IT技術の発達に伴い、現代は多くの企業で基幹システムや業務システムが導入されています。各システムを社内あるいは社外に提供している場合は、システム自体が止まらないように保守・運用が欠かせません。この保守・運用の代表的な手法が、「24/365運用」です。
24/365運用では、穴を開けずにシステムを調査して問題を把握する必要がありますが、人員的な問題があるので自社だけで対応するのは困難です。そのため、外注を依頼するのも有効な手段になるでしょう。本記事では、24/365運用の業務概要や課題・解決方法などをご紹介します。
目次
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24/365運用とは
24/365運用とは、システムをいつでも安定して稼働させるために、以下のような業務を行うことを指しています。
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監視:サーバーログやステータスの調査
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問題の特定:トラブルが発生した際の問題の洗い出し
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解決:なるべく早いタイミングでの問題解決
「24/365」という言葉のとおり、時間を空けずに24時間365日業務を遂行する必要があります。穴を開けないために複数の人員を用意して、シフトを組み順番に対応する方法が一般的となります。
現代では、基幹システムやECシステム、クラウドストレージシステムといったようなさまざまなシステムが出回っており、業務効率化やデータ共有などの面で役立てられています。ただし、その分機能が使えなくなった時の被害が大きいのも課題です。そこで24/365運用によってトラブルを未然に防ぐ、あるいは発生した際も最小限の被害にとどめるといった工夫が必要となっています。
この24/365運用体制を構築するには、自社で人員を用意して体制を整える、または外注してシェアードサービス企業などへ任せるといった方法があります。24/365運用をバックオフィス業務として考える場合は、外注したほうが安心です。ただし将来的に外部へノウハウを提供したい場合は、コストがかかっても内製で運用すると良いでしょう。
24/365運用が抱える課題
24/365運用には次のような課題もあり、自社ですべて運用するには難しい部分もあります。
●安定した運用体制を用意するのが難しい
システムの保守や運用を行うという特性上、24/365運用にはITエンジニアが必要ですが、必要な技能を有している人材は限られています。人材が大手企業などへ流れていると、自社で十分な数を確保するのは難しいかもしれません。また、休暇やほか業務との兼ね合いで、すべてのリソースが安定して供給できるわけではない点もデメリットです。システムの運用体制が安定していないと、障害解決に時間が発生する、クレームが増えるといった問題が頻発する可能性があります。
●シフト体制を工夫しないと離職につながるリスクもある
システムの保守や運用をAIで代用する手もありますが、残念ながら現代で自動化できる部分は限られており、依然として人の手による24/365運用体制構築が必要です。当然、人間は24時間365日働けないため、シフトをうまく回す必要があります。とはいえ、人数が少ないとバランスを取るのが困難です。
シフトに抜けが出るリスクも考えると、代替の人員まで用意する必要がありますが、実際には長時間同じ人員が張り付いて作業しているケースも少なくありません。キャリアパスが構築しにくいことも影響してモチベーションが下がり、離職してしまう従業員が出てくるリスクがあります。企業としては、シフトを工夫して負担が特定の人員にかからないようにしながら、離職リスクを防止する必要があるでしょう。
●業務スキルが属人化して安定しない可能性がある
エンジニアの業務スキルは属人化しやすい傾向にあります。担当者のスキルレベルがバラバラだと、障害解決の時間や業務の質に影響が出て24/365運用がうまく機能しないケースも出てきます。企業としては、現在起きている問題の原因や解決方法をわかりやすく提示してほしい、ほかにも必要な対策があれば今のうちに実行してほしいといった希望があるでしょうが、24/365運用の担当者すべてが希望に沿ってくれるわけではない点に注意が必要です。
24/365運用を改善するポイント!可視化や運用体制整備が重要
24/365運用を改善するためには、次のポイントを踏まえてみましょう。
●システム運用状況を可視化する
24/365運用を行うには、監視体制の構築が必要です。わかりやすい画面でシステムログやステータスを確認できないと非効率になって、問題発生時にすぐ対応ができないリスクもあります。
サーバー稼働率の低下をはじめ、メモリやCPUへの過度な負担、サイバー攻撃の発生といった事例に対応するには、各指標を数値やグラフで確認できる統合的なツールが必要です。また、トラブル発生時にアラートを出してくれるといった補助機能も重要になってきます。自社の課題や目的に合ったツールを選定して導入できれば、速やかな問題解決を実行できます。
●あらかじめ運用体制を整備しておく
24/365運用においては、システム状況の定期確認やハードウェアの換装などの、さまざまな業務が発生します。どれか1つでも対応フローが構築されていないと業務がストップして、問題解決が滞る可能性があるでしょう。そこで、運用体制についてはあらかじめ細かく整備しておく必要があります。具体的には、事例に応じた対応の方法や各担当者の役割といった項目を整理して文章化することで、誰でも適切な方法で問題解決に当たれるようになります。また、特定の人員に負担がかからない運用体制ルールを整備するのも重要です。
●運用で得られたナレッジを共有しておく
24/365運用を続けると、「このトラブルはこうやって解決した」「このトラブルでは追加でこういった問題も起きた」というノウハウが蓄積されます。こういったノウハウが共有されていないと、担当者がスムーズな問題解決ができなくなる可能性があります。そこでツールなどを用いて、担当者が逐一必要なノウハウを登録、ナレッジとして共有できる仕組みを作るのが重要です。ナレッジ共有により、スキルに応じた対応のばらつきが減って、人員に抜けが出ても柔軟にトラブル解決がしやすくなるでしょう。
