EC-CUBEは、ECサイトの構築・運用ができるオープンソースのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)です。EC-CUBEを用いてECサイトを構築する際、気になるのが制作費用の相場ではないでしょうか。本記事では、EC-CUBEを用いたECサイトの構築費用の相場や内訳、各種料金プランを解説いたします。
目次
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EC-CUBEを用いたECサイトの構築にかかる費用相場とは
EC-CUBEを使用したECサイト構築を制作会社に依頼する場合、必要な初期費用と月額費用はサイトの規模によって異なります。初期費用は、ECサイトを構築する際にかかる費用です。月額費用は、ECサイト構築後の保守・運用作業や更新作業を行う際に必要になります。小規模サイト・中規模サイト・大規模サイトを例に挙げ、初期費用と月額費用の相場をご紹介します。
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小規模サイト(登録商品10個程度):初期費用約100,000~350,000円/月額費用約10,000円
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中規模サイト(登録商品50個程度):初期費用約500,000円/月額費用約10,000~15,000円
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大規模サイト(登録商品100個以上):初期費用約600,000円/月額費用約20,000円
●カスタマイズによって費用が大きく変わる
EC-CUBEの場合、ECサイトの規模が大きくなればなるほどカスタマイズ可能な範囲も広がります。標準実装されている機能やデザインテンプレートを活用できれば、カスタマイズ費用を抑えられるでしょう。ただし、標準機能やデフォルトのデザインテンプレートのみで満足のいくECサイトを構築できるとは限りません。自社ブランドや購買層に合わせて、よりユーザビリティの高いデザイン設計や独自の機能を搭載した方が良い場合も考えられます。
標準機能やテンプレートでカバーするのが難しい部分は、制作会社へ開発やカスタマイズを依頼することになります。カスタマイズする範囲や制作内容により、費用が大きく変動するため注意しましょう。そのほか、制作会社へ依頼する際に注目したいポイントが以下のとおりです。
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自社ブランドや購買層に合わせたECサイトの設計を提案してくれるか
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オリジナルのデザインを用意してくれるか
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料金プランが明瞭でわかりやすいか
これらの要素は、費用だけでなく後の運用やECサイトのブランディングにも大きくかかわってくるポイントです。
EC-CUBEの料金プラン
EC-CUBEには、クラウド版とダウンロード版という2つのプランが用意されています。プランごとの特徴や料金設定を、以下でまとめました。
●クラウド版は2とおりの料金プランが用意されている
EC-CUBEのクラウド版(※2023年7月時点新規の受け付け停止中)は、「Liteプラン」「Standardプラン」というプランが設けられています。Liteプランは、「ECサイトをトライアル的に立ち上げてみたい」「売上が安定したら随時カスタマイズしたい」と考えている方に適したプランです。対するStandardプランは、「独自の機能を多く搭載したい」「制作会社に高度なカスタマイズを依頼したい」という方に適しています。
Liteプランの利用料金・仕様
Liteプランの初期費用・月額費用は以下のとおりです。商品登録点数や、管理者のアカウント数といった機能面とあわせてチェックしてみてください。
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初期費用:無料
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月額費用:6,800円(税別)~
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商品の登録点数:無制限
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管理者のアカウント数:無制限
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独自ドメイン:持ち込みにより無償で設定可能
参照:LiteプランとStandardプランのご紹介│EC-CUBE
Standardプランの利用料金・仕様
Standardプランの利用料金や仕様は、以下のとおりです。
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初期費用:70,000円(税別)
