「発注ナビ」にご登録いただいている開発会社の皆様が発注ナビの導入に至った経緯、その使用感、そして導入後のビジネスの変化は、どのようなものだろうか。有限会社T&Kオフィスの代表取締役である潮田考行氏にお話を伺った。
社名 | 有限会社T&Kオフィス |
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所在地 | 東京都港区芝浦4-9-35-1803 |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | Webシステム設計、ファイルメーカーを活用したシステム開発 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
ファイルメーカーをアプリケーションプラットフォームとした開発を行っていたが、Webでの集客やリファラル営業の限界に。固定費削減のため営業スタッフを置かない方針から、新たに営業代行・広告代行サービスなどを利用してみたものの、期待した効果は出なかった。
- 導入後の効果
発注ナビを契約した月に300万円の受注に成功するも、その後少し停滞期に。専任アドバイザーの助言を受け、積極性を持って案件にエントリーしてみると再び受注に成功。それを機に、ファイルメーカーと他のソフトやサービスを連携させると、提案の幅が広がり、ビジネスエリアも拡大していき、さらなる受注増につながった。
経営から現場までを知り尽くし、ファイルメーカーによる開発を得意とする会社
有限会社T&Kオフィスは、2003年の設立以来、受託開発を中心にビジネスを展開してきたソフトウェア開発会社だ。同社の代表取締役である潮田氏は、企業の経営から現場までを熟知し、業務システムの開発に必要とされるあらゆる角度からの視点をカバーしている。
「前職では、経理・総務・管理の仕事をこなしながら、会社が好調な時期からバブル崩壊の苦難の時代を迎え、会社のライフサイクルで起きることのほぼすべてを経験しました。そのため、常にお客様の立場に立ってビジネスに踏み込んでいくことを得意としています」(潮田氏)
システムの開発を成功させるには、経営サイドのニーズと現場サイドのニーズのどちらか一方だけでは難しく、両者を高い次元で満たさなければならない。その点で同社は、潮田氏の実体験から、多角的な視点による提案が行えるという大きな強みがある。
また、もう一つの同社の大きな特長は、米クラリス社のアプリケーション開発プラットフォーム「ファイルメーカー(FileMaker)」を使ったシステム開発を得意としている点にある。
ファイルメーカーはリレーショナルデータベースを核とし、多彩な機能を備えたアプリケーション開発プラットフォームで、長年にわたる実績を持つ。強力なデータベース機能に加え、ローコード(少ないプログラム数)で多様なアプリケーションを構築できる特性から、開発期間の短縮や、開発費の低減、プログラム中に潜む不具合が発生しにくいなど、数多くのメリットがある。
短納期で導入できるシステムという点ではパッケージシステムという選択肢もある。パッケージシステムは、あらかじめ作り込まれた完成形のシステムで、ユーザーの事情に合わせて多少カスタマイズができる余地も用意されているが、カスタマイズできる部分は限定的で、それ以外の部分はシステムに合わせて業務のフローや手法を変えなければならない。
「たとえ同じ業界・業種でも企業理念や将来ビジョンによって、ビジネスに対する考え方や業務フローなどが異なります。実は、そこが組織をうまく回していたり、企業文化を形成していたりする根幹であり、特に中小企業では、大切にしなければいけない部分なのだと思っています」
ファイルメーカーはアプリケーション開発プラットフォームであり、その上に自由にアプリケーションを構築できるため、顧客ビジネスにピッタリとフィットしたシステムの開発ができる。開発可能なアプリケーションも、経理や財務はもちろん、CRM、POSシステム、在庫管理や作業追跡など多岐にわたる。
実際に同社でも、衆参両院有権者管理システム、ナースセンター管理システム、不動産会社マンション販売管理システムなど、幅広い業種において、さまざまな目的のアプリケーションを開発しているという。
リファラル営業やWeb集客の限界に直面
そんな同社は、どのように発注ナビ導入に至ったのだろうか。
もともと固定費の削減のため営業部門を設けないこととしていた同社は、創業からしばらくの間、リファラル営業やWebでの集客に頼っていたという。
「ファイルメーカーを使った開発の需要はニッチでしたが、SEO対策で検索エンジンの上位に表示されるようにし、露出度をアップするなど、マーケティングにも力を入れ、一定数のお客様の獲得には成功していました」
しかし、当時のホスティング会社の仕様変更などもあり、次第に集客数も落ちてきたためSEO対策をやめたという。その後、営業代行、広告宣伝媒体の代行を依頼したものの「期待した効果は無かった」という。そこで新たな営業ツールとして導入したのが案件紹介サービスだった。創業から6年が過ぎた頃のことだ。
「発注ナビに行きつくまでに、いろいろな案件紹介サービスを利用しました。しかし、サービス形態はさまざまで、たとえば『案件としてのご紹介』というカタチではなく、登録された案件に開発会社が端から見積もり提示をしていくというものもあり、数十社が同時にアプローチしていて発注企業も対応に苦慮されているというケースもありました。こちらがご連絡を差し上げても、商談どころか、話をする前に断られてしまうことも少なくありませんでした。そういうサービスが馴染む企業もあるとは思いますが、当社には馴染みませんでした」
さまざまなサービスを試してみたが「これもダメ、あれもダメ、どうしよう」という状況だったという。そのような中、ネット上で発注ナビを見つけた。
「すでに、2つのサービスと契約していましたが、あまり結果につながっていなかったため、新たに発注ナビも試してみることにしました」
エントリーした開発会社の中から数社に絞り込んで発注業者を紹介するという発注ナビのサービス形態は、同社にとてもよく馴染んだという。また、発注ナビ契約後、すぐにエントリーしたのが、たまたまファイルメーカーでOKという案件だったことが功を奏した。
「契約してすぐその月に300万円の案件を受注できました。これは発注ナビが仕掛けたサプライズのプレゼントなのか? と疑ったほどでした(笑)」
停滞期を迎えるもカスタマーサクセスのアドバイスで脱出!
