帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律「電子帳簿保存法」が2022年1月に改正され、従来の紙で行っていた契約をデジタル化しようと、電子契約システムを導入する企業が増えてきています。現在、導入を検討中という方も多いのではないでしょうか?本記事では電子契約システムの概要から、導入するメリット、費用相場や導入する方法までを解説します。
目次
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電子契約システムとは
電子契約システムとは、電子契約書の作成やインターネット上の電子ファイルに電子押印・捺印を行うことができるシステムです。電子契約システムには、電子証明書やタイムスタンプなどの機能が備わっており、これらの機能を活用することで法的に効力のある契約行為が行えます。そのため、法的効力は紙の契約書での契約行為と変わりません。
従来のように紙の契約書で契約行為を行っていた場合、契約書の印刷費や郵送費、印紙税などのコストが発生していました。そのため、契約件数が増えれば増えるほどコストがかさんでいたのが現状です。しかし電子契約システムでは、これらのコストはすべてなくなり、インターネット上で業務を完結することができます。
また、紙の契約書で発生していた印刷や郵送の手間、契約書の保管スペースの確保なども必要ありません。電子契約システムによって、契約業務はすべてインターネット上で完結できるようになるため、スムーズな契約締結を実現できます。
電子契約システムの基本機能
電子契約システムの基本機能は、主に6つの機能があります。
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電子押印・署名、送付機能
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外部サービスとの連携機能
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ワークフロー機能
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タスク管理機能
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電子署名・タイムスタンプ機能
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原本保管機能
それぞれの基本機能について解説していきます。
●電子押印・署名、送付機能
「電子押印・署名・送付機能」とは、電子契約システム上でデジタルの押印や署名が行える機能です。電子契約書の押印や署名は、法的な効力を持たせるために第三者機関である電子証明局や時刻認証局が発行した「電子証明書」が契約書に埋め込まれています。これにより、契約書の押印や書名は本人によるものと判断され、法的効力が発生します。
また、ほかにも本人による押印・署名であると証明する方法として、メールアドレス認証が挙げられます。メールアドレス認証は「立会人型」とも呼ばれています。指定されたメールアドレスに有効期限が設定されたURLが送付され、メールアドレスからURLのリンクを開くことで本人であるという認証を得られます。
送付機能とは、電子契約システムを利用するクラウド上で契約書のやり取りを行う機能です。紙で発行する必要はなく、すべてクラウド上で完結できるため、インターネットに接続できる環境があればどこでも対応が可能です。紙での発行がされないため、印紙税の発生も起こりません。
●外部サービスとの連携機能
「外部サービスとの連携機能」とは、その名の通りほかの業務で作成した契約書などを連携させ、電子対応が行えるようにする機能です。企業では様々な契約書を締結します。顧客の売買契約書、請負契約書、秘密保持契約書(NDA)や従業員に対して締結を行う雇用契約書などです。
これらの契約書をすべて紙で発行し、締結した契約書の保管までを行うと業務の手間は膨大になってしまいます。しかし、電子契約システムを活用すれば、契約にかかわる業務をシステム上ですべて完結させることが可能です。
●ワークフロー機能
「ワークフロー機能」とは、社内での契約業務にかかわるフローをすべてシステム上で行えるものです。契約業務には社内稟議の起案から、最終承認者までの承認作業が発生します。電子契約システム上で契約フローを行えるため、承認者が社内にいなくても対応が可能です。また、事前に承認ルートを設定するため、スムーズな承認作業が行えます。
●タスク管理機能
「タスク管理機能」とは、契約にかかわる業務内容のタスクをシステム上で管理するものです。契約書を管理する総務部などのメンバーのタスクを一元管理ができ、管理者はスケジュール画面からメンバーのタスクの進捗状況がわかります。またタスクが少ないメンバーがいれば、業務を振るなどの対応も可能です。