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月額費用:49,800円〜84,800円(税別)
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商品の登録点数:無制限
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管理者のアカウント数:無制限
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独自ドメイン:持ち込みにより無償で設定可能
参照:LiteプランとStandardプランのご紹介│EC-CUBE
上記の仕様にくわえ、Standardプランではエラーログの取得機能やGit・編集履歴の確認機能、カスタマイズディレクトリなどの機能も搭載されています。Liteプランと比較すると、より自由度の高いカスタマイズが可能なプランだといえるでしょう。
●ダウンロード版はGPLライセンス版・商用版がある
EC-CUBEのダウンロード版は、自社サーバやレンタルサーバへインストールして利用する製品です。無料の「GPLライセンス」と、有償の「商用ライセンス」のいずれかを選択して利用できます。なお、EC-CUBEのクラウド版は、ダウンロード版をベースに開発されたものであるため、両者の機能はほぼ同一となっています。
GPLライセンス版の利用料金
GPLライセンス版は無料で利用でき、使用許諾条件に則っていれば自由に頒布・改変・複製が可能です。自社サーバやネットワークを構築するための費用は別途かかるものの、GPLライセンスそのものに利用料金は発生しません。
商用ライセンス版の利用料金
商用ライセンスは、1サイトにつき264,000円(税込)で購入可能です。くわえて、複数のライセンスを一括購入できる割引販売プランも用意されています。一括購入プランの例は、以下のとおりです。
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3本一括購入:1ライセンスあたり237,600円(税込)
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4本~9本一括購入:1ライセンスあたり224,400円(税込)
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10本以上までの一括購入:1ライセンスあたり211,200円(税込)
EC-CUBEの基本情報
EC-CUBEによるECサイトの構築費用相場や、各料金プランについて解説いたしました。ここからは、EC-CUBEでできることやメリット・デメリットをご紹介いたします。
●使用できる機能の例:管理機能編
ECサイトに必要な機能は、ひととおりカバーされています。例えば、商品や顧客管理の分野では以下のような機能が使用できます。
商品管理機能 | ・商品と商品の関連情報やタグの登録、及び編集が可能 ・CSVファイルによる一括登録にも対応 |
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会員管理機能 | ・基本的な会員情報を管理できる ・会員ごとの購入履歴もチェック可能 |
受注管理機能 | ・注文者/受注商品/決済方法/配送先の情報など、受注マスタを確認可能 ・受注マスタはCSVによる一括ダウンロードが可能 |
コンテンツ管理機能 | ・ECサイト全体のレイアウト指定、各ページの新規作成や編集作業が可能 |
これらのほか、売上集計機能やメルマガ配信機能なども実装可能です。
●使用できる機能の例:フロント・UI機能編
ECサイトのUI(ユーザーインターフェース)は、ユーザーにとっての使いやすさに直結する重要な部分です。EC-CUBEに搭載されているフロント・UI機能の例をご紹介いたします。
商品紹介機能 | ・商品の特徴や魅力を見やすいレイアウトで表示 ・ユーザーレビューやお気に入り登録機能の視認性も優れている |
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商品注文機能 | ・商品のジャンルに合わせて見やすい注文画面を作成可能 ・決済方法/配送時間の指定項目の作成が可能 |
お客様ページ | ・会員情報の登録・閲覧が可能 ・購入履歴や商品のお気に入り/ブックマーク登録作業も可能 |
●EC-CUBEを用いるメリット・デメリット
EC-CUBEのメリットとして挙げられるのが、「自由度の高さ」です。EC-CUBEには1,500以上のプラグインや多くのデザインテンプレートが用意されており、随時カスタマイズできます。サイトのデザインをはじめ、決済機能の追加、顧客管理機能のカスタマイズ、販促機能の追加といった豊富なプラグインが使用可能です。
また、日本国内での導入事例が多いのもEC-CUBEの魅力。これまで、オープンソースのECサイトシステムは海外製のものが多く、日本語の情報や事例が少ない傾向にありました。対するEC-CUBEは日本発のECサイトプラットフォームです。2023年7月時点では、国内ダウンロード数が180万件を突破し、推定稼働店舗数は35,000店以上と報告されています。導入事例も多く公開されているため、ECサイト構築時の参考に役立てられます。
