業務を円滑に進めていくために、流通システムの導入を検討している方も多いでしょう。ただ、流通システムを導入する前に、流通システムの特徴や機能などを十分に理解してから導入することが大切です。そこで今回は、流通システムについて知りたい方や流通システムを導入するメリットを知りたい方に向けて、流通システムの特徴や機能、流通システムの開発会社の選び方などを詳しくご説明していきます。
目次
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国5000社以上からご提案
流通システムとは
流通は生産者から消費者へ商品を移転すること、またその一連の活動のことを指しています。そして、流通システムは流通を円滑に行うためのシステムのことです。最近ではオンラインショッピングが当たり前のように使われるようになり、社会情勢も大きく変化していることで、消費者のニーズの変化が急速になってきています。そのため、商品を提供する会社として支持され続けるために、消費者ニーズをすぐに把握して、新商品の開発や提供を進めることが大事です。
その流れを維持していくためにも、複数の会社と連携して使える流通システムが求められています。流通システムの導入が間に合っていない会社は、手遅れにならないうちに流通システムを導入していきましょう。流通は大きく分けて以下の4つの種類に分けられます。
-
物流
-
商流
-
金流
-
情報流
●物流
物流は生産者から消費者に提供される商品の、一連の流れを指しています。生産者から消費者に商品が届くまでに、いくつもの輸送手段が用いられて商品が運ばれていきます。東京から発送した商品を東京に届けるならトラックですぐですが、沖縄に届けるなら飛行機が必要です。こういった地理的要素や時間的要素の差を埋めていくために物流の考え方が存在しています。消費者ニーズの変化の速さによって、今後も物流の技術は急速な勢いで進化し続けると考えられています。
●商流
商流は、商品の所有権の流れを指しています。物には所有権というものがあり、物そのものと所有権は同じ流れになるとは限りません。特に、生産者と販売者での商品の流れで見られやすいです。販売者は買取仕入で生産者から商品を仕入れて販売することが多いです。この場合だと商品の所有権は販売者に渡ります。しかし、委託仕入という形で商品を仕入れた場合、商品の所有権は生産者が持ったままです。その後、消費者に商品が渡ると同時に所有権も消費者に渡ります。つまり、物流と商流は同じ動きをするとは限りません。
●金流
金流は、その名の通り商品が生産者から消費者に渡される際に同時に発生するお金の流れのことを指しています。かつては、オンラインショッピングなどだと代引決済が当たり前でした。配達ドライバーが受け取った代金を宅配業者あるいは決済グループの会社が一元管理して、前もって決めたペースで販売者に渡されていました。しかし、最近ではクレジットカード決済やQRコード決済などの決済手段が増え、段々とキャッシュレス決済が普及してきています。そのため、今までよりもお金の動きが多様化してきていて、金流も物流や商流とまた違った流れになる場合も珍しくなくなっています。
●情報流
情報流は生産者から消費者に提供される商品の需要と供給に関する情報の流れのことを指しています。典型的な例としては商品のレビュー機能が挙げられます。商品ごとに販売者の情報が簡単に掲載されていて、購入前に販売者の情報を取得することが可能です。商品のニーズが評価の高さからわかり、その情報をリアルタイムで把握できます。また、前もって販売者の情報が取得できると、商品を購入してから販売者によるトラブルに巻き込まれるリスクを減らせます。情報流は異なる立場の情報量の差を埋める役割を果たしていて、物流・商流・金流のすべてを下支えしているともいえるでしょう。
流通システムの機能
流通システムを構成する機能としては、以下の物が挙げられます。
-
販売機能
-
品ぞろえ機能
-
保管・小分・配送機能
-
流通加工機能
-
経営金融機能
-
リスク負担機能
-
需要喚起機能
-
需給調整機能
-
情報伝達機能
●販売機能
販売機能は消費者が商品を購入したり、決済したりする場を提供する機能です。実店舗では店舗そのもので、オンラインショッピングではインターネット上の仮想店舗のことを指しています。広い意味では、接客などの顧客サービスも販売機能に含まれると考えられています。
●品ぞろえ機能