●電子署名・タイムスタンプ機能
「電子署名・タイムスタンプ機能」とは、電子上で署名が行える機能です。電子署名は指で記載する機能を搭載したものがあります。タイムスタンプ機能とは、電子契約書の有効性を示すためのものです。対象の出来事が発生した日付や時刻を証明するもので、電子文書が存在したことを法的に証明することが可能です。
電子契約システムでは、これらの機能を活用することで「誰が・いつ・どの契約書」について操作しているかの証明になります。契約書の改ざんが行われていないことが証明できるため、コンプライアンス強化にも貢献します。
●原本保管機能
「原本保管機能」とは、電子契約システム上で作成した契約書の保管ができる機能です。電子契約書で結んだ契約は、紙による発行は必要がないため、原本もすべてシステム上での保管になります。原本がシステム上に保管されているため、紛失のリスクもありません。また、システム上の保管により、物理的な保管スペースがないこともメリットでしょう。
原本を保管するだけではなく検索機能も有しているため、過去の契約書を参照したいときは、簡単に該当の契約書を探し出すことが可能です。
電子契約システムのメリット
電子契約システムを導入するメリットには、以下の4点が挙げられます。
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経費・コスト軽減につながる
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コンプライアンスの強化ができる
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業務効率の向上が期待できる
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契約がシステム内で完結できる
それぞれのメリットについて解説していきます。
●経費・コスト軽減につながる
電子契約システムを導入することで、経費・コストの削減につながります。紙の契約書で発生していた、あらゆるコストがなくなるからです。紙の契約書での業務を行っていた場合、契約書の印刷にかかる印刷費や製本を行う人件費、郵送が必要な場合の郵送費などが必要でした。加えて契約書の保管スペースです。紙での契約書は原本保管を行う必要があり、物理的なスペースを必要とします。企業によっては、保管スペースとして物件を契約しているところもあります。
紙の契約書の大きなコストとなっているのが、印紙税です。印紙税は契約する金額によって変わっていき、金額が高くなればなるほど印紙税も高額になってきます。さらに契約件数が増えれば、比例して印紙税も必要になってくるため、コストは大きくなる一方です。
こうしたあらゆるコストは、電子契約システム導入によって、一切発生しなくなります。電子契約書になるため、印刷や製本、郵送などの必要はなくなり、クラウド上ですべての契約業務が完結します。契約した原本はシステム上に保管できるため、物理的な保管スペースも必要としません。そのため紙の契約書の保管スペースなどを借りていた場合、コストの大幅削減が実現できます。加えて、印紙税の削減です。電子契約書には印紙税の必要がありません。そのため多くの契約を取り扱う企業は、印紙税によるコストの削減が可能です。長期的に見れば、電子契約システム導入に伴い多くのコストが削減されるため、費用対効果に優れていると言えます。
●コンプライアンスの強化ができる
コンプライアンスの強化も、導入によって実現できます。契約にかかわる業務内容が可視化されるからです。例えば、ログの管理です。電子契約システムには、「いつ・誰が・どのようなアクセスをしたか」のログを残すことが可能です。そのためインシデントが発生した場合、ログを遡ることで原因を突き止め、迅速な対応ができます。
紙の契約書の場合、紛失や改ざんが起こってしまうと追跡が困難になります。従業員にもログ管理がされていることをアナウンスすることで、契約業務に関するコンプライアンスの強化が可能です。
●業務効率の向上が期待できる
契約業務の効率化を図れる点も、電子契約システムを導入する大きなメリットです。電子契約システムを導入することで、社内での稟議申請から承認、顧客からの署名、原本の保管までアナログの作業は発生しません。紙の契約書を発行する手間、郵送する手間、承認申請をもらう手間、原本を顧客から受け取る手間などがなくなります。また、契約書の参照を行いたい際は、検索機能によってすぐに該当の契約書を探すことが可能なため、契約内容の確認も迅速に行えます。契約にかかわる業務がすべてデジタル化されることで、業務をより効率良く行うことができます。
●契約がシステム内で完結できる
