デジタル化の波が押し寄せる中、顧客管理を効率化したいと考える企業が増えています。実は、CRMの7割以上がクラウド型へと移行しているといわれます。コスト削減やテレワーク対応はもちろん、顧客データを戦略的に活用できる点で、クラウド型CRMは従来の顧客管理を大きく変えつつあるのです。しかし、オンプレミス型との違いがわからなかったり、本当に自社に合っているのか不安だったりする方も多いでしょう。本記事では、クラウド型CRMのメリットから選び方まで、導入を検討する企業の疑問にお答えします。
目次
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クラウド型CRMのメリット
クラウド型CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は、企業が顧客との関係を管理するためのツールを、インターネットを通じて提供するサービスです。これにより、企業は物理的なサーバを自社で持たなくてもデータを管理できるようになります。以下に、クラウド型CRMのメリットを詳しく解説します。
●コストの効率化
クラウド型CRMのメリットの一つは、コストパフォーマンスの高さです。企業は自社でサーバや専用機器を購入する必要がないため、初期費用を抑えることができます。通常、クラウド型CRMはサブスクリプションモデルで提供され、月額または年額で料金を支払う形式をとっています。これにより、企業は予算に応じて適切なプランを選択でき、必要以上のコストが発生しにくくなるのです。
また、運用中のメンテナンス費用やアップデート費用はベンダーが負担するため、企業の追加管理コストも抑えられます。予算管理もしやすくなり、長期的な視点でのコストを抑えて導入がしやすい点がメリットのひとつです。
●いつでもどこでもアクセス可能
クラウド型CRMのもう一つのメリットは、どこからでもアクセス可能であることです。インターネットに接続できる環境であれば、社内外問わずシステムにアクセスできます。自宅や外出先でもデータを確認・更新できるため、リモートワークにも適しています。働き方の多様化やテレワークの一般化に伴い、場所にとらわれない業務遂行が求められる中、クラウド型CRMはそのニーズに応えています。
また、社員間でリアルタイムに顧客情報を共有できるため、コミュニケーションを円滑にし、業務効率を向上させることができます。さらに、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど複数のデバイスから利用できる点もメリットです。
●導入までのスピード
クラウド型CRMは、導入のスピードにおいても優れています。サーバやハードウェアを設置する必要がないため、短期間で導入しやすいのです。インターネット経由で提供されるため、システムの設定が簡単で、特別な専門知識を持たない担当者でも迅速に設定を完了できます。準備が整い次第、すぐに利用を開始できるのが特徴です。
また、導入後のソフトウェアのアップデートもベンダーが自動で行うため、導入企業側の手間がかかりません。常に新しい機能を利用できる環境が整い、セキュリティ面でも安心です。
メリットを総合的に考慮すると、クラウド型CRMは、特にITリソースが限られている中小企業や、迅速な導入が求められるスタートアップ企業にとっておすすめの選択肢です。企業はこれを活用することで、顧客関係の管理を効率化し、ビジネスの成長を支えるツールになるでしょう。
クラウド型CRMの機能
昨今では、企業の顧客管理に必要なツールとして注目を集めているクラウド型CRM。その主な機能と具体的なメリットについて解説します。
●顧客情報の一元管理
クラウド型CRMの主要な機能の一つが、顧客情報の一元管理です。従来の個別管理や紙ベースの管理から脱却し、デジタル化された情報を組織全体で共有できます。具体的には、顧客の基本情報である企業名、担当者名、連絡先などはもちろん、商談履歴、問い合わせ内容、提案書の内容、契約状況まで、顧客とのあらゆるやり取りを時系列で記録できます。これにより、担当者が不在の際でもほかのスタッフが過去の経緯を把握し、適切な対応が可能になります。
また、顧客情報へのアクセス権限を細かく設定できるため、情報セキュリティを確保しながら、必要な情報を必要な方へ共有できます。
●データ分析とレポート機能
クラウド型CRMの特徴として、蓄積された顧客データを分析し、ビジネスの意思決定をサポートする機能が挙げられます。販売実績の集計や顧客の購買パターン分析、商談の成約率、製品カテゴリー別の売上推移など、多角的な分析が自動で行えます。これらのデータは直感的なグラフやチャートで表示され、経営判断や戦略立案に活用できます。
特に注目すべきは、AIを活用した予測分析機能です。過去のデータから将来の売上予測を行ったり、顧客の離反リスクを事前に察知したりすることで、先手を打った対応が可能になります。また、営業担当者の活動状況や成果を可視化するレポート機能により、パフォーマンス評価や改善点の特定が容易になります。
クラウド型CRMは、単なる顧客管理ツールを超えて、企業の競争力を高める戦略的なプラットフォームとして進化を続けています。
クラウド型CRM導入時のポイント
クラウド型CRMの導入時の3つのポイントを解説します。これらを事前に検討することで、効果的な顧客管理システムの構築が目指せるでしょう。
●自社に合った機能を持つか
クラウド型CRMを導入する際、重要なのは自社の業務フローや課題に適した機能を持つシステムを選ぶことです。
営業活動や顧客管理に特化した機能、マーケティング施策を支援する機能など、必要な機能を明確にしましょう。例えば、顧客の購買傾向を分析する機能や、カスタマーサポート機能が必要かどうかを検討します。
また、必要以上に機能が多いシステムを選ぶと、かえって使いにくくなる可能性があります。無駄な機能を省き、必要な機能に絞ることで、導入後の運用がスムーズになります。多くのCRMは無料トライアル期間を用意しているので、実際に使用してみて操作性や機能の使い勝手を確認することをおすすめします。
●セキュリティ対策の確認
