発注ナビをどのように利用するかはさまざまだが、成約率が高い会社には相応の工夫と取り組み、そして努力がある。株式会社TCは、発注ナビの利用開始からわずか2カ月の間に4件商談に進み、3件の成約に至るという高い成約率を達成した。その秘訣はどこにあるのだろうか。同社代表取締役である高井雄治氏からお話を伺った。
社名 | 株式会社TC |
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所在地 | 大阪府大阪市都島区都島本通4-6-10 TCビル2F |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | ITコンサルティング・DX支援事業、開発請負事業 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
SES事業を中心にビジネスを展開していたが、将来を見据えて受託開発の案件を増やす方針に転換し、自社の強みであるコンサル力を前面に押し出すことで、新規顧客の開拓を試みた。しかし、潜在顧客を見つけてから顧客のニーズを掘り起こし、案件受注に至るまでのリードタイムが長いという課題があった。
- 導入後の効果
発注ナビの案件はいずれもシステム発注に対する積極性が高く、持ち前のコンサル力を活かした商談で高い成約率を達成。自社の新たな得意領域を創出する機会も増えた。また、副次的な効果として、自社に所属するエンジニアから受託開発を担当したいという声が増え、会社全体のモチベーションが大きく向上した。
『受注までのリードタイム』と『人的リソースの不足』が課題だった
株式会社TCは、大阪府大阪市に本拠を構える2021年2月に設立されたソフトウェア開発会社だ。設立から間もない会社であるが、代表の高井氏は業界で豊富な経験を持ち、これまでさまざまな開発プロジェクトに携わってきた。
「元々、SESを中心としたコンサルティング業務に携わることが多く、大手企業の開発プロジェクトに入ることも少なくありませんでした。2019年以降はリモートでの案件が増えていき、将来を見据えて受託開発の案件を増やしていく必要があるという結論に至り、受託開発の体制を整えるために会社を設立しました」(高井氏)
現場でITコンサルティングの業務にも携わり、顧客が抱える課題の解決やIT戦略の立案なども手掛けてきただけに、高井氏の想いは明確だ。
「お客様には『こういう困りごとを解決したい』あるいは『こういうシステムが欲しい』という考えがあります。しかし具体的にどうすれば良いのかわからない。そうした課題やニーズを解決するための『ベストな手段を考える』部分を手掛けていきたいというのが当社の方針です。SESではなかなか手掛けられなかった部分でもあります」(高井氏)
そうして同社が設立され、当初は直接自社で営業を展開しようと画策したという。しかし、受託開発を受注するためのハードルはかなり高かったと語る。
「お客様の開拓には課題を掘り起こすコンサル業務から入っていったのですが、そもそもの信頼関係の構築に時間がかかり、課題の特定やシステム開発の話に至るのはさらに先という状態でした。案件受注までのリードタイムを短縮するために潜在的なニーズのある複数のお客様にアプローチをかけることも考えましたが、同時並行で営業を進めていくには人的リソースも足りていませんでした」(高井氏)
『もっと受注までのリードタイムを減らしたい』という目的から、高井氏は案件マッチングサービスの導入を考えたという。
比較検討の末、利用サービスは発注ナビのみに。理由は『顧客の関心と積極性の高さ』
それから早速、高井氏は10社以上の案件マッチングサービスに登録し、比較検討の末、3社のサービスを実際に利用してみた。しかし現在は発注ナビの利用のみに絞っており、他のサービスは契約期間が残っていたにもかかわらず使わなくなったのだそうだ。その理由は何だったのだろうか。
「一言でいえば、お客様のシステム発注に対する関心と積極性の差です。これはそれぞれのサービスで複数のお客様と商談して初めて分かったことですが、発注ナビから紹介される案件は、システム導入に対する本気度、あるいは前向き度がとても高いと感じました。自ずと商談にも力が入ります。また、同じお客様を紹介する開発会社を、あらかじめ数社に絞り込んでくれているのも好印象で、具体的な商談に入りやすい。競合が10~20社ともなると最初の見積もり段階でふるいにかけられてしまうことがあり、こちらの提案を聞いていただくチャンスが失われてしまうことも少なくありません。発注ナビから紹介されたお客様は概ね商談まで進めます」(高井氏)
同社は2022年3月に発注ナビを導入した。同社が選んだのは契約期間内にエントリー月を自由に選べるセレクトプランだ。たとえば『1年で6カ月間』という契約ならば、契約期間である1年間のうち、任意の6カ月で利用できるというものだ。もちろん利用中であれば1カ月に何件エントリーしてもかまわないし、何件受注しても料金は変わらない。
