システム開発を効率良く進めるためには、開発に役立つ機能を詰めあわせたフレームワークの存在が不可欠です。
フレームワークは数多くの種類がリリースされていますが、Webアプリケーションのフレームワークとして知られる「ASP.NET」をご存知でしょうか。
今回は、ASP.NETの基礎知識や特徴、搭載されている機能などを紹介します。
目次
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そもそも.NETとは?
.NETは、主に「Microsoft .NET Framework」というアプリケーション、または開発環境を指す単語です。
WindowsのシステムやWebサービスなどの開発に利用され、Windows7以降のOSに標準で搭載されるようになっています。システム開発の中でも、勤怠管理システム、在庫管理システムといった、業務の根幹を担うシステムやアプリケーション開発に適しています。また.NETは、複数のプログラミング言語でシステム開発を可能とする「CLR(共通言語ランタイム)」という機能を備えていることから、複数のエンジニアで作業がしやすいのもメリットです。
このほかにも.NETという言葉は別の意味で使用されることも少なくありませんが、より細かい情報に関しては以下のページをご参照してください。アプリケーションの.NETが誕生した経緯から、具体的な用途に至るまで詳しく紹介をしています。
ASP.NETとは
ASP.NET | Open-source web framework for .NET
ASP.NETとは、マイクロソフト社が提供しているWebアプリケーション開発の枠組みで.NET Framework上に構築されたWebアプリケーションのためのフレームワーク群のことです。
.NET Frameworkはマイクロソフトが開発したフレームワークで、Webサービスおよび、Webアプリケーションのための開発環境です。特定のOS環境に依存しない開発環境で、Windows、Windows Phone、Web、Windows server、Microsoft Azureなどのアプリを作成するための開発プラットフォームです。
端的に言えば、ASP.NETは「.NET Frameworkに搭載されているフレームワークの1つ」という認識でも良いでしょう。
ASP.NETをマイクロソフトが提供しているVisual Studioの統合開発環境を用いると、HTTPやHTMLなどの基本的なWebテクノロジーに詳しくなくても、高機能なWebアプリケーションを開発できるのが特徴です。例えば、Webページボタンを設置してそれをクリックすると、メッセージが表示されるというような対話的なページを作りたいなら、Webフォームと呼ばれるファイルをVisual Studioで作成して、ボタンをドラッグアンドドロップするだけでフォームを作成できます。
ASP.NETに搭載されている機能とは
ASP.NETの機能 | 主な特徴 |
---|---|
ASP.NET Web Forms | ドラッグ&ドロップ配置でアプリ開発ができるフレームワーク |
ASP.NET MVC | モデル、ビュー、コントローラのMVCを採用したフレームワーク |
ASP.NET Core | クラウドベースのアプリケーション開発に特化したフレームワーク |
ASP.NET Web API | HTTPサーバーを構築できるフレームワーク |
数多くのフレームワークが次々とリリースされる現代でも、ASP.NETは業務用Webアプリケーションのフレームワークとして柔軟に対応し、開発の現場で活躍しています。この汎用性の高さは、内部に搭載される機能が細分化され一つのフレームワークの中に複数の機能が搭載されているためです。ただし.NETのバージョンによっては、一部の機能が搭載されていないこともあります。またASP.NET(.NET Framework)は開発によってフレームワークを使い分けられるという利点がある反面、熟練したエンジニアでなければすべての機能を使いこなすことが難しいという特徴もあります。
ASP.NETは何に役立つの?
