
紙のポスターでは伝えきれない情報を、映像と音でわかりやすく届けるのがデジタルサイネージです。電子看板・電子掲示板とも呼ばれ、駅や商業施設、店舗、オフィス、病院、大学などで導入が広がっています。本記事では「デジタルサイネージとは」から、紙媒体との違い、スタンドアロン型/ネットワーク型の仕組み、導入メリットと活用例、費用の目安、成功のポイントまでをやさしく整理。自社の目的に合う選び方が分かり、今日からの情報発信を一歩前に進められるでしょう。
目次
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デジタルサイネージとは
紙のポスターでは伝えきれなかった内容を、映像や音声でわかりやすく届けられるのがデジタルサイネージです。電子看板・電子掲示板とも呼ばれ、駅や空港、商業施設、店舗、オフィス、病院、大学など幅広い場所で活用が進んでいます。ここでは基本から仕組み、メリット、活用例、費用の目安、成功のポイントまでを順に整理します。
●デジタルサイネージの基本
デジタルサイネージは、ディスプレイやプロジェクターを使って情報を発信する仕組みです。紙のポスターや看板の代わりに画像・映像を表示でき、動画と音声を組み合わせたリッチな表現も可能です。動きや音は人の注意を引きやすいため、商品の魅力や仕組みを直感的に伝えられるでしょう。駅や空港では交通情報や広告、商業施設ではフロア案内やセール情報、オフィスの受付では歓迎メッセージや企業理念、病院では順番案内や健康情報など、場所に合わせた情報発信に向いています。
●紙媒体との違い
大きな違いは運用のしやすさと情報の鮮度です。印刷や貼り替え作業が不要になり、配送料や人件費などの継続コストを抑えられます。ネットワーク型であれば、管理画面から数クリックで全国の画面を同時に更新でき、タイムセールや臨時のお知らせなど「今必要な情報」をすぐ届けられます。結果として、紙では難しかったタイムリーな発信に強く、TCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)の面でも有利になりやすいといえます。
デジタルサイネージの仕組み
運用の方式は大きく2つに分かれます。導入規模や更新頻度、セキュリティ方針によって適した形が異なるため、特徴を押さえて選ぶことが大切です。
●スタンドアロン型
スタンドアロン型は、USBメモリやSDカードを差し込んでコンテンツを再生する方式です。必要に応じてSTB(Set-Top Box:セットトップボックス)と呼ばれる再生端末を用います。ネットワークを使わないためサイバー攻撃の心配が少なく、初期費用を抑えて始めやすいのが利点です。一方で、更新時には設置場所まで行って媒体を差し替える必要があるため、台数が増えるほど手間がかかります。更新頻度が少ない、小規模な運用に向いています。
●ネットワーク型
ネットワーク型は、サーバーやクラウドを通じて配信内容を更新する方式です。CMS(Content Management System:コンテンツ管理システム)を使い、ブラウザから遠隔で複数台をまとめて管理できます。サーバーの置き方によって、社内に設置するオンプレミス型と、事業者のクラウドを使うクラウド型(SaaS:Software as a Service/サービスとしてのソフトウェア)に分かれます。多店舗や多拠点でブランド表現を統一したい、頻繁にコンテンツを差し替えたいといったニーズに適しています。
デジタルサイネージのメリット
デジタル化の強みは「出し分け」「表現力」「コスト」「スピード」です。現場で役立つ具体例と合わせて見ていきましょう。
●ターゲットに合わせて情報を変えられる
時間帯や曜日に合わせて表示内容を自動で切り替えられます。たとえば駅構内なら、朝はビジネス向け情報、昼は周辺のランチ紹介、夕方は学生向けの案内など、通行する人の属性に合わせて出し分け可能です。無駄打ちを減らし、伝えたい相手にしっかり届きます。
●動画や音声で伝えられる
動画は動きで注目を集め、記憶にも残りやすい表現です。製品の使用シーンやお客さまの声を映像で見せれば、静止画とテキストでは伝わりにくい価値も分かりやすくなります。音声やBGMを加えれば、賑やかな場所でも視線を引きやすいでしょう。
●印刷や貼り替えコストを削減できる
紙やインク、印刷費、配送費、貼り替えにかかる人件費といった継続コストが不要になります。特に多店舗の小売や飲食チェーンでは、年間で大きな差になりやすく、投資回収につながります。
●リアルタイムで情報を更新できる
タイムセールや日替わりメニュー、在庫僅少の告知などを即時に反映できます。公共施設や企業では、地震や台風などの発生時に避難情報や運行状況をすぐ発信でき、安全確保にも役立ちます。
●多言語表示でインバウンド対応ができる
1台の画面で日本語や英語、中国語、韓国語などを切り替え表示できます。タッチパネルなら利用者が言語を選べるため、空港や駅、観光案内所、ホテル、商業施設での満足度向上に有効です。
デジタルサイネージの活用例
