必要です。
テレワークシステムの種類
一口にテレワークと言っても導入方法は様々です。主な導入方法は以下の6つが挙げられます。
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リモートデスクトップ方式
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仮想デスクトップ方式
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クラウド型アプリ方式
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セキュアブラウザ方式
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アプリケーションラッピング方式
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会社PC持ち帰り方式
●リモートデスクトップ方式
リモートデスクトップ方式とは、社外にある従業員が利用しているパソコンから、社内にある業務で利用しているパソコンを遠隔操作して業務を行う方法です。
テレワークで使用する端末にデータは保存されていないため、端末を安全に利用することが可能です。また、社外から社内にあるパソコンにアクセスして業務を行うため、普段と同じ環境で業務ができるのもメリットです。
一方で接続のための通信環境が悪いと、動作が遅くなるなどのデメリットがあります。通信環境をきちんと整えなければ、普段の業務よりも効率が落ちてしまう可能性があるため、注意が必要です。
●仮想デスクトップ方式
仮想デスクトップ方式とは、サーバーを用意しサーバーに仮想デスクトップを管理する方法です。従業員はテレワーク用の端末からサーバーにアクセスし、業務を行います。
仮想デスクトップは認証方式を設定できるため、外部からのアクセスでも安全な利用が可能です。また、OSなどの管理はサーバー側で行うため、テレワーク用の端末の動作環境はスムーズになります。
一方で、環境構築するために費用が高いことや、サーバー自体が停止してしまうと業務も停止してしまうのが大きなデメリットです。
●クラウド型アプリ方式
クラウド型アプリ方式とは、インターネットを活用してクラウド環境にあるアプリに接続して業務を行う方法です。クラウド環境を活用するため、社内での業務でもテレワークでも全く同じ環境で業務が行えます。クラウド型アプリは、サーバーの設置などの環境構築が必要ないため、初期費用を抑えて実現できるのが魅力的な点です。
●セキュアブラウザ方式
セキュアブラウザ方式とは、クラウド型アプリ方式を応用して行う方法です。「セキュア」とは「安全な」「強固な」などの意味をもつ英単語です。「セキュアブラウザ」はより強固なセキュリティ環境にあるブラウザという意味です。
セキュアブラウザを活用することで、テレワークで利用している端末へのデータ保存の制限、不正アクセスの防止、閲覧履歴など情報漏えい防止につながります。よりセキュリティを強化した環境で行いたい場合に有効です。
●アプリケーションラッピング方式
アプリケーションラッピング方式とは、ラッピングアプリをテレワークで利用する端末にインストールし、業務を行う方法です。テレワークでは、会社の情報に直接アクセスはせず、すべてラッピングアプリを経由して行います。そのためデータはアプリ上に滞留され、端末上には残らない仕組みです。アプリを閉じれば、利用したデータ履歴も削除されます。
なおアプリが立ち上がらない場合、業務が行えないため注意が必要です。
●会社PC持ち帰り方式
会社PC持ち帰り方式は、その名前の通りです。業務で利用しているパソコンを、社外に持ち出し同じ環境で業務を行うことです。使い慣れたパソコンで業務が行えるため、スムーズにテレワークを行えることがメリットです。
一方で、会社のPCを外部に持ち出すことは、情報漏えいのリスクがあります。そのため強固なセキュリティ対策はもちろんのこと、従業員に対して教育や周知を行うことも必要です。
まとめ
テレワークは今後も、あたり前の働き方として広がっていくと予想されます。テレワークを実現することは、多様な働き方ができる企業であるというアピールにもなります。従業員満足度も高くなるため、企業にとっては大きなメリットがあると言えます。
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