ネットワーク経由でアプリケーションを利用できるASP.NETですが、ここではそれを使って何ができるのかについて説明していきます。ASP.NETが使われる一例としては、営業管理、顧客管理、ICT管理、販売管理、在庫管理、財務会計、給与会計といった会社経営管理のサポートやサイバー攻撃のチェックなどの危機管理に使われます。
また、ASP.NETが持つ特徴の一つとして、ほかのフレームワークと違い、特定の言語に依存しないというものがあります。代表的な言語としては「C#」「VB.NET」、「F#」、「C++」、「JScript.NET」などがあります。それ以外にも.NET Frameworkに対応している言語であれば利用可能です。以下では、それぞれの言語の特徴を見ていきましょう。
●C#
C#を使用することで.NET Frameworkで稼働し、安全で信頼性の高いさまざまなアプリケーションを構築できます。C#は.NET Frameworkの基本言語でもあるので、数ある言語の中でも学習しやすく多くの人に使われています。
●VB.NET
VB.NETは、マイクロソフトが開発元のプログラミング言語です。C#と並んで多くの人に使われている言語で、フォームを使ってグラフィカルユーザーインターフェイスありのアプリを簡単に作れます。コード入力の手間が少なく書きやすく、プログラミング初心者の方でも扱いやすい言語です。
●F#
構文が非常に軽量で、メタデータをほとんど書かなくていい特徴があります。バグの少ないプログラムを書くための機能が充実しているのと同時に、非常に少ないコード量で済むため、エンジニアから高い評価を得ています。
●C++
C++は、C言語のようにハードウェアを直接操作可能なので、javaやほかの言語のようにプラットフォームを活用したグラフィカルユーザーインターフェイスのアプリケーションやモバイルアプリなど広範囲のプログラムを作成できます。機械語にほとんど近い実行ファイルを生成して実行するため、ほかの言語に比べ高速での処理が行えます。
ASP.NET導入のメリット・デメリット
先の項で紹介した通り. ASP.NETは「C#」や「VB.NET」など、さまざまなプログラミング言語に対応しています。そのため、プログラミング初心者~上級者まで幅広く効率的な開発をサポートしてくれます。また、UNIXを使った場合と比べてコストを抑えやすい点も、ASP.NETを導入する大きなメリットといえます。また、開発元がMicrosoftである分、ASP.NETはWindows上で動作するシステムやアプリケーション開発と相性が良いという特徴もあります。業務システムやアプリケーション開発においては、ASP.NETひいては.NET Frameworkの存在が重宝するでしょう。
反対にASP.NETは誕生から長い年月こそ経過しているものの、プログラマーやエンジニアが集うコミュニティが少なく、情報量に乏しいという欠点があります。人気と実績が少ない点も、ASP.NETの導入がしづらい原因の一つとなっています。
ASP.NETのインストール方法とは?
最後に、Windows OSにおけるASP.NETのインストール方法を紹介しましょう。まずは.NET Coreの実行ファイルを、以下のマイクロソフト公式ホームページからダウンロードします。
Download .NET (Linux, macOS, and Windows)
その後.NET CoreのリリースとそれらがサポートされているWindowsのバージョン情報を確認します。これは.NET自体にさまざまなバージョンがあり、対応するWindows OSが異なっているからです。ダウンロードする際にサポートバージョンとサポート外のバージョンが表示されるので、「Supported versions」を選択します。
2020年11月現在、「.NET5.0」、「.NET Core 3.1」、「.NET Core 2.1」がサポートされていますが、この中から「recommended」と記載されているバージョンを選択します(※2020年11月現在では.NET Core 3.1がそれに相当します)。次のページで、OSのバージョンが右側に表示されるので、Windowsバージョンから、「Hosting Bundle」を選びます。その際下方に、64ビットバージョンと32ビットバージョンが表示されるので、使用しているパソコンのCPUとOSに応じたものを選びます(※X64が64ビット、X86が32ビットです。パソコンがどちらかわからない場合、スタートボタン→システム→バージョン情報で確認できます)。
ダウンロードしたファイルを実行して、「ライセンス条項」の同意の画面で同意にチェックを入れると.NETのインストールが開始されます。インストールされているかどうか確認するには、エクスプローラーを起動してパスを入力する欄に「%SYSTEMROOT%\Microsoft.NET\Framework」と入力して、リターンキーを押します。一番新しいフォルダを選んで、その中にある「mscorlib.dll」を選択し、マウスの右クリックで表示されるプロパティから詳細を選択するとバージョンとインストールした日時をチェックしてインストール完了です。
今回は、ASP.NETの基本情報や用途などについて紹介をしました。繰り返しになりますが、ASP.NETは、様々なシステム開発が行える反面、技術のあるエンジニアでなければすべての機能を使いこなすことが困難です。そのため、システム開発にASP.NETの導入を検討していたとしても、エンジニアの学習コストが高くなるという点は留意しておきましょう。
もしも、ASP.NETや.NET Frameworkを使ったシステム開発やソフトウェア開発を検討している場合は、外部の企業に依頼をするのも良い方法と言えるでしょう。外注という形であれば、学習コストを考慮せずに開発を実現できます。
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