顧客情報を扱うCRMでは、セキュリティ対策は重要です。まず、データの暗号化が適切に行われているか、顧客情報が安全に保護される仕組みになっているかを確認しましょう。多要素認証やアクセス制御など、不正アクセスを防ぐための対策が整っているかもチェックポイントです。
クラウドサービスを提供する企業のセキュリティポリシーも重要な確認項目です。定期的なデータバックアップやデータ復元の手順が明確になっているか、信頼できるセキュリティ認証を取得しているかなども、選定の際の重要な判断材料となります。
●既存システムとの連携
新しいCRMを導入する際は、現在使用しているメールシステムや会計ソフト、その他の業務システムとの連携が可能かどうかを確認することもポイントです。データの二重入力を避け、情報共有を効率化するためには、外部ツールとの円滑な連携が欠かせません。
具体的には、社内で使用しているカレンダーやコミュニケーションツールとの連携により、営業活動やスケジュール管理がより効率的になります。また、CRMを導入することで既存の業務フローに支障が出ないかどうかも、事前に十分確認しておく必要があります。システム間の連携がスムーズでないと、かえって業務効率が低下する可能性もあるため、検討が必要です。
クラウド型CRMとオンプレミス型CRMの違い
クラウド型とオンプレミス型のCRMは、導入方法や運用の手間に違いがあり、それぞれの特徴を理解することで自社に適した選択が可能です。それぞれのメリットやデメリットを詳しく見ていきましょう。
●オンプレミス型CRMの特徴
・カスタマイズ性と制御の自由度が高い
オンプレミス型CRMは、自社のサーバにソフトウェアをインストールして運用するシステムです。そのため、システム全体を細かくカスタマイズでき、自社の業務フローに合わせて柔軟にシステムを設計しやすい特徴があります。機能の追加や変更も自由に行えるため、独自の業務プロセスや要件に合わせた開発ができます。また、ソフトウェアのアップデートやシステム設定も、自社のペースで管理できる点が特徴です。
・初期費用と運用コストが高い
一方で、オンプレミス型CRMは導入時に大きな初期投資が必要になります。サーバやハードウェアの購入費用に加え、それらの設備を維持・運用するための追加コストも発生します。また、システムの保守やアップデートを自社で行う必要があるため、専門的な知識を持つITスタッフの確保や、外部業者へのサポート依頼が必要になることもあります。
・セキュリティ管理の強化が可能
セキュリティ面では、社内サーバで顧客情報を管理するため、外部からのアクセスを厳密に制御することができます。自社でセキュリティポリシーを決定し、必要に応じて強化措置を講じることも可能です。特に機密性の高いデータや業務を扱う場合、自社でセキュリティを完全にコントロールできることが望まれます。金融機関や政府機関など、厳重なセキュリティが求められる業界では、この特徴が重要視され、オンプレミス型が選ばれる傾向にあります。
オンプレミス型CRMは、高いカスタマイズ性と強固なセキュリティ管理を実現できる反面、導入・運用にかかるコストと手間が大きいという特徴があります。自社の業務要件やセキュリティニーズ、運用体制を考慮する必要があります。
●クラウド型CRMとオンプレミス型CRMの比較
それぞれの特徴を理解することで、自社に適した選択ができます。違いは以下の通りです。
項目 | クラウド型CRM | オンプレミス型CRM |
---|---|---|
初期費用 | サーバ不要で費用を抑えられる | サーバやハードウェア購入が必要で高額 |
月間コスト | 定額制(月額や年額) | 長期的に保守やメンテナンス費用が発生 |
導入期間 | インターネット接続後すぐに導入可能 | サーバ構築やシステム設定に時間がかかる |
メンテナンス | ベンダーが自動でアップデート・保守 | 自社対応が必要、専門スタッフが求められる |
アクセス性 | インターネット環境でどこでも利用可能 | 社内ネットワークからの利用が基本 |
カスタマイズ性 | 制限が多い | 自由にシステムを設計・変更可能 |
セキュリティ | ベンダーのセキュリティ管理に依存 | 自社で自由にセキュリティ対策が可能 |
●クラウド型とオンプレミス型、どちらを選ぶべきか?
企業がCRMを導入する際、クラウド型とオンプレミス型の選択は、企業の規模や業務内容、セキュリティ要件などによって判断する必要があります。
クラウド型CRMは、以下のような企業に適しています。
-
迅速な導入を必要とする企業
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リモートワークを活用している環境
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初期投資を抑えたい場合
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社内のITリソースが限られている企業
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専門的な知識を持つ担当者がいない企業
一方、オンプレミス型CRMは、次のような場合に検討されます。
-
業務プロセスに合わせた詳細なカスタマイズが必要
-
セキュリティ対策に独自の基準を設けたい
-
金融機関や政府機関など、厳格なデータ保護が求められる業界
選択に際しては、導入コストや運用体制、セキュリティ要件などを総合的に検討し、自社の状況に合ったシステムを選びましょう。
自社に合ったCRMが見つからないなら開発会社への発注を検討
既存のCRMでは業務要件を満たせない場合、カスタマイズ可能な独自システムの開発を検討する選択肢があります。開発会社への発注により、自社の業務フローに合わせた設計や必要な機能を柔軟に実装できるメリットがあります。
開発を成功させるためには、発注前に自社の要件定義と予算設定を行い、具体的な機能要望を整理することが重要です。開発会社の選定では、実績や導入事例、サポート体制を確認し、契約時にはスケジュールや運用後の保守内容について明確にしておきましょう。開発会社と緊密なコミュニケーションを取ることで、独自のCRMシステム構築を実現できます。
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