品ぞろえ機能は消費者のニーズに合ったものをさまざまな企業から調達して、多くの商品を取りそろえる機能です。流通システムを効率良く働くシステムにするために、ある程度商品のバリエーションの幅や深さを明確にして、それに合ったフォーマットに固めていきます。単体の販売かセット販売かでもニーズが異なるため、そこも踏まえて商品のバリエーションの範囲を決めていく必要があります。
●保管・小分・配送機能
保管・小分・配送機能は、生産者から消費者まで商品が受け渡されるまで管理する機能です。商品を保管したり、流通段階に応じて商品を小分けしたり、それらを物理的に移動させたりします。
●流通加工機能
流通加工機能は商品の簡単な加工や組み立てを行う機能です。いわば商品を店頭に並べて販売できる状態にすることで、値札付けやラベル貼りなどが例として挙げられます。生鮮食品や惣菜品の店内加工も含まれます。
●経営金融機能
経営金融機能は流通業者が消費者に代わって先に商品を購入して、その代金を生産者に支払う機能です。この機能によって、在庫金利を負担できます。買い掛けといった、つけ買いなどの信用販売もこの機能に含まれます。
●リスク負担機能
リスク負担機能は商品を生産者から購入するリスクを流通業者が負担する機能です。商品が安くなったり高くなったり、売れたり売れなかったりする動向には不確実性が伴います。しかし、流通業者が売買の流れに関与することで、商品の将来的な動向の不確実性を軽減してくれます。
●需要喚起機能
需要喚起機能は消費者のニーズに訴えかける機能です。流通業者が商品情報を顧客に提供したり、POPや陳列をしたりして商品の宣伝を行います。ただ、場合によってはしつこい宣伝だと悪印象を持たれる可能性もあるため、程良く宣伝していくことが大事です。
●需給調整機能
需給調整機能は流通業者が商品の需要量と供給量を調整する機能です。必要な商品が不足しているとクレームにつながり、逆に過剰在庫を抱えてしまうとコスト面での損失が大きくなります。商品の量に偏りが生じないように調節することが求められます。
●情報伝達機能
情報伝達機能は潜在的な消費者のニーズを把握して生産者に伝える機能です。
消費者のニーズを伝えることで、今後開発される商品が消費者のニーズに合ったものが完成しやすくなります。消費者のニーズを伝える手段として、先程も触れましたが、既存商品のレビューといった評価が参考に使われます。
流通に関係するシステムとは
生産した商品を消費者に渡す過程で機能しているのは流通システムだけではありません。以下のようなシステムも機能することで、トラブルを減らして商品を消費者のところに届けられます。
-
倉庫管理システム
-
在庫管理システム
-
配送管理システム
-
運送管理システム
-
ピッキングシステム
-
EDIシステム
●倉庫管理システム
倉庫管理システムは、倉庫全体の運営をサポートするシステムで、WMSとも呼ばれています。商品の入出庫による在庫の変動だけでなく、帳票やラベルの発行、納品書の作成までの業務すべての効率化が可能です。ハンディターミナルのような小さいサイズの機器で多くのことができるため、持ち運びながら業務が進められて便利です。
●在庫管理システム
在庫管理システムは、商品の在庫状況を管理するシステムです。倉庫管理システムと同一と捉えられがちですが、実際は、在庫管理システムは倉庫外の在庫情報まで管理しています。そのため、倉庫管理システムよりも正確に在庫管理が行いやすいです。
●配送管理システム
配送管理システムは、商品の出荷から配送完了までのプロセスを管理するシステムです。
配送状況を可視化するので途中で配送状況の変更を指示できます。このシステムがあることで消費者はWeb上で配送状況を確認したり、配送時間を変更したりできるのです。
●運送管理システム
運送管理システムは、配送ドライバーが効率良く、かつ安全な運転ができるようにサポートするシステムです。オンラインショッピングの利用者の増加に伴い、配送ドライバーの人手不足が問題視されました。過剰労働がきっかけで安全に商品を送り届けられなくなると、トラブルが発生するリスクが高くなってしまいます。トラブルを避けるためにも、ドライバーの安全運転の管理や勤怠管理をすることが重要です。
●ピッキングシステム
ピッキングシステムは出荷指示のあった商品を集めるピッキングを効率良く行うためのシステムです。リストを見ながら商品を探すと手間がかかり、確認ミスのヒューマンエラーも起こりやすくなります。そうならないため、バーコードを用いて商品管理を行っていきます。
●EDIシステム
EDIシステムは契約書や納品書、請求書などの帳票を電子データでやり取りしやすくするためのシステムです。発行した帳票をメールやFAXで確認すると、着手する人によって手段がバラバラで、コスト面での負担がかかることもあります。しかし、EDIシステムを使えば専用の窓口から帳票のやり取りを自動化できます。