理屈がわかったら、次は現場での使い方です。場所や目的に合わせて、どのような成果が期待できるのかを具体的にイメージしましょう。
●屋外広告
OOH(Out of Home:屋外広告)では、大型LEDビジョンが強い存在感を発揮します。人通りの多い場所で高精細な映像と音を使えば、ブランド認知を一気に高められます。店舗前にスタンド型ディスプレイを置けば、シズル感のある動画で通行人の足を止め、来店のきっかけを作れます。
●商業施設・店舗案内
広い商業施設では、タッチ式のインタラクティブサイネージが電子フロアマップとして活躍します。目的地検索から最適ルート案内まで画面上で完結し、迷いを減らせます。売場近くではレシピ動画や使い方動画を流し、その場の購入意欲に火をつけられます。
●オフィス・工場
オフィスの受付や食堂、休憩スペースで、全社のお知らせや各部門からの連絡、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を共有できます。工場や倉庫では、生産状況や品質データ、安全注意をリアルタイムに表示し、事故防止と生産性向上を後押しします。
●飲食店
カウンター上のデジタルメニューボードは、朝・昼・夜で自動切り替えできます。新商品や期間限定メニューも素早く反映でき、印刷物の手配が要りません。混雑店では、受付番号や待ち時間を見える化することで、体感ストレスを減らせます。
●公共機関・病院
病院や市役所では、順番案内を画面で表示することで呼び出し業務を効率化できます。待ち時間には健康情報や行政サービスの案内を流し、有益な情報提供につなげられます。
デジタルサイネージの価格相場
費用は「導入費用(初期費用)」と「運用コスト(ランニングコスト)」に分かれます。予算組みの参考に、一般的な内訳と相場を整理します。
●導入費用の目安
主な項目はディスプレイ、再生機器(STB)、設置関連費用です。屋外は高輝度や防水・防塵などの要件で高くなりやすい点に注意しましょう。
| 項目 | 説明 | 価格相場 |
|---|---|---|
| 屋内用ディスプレイ | 43~55インチの標準モデル | 10万円 ~ 40万円 |
| 屋外用ディスプレイ | 防水・防塵・高輝度モデル | 50万円 ~ 300万円以上 |
| 再生機器(STB:Set-Top Box) | コンテンツ再生用端末 | 3万円 ~ 25万円 |
| 設置関連費用 | スタンド、壁掛け・天吊り工事など | 5万円 ~ 30万円以上 |
●運用コスト
ネットワーク型ではCMSの利用料や通信費がかかります。価値を左右するのはコンテンツ制作費で、内製か外注かで幅があります。保守契約や電気代も想定しておきましょう。
| 項目 | 説明 | 月額相場 |
|---|---|---|
| 管理システム(CMS) | 遠隔管理のSaaS費用(1台あたり) | 数千円 ~ 1万円程度 |
| コンテンツ制作費 | 静止画・動画の制作(内製/外注) | 0円 ~ 数十万円 |
| 通信費 | 配信や監視のための回線費用 | 3,000円 ~ 1万円程度 |
| 保守・サポート費用 | 故障時の対応などの契約 | 3,000円 ~ 2万円程度 |
デジタルサイネージの導入を成功させるポイント
機器を入れただけでは成果につながりません。目的・設置・コンテンツという3つの基準を押さえると、運用が安定しやすくなります。
●目的を明確にする
「なぜ導入するのか」「何を達成したいのか」を具体化しましょう。たとえば「体感待ち時間を15%削減」「安全喚起の閲覧率を100%に」「新商品の指名買いを前月比10%増」など、測れるKPIを設定します。目的が決まれば、設置場所や機器仕様、コンテンツ内容、効果測定の方法まで、意思決定がぶれません。
●設置場所を工夫する
人の動線や視線、滞留時間に着目します。エレベーターホールや待合、レジ前など、自然と視線が向く場所が狙い目です。屋内でも外光の映り込みや明るさに注意し、見やすさを確保します。屋外は高輝度や防水・防塵(IP規格)に対応した筐体を選ぶことが長期安定運用の前提です。
●コンテンツの質を意識する
最初に考えるべきは「誰に、何を、どう行動してほしいか」というコンテンツ戦略です。文字は大きく、情報量は絞り、数秒で伝わる設計にします。同じ内容を出し続けると風景化してしまうため、更新計画(コンテンツカレンダー)を用意し、鮮度を保つ運用を徹底しましょう。結果として、ROI(Return on Investment:投資対効果)の最大化につながります。
デジタルサイネージで情報発信を進化させよう
映像と音声を活かせるデジタルサイネージは、紙では難しい表現を実現します。まずは目的を絞り、適切な場所に設置し、質の高いコンテンツを継続的に届ける――この基本を守れば、店舗や施設の価値を高め、顧客体験の底上げにつながります。小さく始めて効果を確かめ、必要に応じて拡張していく。そんな段階的な導入から、一歩を踏み出してみませんか。
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