ナレッジ共有の方法としては、チャットボットでデータ入力すると必要なノウハウが出てくる、FAQツールに逐一データを登録して一覧で呼び出せるようにしておくといった事例が挙げられるので、好きな方法で共有を行ってください。
24/365運用を見直すには外注がおすすめ!委託するメリット
24/365運用を見直すには、外注(アウトソーシング)がおすすめです。バックオフィスとしての24/365運用を任せられる企業は多く、さまざまな強みを持っています。自社に合った企業へ外注することで手間を抑えられるでしょう。委託企業では、以下のような業務を代行してくれます。
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ツールと人をうまく併用したシステム監視
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必要なデータのバックアップ
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ファイアウォールの設定などセキュリティに関する対策
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IT資産のチェックや老朽度合いの管理
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システムで必要となるアップデートの実行
また、依頼することで次のようなメリットも得られるでしょう。
●コスト削減につながる
システムの保守や運用は、エンジニアの採用コストや離職防止コスト、教育コストなどを総合的に考えると、費用が膨らんで結局コストメリットが得られない可能性もあります。一方、24/365運用の代行企業は、運用を専門としてリソースを用意し、効率良く業務に当たれる環境を構築しています。自社で人員を確保する際に必要な各コストがなくなり、依頼費用だけを考えれば良いようになるのがポイントです。依頼先を選定すれば、さらなるコスト削減にもつながるでしょう。24/365運用は利益が直接発生しないバックオフィス業務なので、コスト削減による自社利益の増加はぜひ狙いたいところです。
●24/365運用の正確性が上がる
24/365運用を請け負っている企業では、大手システムの24/365運用実績があるほか、国際規格を取得している企業も多いです。こういったノウハウが豊富な企業へ依頼することで、自社では安心して24/365運用を代行してもらえるでしょう。
例えば、自社で「販売部門と24/365運用を兼任」といった体制を取っていると、時間の確保やコア業務への注力が疎かになりやすいといったデメリットが発生します。24/365運用を丸ごと他社へ代行すれば、業務の正確性も上がり、従来の運用担当者は安心してコア業務へ集中できるようになるでしょう。
●有給取得を促進するといった福利厚生を確保しやすくなる
自社だけで人員を回して24/365運用を実行しようとすると、人員の抜けや不測によって福利厚生にまで影響が出てしまうリスクがあります。一方、外注であれば企業(ベンダー側)が適切な人員を外部で用意してくれます。時間が空いた分は、有給取得の制度整備や推進などへ回せるようになるのもポイントです。政府が提唱する働き方改革により、従業員の有給取得は義務となっていますが、未だに対応できていないところもあります。信頼性低下を回避するため、有給取得を適宜実行できる環境作りが必要です。
24/365運用・監視サービスを行っている会社の選び方
運用・監視サービスを行っている会社を選ぶには、以下のポイントに気をつける必要があります。
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開発から運用まで一括して任せられるか
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業績が安定していて実績が多いか
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担当者のヒアリングスキルに問題がないか
システムの開発や運用・監視に関しては、全工程を同じ企業が請け負う、または一部の工程を実行したあとは下請けに依頼するといったパターンがあります。詳しくサービス内容を調査していないと、マッチングにずれが生じる可能性もあるので注意しましょう。システム開発から運用・監視までを安心して任せたい場合は、多少コストが高くなっても全工程を自社で行ってくれる企業への依頼がおすすめです。
●外注と契約する時のポイント
システム保守契約を外注と結ぶ際は、保守業務の具体的な行為を明確にしましょう。「具体的に何をしてもらうか」が不明瞭だと、責任の所在も曖昧になってしまい、トラブルの解決が難しくなります。
開発や運用を行っている企業が乱立している背景を考えて、経営の安定性に着目するのも良いでしょう。長期間運用・監視を任せるならば、安定感のある企業を選んだほうが当然安心できます。また、実績に関しては数だけでなく、自社業種と同じ企業との取引履歴が豊富にあるかも確認しておきましょう。企業のスキルを見極めるには、ヒアリング担当者の質を把握することも重要です。
詳しい運用・保守などを任せられる企業については、以下の記事でご紹介しているので参考にしてみてください。
運用・保守を疎かにしない姿勢が大切
24/365運用は、自社で行おうとすると負担の大きいものになります。
自分たちの業務を圧迫させず、上手に24/365運用したい場合は外注での運用・保守も検討してみましょう。特に運用・保守は、企業の利益と直結しない業務なので、仕組みや環境の構築が後回しになってしまうこともしばしばです。とはいえ、トラブルの対応が後手に回れば大きな損失を被る可能性もあるので、万全の体制を整えておくようにしてください。
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