システム開発会社の開発実績例を紹介
流通システムの開発実例として、システム会社A社とB社の実績例を見ていきます。
●小売業
A社では、スポーツ用品を扱う事業で、東日本エリア向けDC/TC統合運用のオンプレミス型システムを開発して導入しました。DCは荷物を入荷して保管し、必要に応じて出荷する仕組みで、TCは入荷した荷物を保管せずに出荷する仕組みです。このふたつの仕組みを統合したシステムが使用者の管理する施設内に導入されて使われています。ピースソーター、ハンディターミナルとの連携によって、出荷・仕分け作業の効率化を実現しました。
●卸売業
ペット用品を扱う事業向けに、A社はアマゾン物流センターへの納品センターとしてのDC拠点運用のクラウド型システムを開発して導入しました。オンプレミス型が社内で運用されているものであるのに対して、クラウド型はネットワーク上でオープンに使えるもののことを指しています。ハンディターミナルを使用して、在庫や流通加工、出荷履歴の管理の効率化に成功しました。
●医療業
B社では、安定した在庫管理や記入ミスの防止をコンセプトに、医薬品在庫管理システムを開発しました。システムを導入した病院では、医薬品の在庫を一元管理して、足りない医薬品が出てきた場合に、迅速に配送できる仕組みが整備されました。
流通システムの開発に強い会社を選ぶコツ
流通システムの開発に強い会社を選ぶコツとして、以下の2つが考えられます。
-
開発会社の実績・得意分野・得意な・開発言語をチェックする
-
依頼候補の会社に見積もりを依頼し、料金の目安を把握する
システム開発会社ごとに実績が違うのはもちろん、得意不得意や専門分野、扱える言語も異なります。なるべくシステム開発が満足のいくものになるように、自社と条件の近い実績や強みを持つシステム開発会社を選ぶのが望ましいです。また、1箇所にすぐ依頼するのではなく、いくつか依頼候補を出して見積もりを取ってもらいましょう。依頼先ごとの料金の目安を、事前に知ることも必要です。少しでも良い条件のところで依頼したほうが機会損失を生み出さずに済みます。まずは見積もりを取るところから始めてください。ただ、見積書をどう見れば良いのかわからない方も少なくないでしょう。以下のページでは、システム開発を依頼したい企業担当者向けに見積書のチェック方法についてまとめています。
システム開発会社に依頼する前に決めたいこと
システム開発会社に見積もりをする段階から、以下の点を明確にしておく必要があります。
-
目的や課題を明確にして依頼内容を固める
-
予算をあらかじめ決めておく
システム開発会社に流通システムを作ってくださいと伝えても、その中身をどういったものにしたいのかがはっきりしていないと、システム開発会社としては困ってしまいます。システムの仕組みまで内容を固める必要はないですが、流通システムを導入する目的や自社の抱える課題はしっかりと伝えてください。つまり「要件定義」を明確にして仕様書を作成してください、ということです。また、流通システムを導入して得られる効果に対して、かかったコストが高いと導入した意味がありません。ある程度は妥協する考えも持って、無理のない予算の範囲内でシステム開発を依頼しましょう。システム開発会社がなかなか絞れないという方向けに、おすすめのシステム開発会社を以下のページで紹介しています。気になる方はチェックしてみましょう。
開発の依頼先を探すならマッチングサービスがおすすめ
厳密には流通の中に物流と商流、金流や情報流が含まれています。その4つを支えるのが流通システムです。流通システムを導入することで全体的な業務を効率化させることができます。それだけでなく、消費者のニーズを明らかにしたり、トラブルを最小限に抑えて商品を消費者に届けたりするような役割もあります。
流通システムは導入して損のないシステムです。しかし、導入する目的や予算を決めて、自社にフィットする依頼先に見積もりを出さないと、損してしまうこともあります。そのため、流通システムを導入する際は、慎重に考えて必要事項を明確にしてからシステム開発会社に依頼するように心掛けてください。依頼先をどう探せばよいのかわからない、自分たちだけで探すのは不安、という場合はマッチングサービスを使うのがおすすめです。発注ナビでは、専門のコンシェルジュが案件の詳細を丁寧にヒアリング。最適な開発会社をご紹介します。まずはお気軽にご相談ください。
システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国5000社以上からご提案