その一方で、デメリットとして挙げられるのは「一定の知識が求められる場面がある」という点です。高度なコーディングの知識は必要ありませんが、操作方法やプラグインの扱いに慣れていないと、適切なプラグインの選び方・導入方法などに戸惑ってしまうことも考えられます。くわえて、EC-CUBE自体に集客機能は搭載されておらず、ECサイト構築後は、集客プラグインの追加や集客するための施策を自社で展開することになります。
ECサイト構築時の作業内容
EC-CUBEを用いてECサイトを構築する際、どのような作業が必要となるのでしょうか。ECサイトの規模や内容によって細かな違いはありますが、作業の流れをご紹介いたします。
●要件定義
ECサイトのコンセプトを明確にしたうえで、実装したいシステムや機能を洗い出します。洗い出したなかから、優先順位の高いシステム・機能を選定していきましょう。予算やスケジュールを考慮しつつ、ECサイトに求める要件(=機能や条件)を固めることが大切です。要件が曖昧なままサイト構築を進めると、「機能面に物足りなさを感じる」「機能が多くて使いこなせない」といったトラブルが発生する可能性があります。
●ワイヤーフレーム制作
ワイヤーフレームとは、Webページのレイアウトや各種コンテンツの配置場所を決める設計図を指します。Webページの間取り図と考えるとわかりやすいでしょう。ワイヤーフレームをしっかりと作っておくことで、デザインやコーディング時の迷いを減らせます。くわえて、イメージしている内容を共有しやすくなり、個々の認識の齟齬や制作作業のブレを防止できるのもポイントです。
●デザイン・コーディング
ワイヤーフレームに沿って、サイトのデザインを起こしていくフェーズです。メインビジュアルをはじめ、各種ロゴやフォント、カラーリング設定などのデザインを作成していきます。この時重要なのは、ビジュアルの美しさだけでなくユーザビリティに配慮したデザインにすることです。「必要な情報がどこにあるのかがわかりにくい」「使い勝手が良くない」といったECサイトでは、ユーザーが離脱してしまいがち。デザインデータが出来上がったら、HTMLデータを作成(コーディング)していきます。
●EC-CUBEのインストール及び設定
EC-CUBEをサーバへインストールし、初期設定を行います。初期設定の内容は、「店舗設定」と「システム設定」の2つがあり、店舗設定では店舗の基本情報をはじめ、決済方法や税率、配送方法、注文完了メールの文言登録などを設定できます。システム設定では、管理画面の利用者や利用者権限の設定を行います。
●EC-CUBEのデザイン・カスタマイズ
EC-CUBEのインストール及び設定が完了した時点で、標準実装されている機能を利用できるようになります。ここからオリジナルのデザインを反映させたり、デザインテンプレートを活用したりしてブランドの世界観を表現したECサイトを構築していきましょう。
●プラグインの追加・各種カスタマイズ
要件定義で固めた要素をもとに、必要なプラグインをインストールして設定を行います。さらに独自機能を追加したい場合は、プラグインをベースにカスタマイズを実施しましょう。なお、カスタマイズの規模や内容によっては、一定以上のコーディングスキルが求められる場合があります。どこまでを自社で対応するのか、担当者のリソースやスキルレベルを考慮したカスタマイズが必要です。
●クレジットカード決済機能の設定
EC-CUBEにクレジットカード決済を導入する際は、決済代行業者と別途契約しなくてはなりません。くわえて、EC-CUBEと決済システムを連携させるプログラムも必要です。EC-CUBE対応の決済代行業者であれば、無料の専用プログラムが配布されています。プログラム開発のコストを抑えるためにも、EC-CUBE対応の決済代行業者、及び決済サービスを選択するのがおすすめです。
●各種テスト・ECサイトリリース
ECサイトがひととおり構築できたら、管理画面やフロントページの動作やデザインの表示などをテストします。不具合を発見したら、その都度修正しましょう。サイトが正常に動作することを確認できれば、リリース日を決定したうえでサイトをオープンします。サイトオープン時には、各種SNSやDMによる広報も忘れずに行いましょう。
EC-CUBEでの開発は外部委託するのも手
自社でEC-CUBEを使ったクオリティの高いECサイトを構築するには、専門的なノウハウが必要です。自社に制作ノウハウがない時は、外部の制作会社に依頼するのが得策だといえます。制作会社を探す際は、自社の希望や用意できる運営体制・運営予算を明確にして、複数の会社から見積もりを取ってみてください。
EC-CUBEの制作会社・開発会社の選定でお悩みの方は、発注ナビをお役立てください。ご要望や案件内容のほか、制作会社の得意分野や制作実績などを鑑みて発注先をご提案いたします。発注ナビが選ばれる理由や、導入事例についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
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