しかし、その後しばらくの間、なかなか受注に至らない停滞期に入った。
理由は「ファイルメーカー案件に固執したため」だった。エントリーに際して、ファイルメーカーの指定があるか、ファイルメーカーで無難に開発ができそうな案件を選んでいたため、自ずとエントリー件数が少なくなったことに加え、無難な案件は他の技術を用いても比較的容易に開発できるため、おのずと競争が激しくなる。加えて、パッケージシステムで提案してくる開発会社もあるため、納期面で優位性もなかなか相手には響かなかった。
そんな時に同社を救ったのが、発注ナビの専任アドバイザーだったという。発注ナビにはカスタマーサクセスと呼ばれるサービスがあり、それぞれの開発企業に専任アドバイザーが付き、定期的にミーティングの機会を持つようにしている。受注に関する分析情報の共有や各種の相談を行い、受注がうまくいっていない企業に対しては受注につながるアドバイスも行う。
「アドバイザーからは『もっと積極性を持ってエントリーしてみては?』という提案をもらいました。言われてみると、確かに自ら制限を課していて、勝手に『この案件はファイルメーカーじゃ無理だろう』と思い込んでいたものが、いくつもありました」
そこで、まずはエントリー数を絞らないように意識するところから始めたという。そうすることで次第に自身の意識も変わり始め、視野も広がるようになった。それから3カ月ほどして、再び受注することができるようになったという。
「お客様は業務用Webアプリケーションシステムの開発をご希望で、事前の案件情報によると、先方のご希望には、いくつかのプログラミング言語の候補と、データベースにMicrosoft SQL Server、インフラとしてAmazon AWSが指定されていました。しかし、あきらめずにファイルメーカーで提案をしてみたところ、意外なことに、こちらの提案をすんなりと受け入れてくださいました」
実際に話を聞き、こちらから提案しなければ結果は分からない。そこからは積極的な姿勢に転じた。潮田氏の提案もファイルメーカーだけで完結するものから、発注企業の声に応えるために、一歩外へと踏み出した。
「Web APIでクレジットカード決済サービスと連動して決済機能を追加したり、SNSと連動して情報発信機能を強化したり、ODBCを使ってSQLでRDBMSと接続したりと、いろいろなソフトウェアやサービスと連携させることで、お客様への提案の幅もかなり広がりました」
また、リモートでの打合せも当たり前になってきたため、エリアをあらかじめ限定することもやめた結果、岩手や大阪の案件受注にも成功するなど、ビジネスエリアも全国へと広がった。
「今や、発注ナビは当社の『営業部門』という感覚で位置づけています」
中小企業の業務効率化と、人材の有効活用で社会貢献していきたい
そんな同社に今後のビジネスの展開を聞いてみた。
「日本の中小企業のほとんどがシステム化できていません。そこを何とかしていきたいですね」
日本の企業の99.7%は中小企業であり、その数は380万社に上るとも言われている。すなわち、日本の経済活動の生命線は中小企業の活性化にある。しかし、潮田氏によれば、業務のシステム化が遅れているため、雑用に追われ、ビジョンや理念を遂行できないケースが多く見受けられるという。
「まずは煩雑な日常管理業務からの脱却が必要です。私は会社員時代に事務職の経験があるので実感していますが、PCにできる単純作業はPCに任せることで、人が本来すべき生産性のある業務に従事できるようになります。しかし、中小企業は潤沢な資金があるわけではないので、大胆なコストをかけられません。その点、ファイルメーカーなら、コストパフォーマンスがより良いシステムをご提案できますので、当社がお役に立てるものと考えております」
さらに潮田氏は、将来のビジョンを次のように描いている。
「業務が効率化され人材の有効活用が可能になれば、社会復帰の場や、引退後のスポーツ選手の働く場を創造していくことができます。そうしていけば、一人ひとりが主体的に、毎日を楽しく心豊かに過ごせる社会を創造できるのではないかと考えています」
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