「3月に契約をしましたが、実際に利用したのは5月のゴールデンウィーク明けからでした。新着案件の中から複数の希望案件にエントリーし、6月には紹介されたお客様との商談を進めました。結果、3週間ほどで3件、約1000万円の受注がまとまったため、7月以降はエントリーしていません。開発リソースが限られているので、エントリー月を選べて無駄がないところも気に入っています」(高井氏)
同年6月までの時点で、発注ナビからは6件の案件を紹介している。
「具体的な商談まで進めさせていただいた4件のうち3件を受注できたことに、とても満足しています」(高井氏)
こうした高い成約率の秘密はどこにあるのだろうか? 同社の発注ナビ活用について探ってみた。
高い成約率の秘密は『最初の打ち合わせのムダな時間』を省くスピード感
同社は、新着案件の情報が到着次第、社内のチャットに流しているという。
「チャットに情報を流してから、それぞれの案件に対してエントリーするかどうかをエンジニアが判断しています。とはいえ、技術領域が異なる案件や予算規模が見合わないものを除けば、あとは積極的にエントリーしています」(高井氏)
そして案件のエントリー後、発注ナビから実際に顧客の紹介を受けてからは、スピード感を大切にしているという。
「発注ナビを利用している開発会社の方と何人か会ったことがあります。そこで気づいたのは、当社の場合、システムが分かっていて、かつプロジェクトの流れを熟知している人間が営業をやっているのが強みなのかなと感じています」
確かに、顧客自身のITへの詳しさに依存せず、最初からしっかりとしたIT知識を持った人が商談の場に出てくることで、安心感や信頼を醸成できるかもしれない。しかし高井氏によれば、それ以上にスピーディーに商談を進められる効果の方が大きいという。
「他の開発会社さんは最初にご挨拶をして、受注の確度が高まったらはじめて現場に振り、技術に詳しい人間が出てくるというケースが多いようです。でもそれだと、話の進み方が遅くなってしまいます。当社は、お客様への最初のメールでシステム上のポイントになる部分をある程度聞き出すようにしています。そうすることで、最初の商談からある程度具体的なお話ができています」(高井氏)
また、顧客のニーズが具体的でない場合は、最初のメールであらかじめ用意した質問を送ることもあるという。とにかく1回目の打ち合わせのムダな時間を省くことを心掛けている。
「最初のメールに、質問⇒打ち合わせ⇒お見積もりという具体的な流れをご案内して、商談のプロセスのゴールまでを把握していただく試みも行っています」(高井氏)
丁寧な対応で顧客の信頼を獲得。社内エンジニアのモチベーション向上にも効果が!
同社はユーザー企業出身の社員が多く、ベンダー出身やシステム開発会社出身者には経験できていない部分に知見を持っているのが強みだという。
「お客様の事業やサービスをビジネス目線で捉えることができるため、ただ要件を聞き取りシステムに落とし込んでいくのではなく、こういうシステムにしたければビジネスプロセスはこうするべきとか、予算をかけるならここにするべきとか、場合によってはお客様の意向と真逆の意見も出します。もちろんお客様と業者という関係ではありますが、できるだけ対等な立場で意見を出し合えるような関係を構築できるように心掛けています。ご成約いただいたお客様は、そうした当社のスタンスを評価していただけたのだと思います」(高井氏)
また、同社では商談や打ち合わせ時の議事録を、顧客にも欠かさず送付しているという。これも商談のスムーズな進行に貢献しているようだ。
「お客様からは『見積もり書が丁寧』という声をいただくことが多いですね。1枚目には請求金額を記し、添付資料としてプロジェクト背景、目的、作業概要、体制、お客様との役割、納品物、前提条件なども記載しています。かつて私がベンダーで仕事をしていたときには、もっと詳しいものを提出していました。お客様からプロジェクト管理がしっかりしているな、という印象を持っていただけているのだと思います」(高井氏)
丁寧な対応で信頼を勝ち取り、高い成約率を実現している同社だが、その一方で嬉しい悩みもある。なんと、同社の得意領域ではない案件も成約が決まったのだという。高井氏は、これをきっかけに新たな領域を同社の得意分野にしていけるよう、知見を磨いていきたいとのことだ。
さらに、発注ナビを導入した効果は、単に案件受注だけではなかったという。
「所属するエンジニアの本気度が変わってきました。今の当社は、SESでの開発よりも受託開発をやりたがるエンジニアが増えています。お客様の顔が見える開発に魅力を感じているようで、これをきっかけに幅広い視点でお客様の課題解決ができるメンバーが育っていけば良いなと考えています。発注ナビの導入により社内のモチベーションは以前に比べて格段に向上しています」(高井氏)
発注ナビの利用により、案件の受注のみならずエンジニアの意識改革にも成功した同社。今後はコンサル事業をより一層強化し、顧客の課題解決に邁進していきたいという。
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