電子契約システムはクラウド上ですべての業務が完結するため、契約業務がスムーズに進みます。急ぎの業務の場合は、チャットツールで連絡を行えば即座の対応も可能です。業務のスピードアップにより、業務の生産性向上が図れます。
さらに電子契約システムについての知識を深めたい方は、以下のページで詳細を解説していますので、合わせてご参照ください。
電子契約システムの費用について
電子契約システムは、無料で利用できるものから有料のものまで様々です。無料だと機能が制限されているものが多いため、本格的に電子契約システムを導入するのであれば、有料のシステムを導入するのがおすすめです。
●電子契約システムの費用構成
有料版の電子契約システムの費用構成は「月額基本料金+従量課金制」となっています。どのシステムも毎月のランニングコストとして基本料金を支払い、加えて電子契約書の作成や送信を行った数で利用料金が加算されていきます。基本料金を支払うことでおおむねの機能を利用することができますが、自社に必要な機能を追加したい場合は、別途オプション料金がかかります。
●電子契約システムの費用相場
費用相場はシステムによって変わってきますが、月額1万円から4万円の利用料金に加え、契約1件あたり50円から300円かかる従量課金が相場とされています。月額基本料金が高いシステムだと機能を豊富に利用できますが、自社で活用しない機能も搭載されている可能性があるため、事前に精査しておくことが大切です。運用管理費やクラウド上で運用するため、利用するサーバー代などが主な内訳になるでしょう。クラウドシステムになるため、常に最新バージョンのシステムを利用できるのは、大きなメリットです。
従量課金制にかかる費用は、前述した電子契約書の作成や送信を行った数によって変動します。契約書のやり取りが多ければ多いほど、費用はかさんでいきます。1件100円の従量課金の場合、20件の契約書のやり取りを行って月額2,000円程度なので、契約件数によっては使い分けられると良いでしょう。契約プランによっては、月10件までの送信は無料のシステムもあります。
参考までに、月50件の契約件数と月300件の契約件数における月額料金の一例をご紹介します。月額料金はどちらも1万円、1件あたり200円の従量課金制だと仮定します。
月50件の場合
基本料金 | 1万円 |
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従量課金 | 1万円 |
総額 | 2万円 |
月300件の場合
基本料金 | 1万円 |
---|---|
従量課金 | 6万円 |
総額 | 7万円 |
月50件の契約件数の場合は月額2万円程度です。年間で24万円程度と試算できます。
一方、月300件の場合は月額7万円かかります。年間で84万円程度と大きく変わることがわかります。繁忙期など月によって契約書のやり取りは大きく変動します。あくまでも目安として捉え、費用対効果が優れているかを確認すると良いでしょう。
電子契約システムの導入方法
電子契約システムの導入方法は、以下の3つです。
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パッケージ型
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オンプレミス型
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スクラッチ開発
●パッケージ型
パッケージ型とは、すでに出来上がったシステムを自社の業務に当てはめて運用していく方法です。導入コストを抑えることができ、すぐに利用開始できるのが魅力的な点です。
一方で、自社の業務に対して機能が不十分であったり、フォーマットが適していなかったりなど、無駄が発生する可能性もあります。事前にきちんと製品についての調査を行い、自社の業務に適しているかを確認しておくことが大切です。
●オンプレミス型
オンプレミス型とは、自社内にサーバーを設置し、社内インフラを構築した上で電子契約システムを導入する方法です。すでにほかのシステムで社内でのサーバー運用の実績があれば、スムーズに運用することができるでしょう。社内インフラを活用し、ほかのシステムとの連携もスムーズに行えるのが魅力的な点です。
●スクラッチ開発
スクラッチ開発とは、自社に適した電子契約システムをゼロから開発する方法です。ゼロからの開発手法のため、コストと時間が大きくかかる点がデメリットです。また開発途中に修正業務などが発生してしまうと、運用開始までさらに時間がかかる可能性があります。最大のメリットは、自社の業務に適したシステムで運用ができる点です。機能の不足や操作性が優れていないなどの懸念点は発生しません。開発コストをかけられる、運用開始予定までの期間が十分にある場合は、検討してみてください。
まとめ
電子契約システムを導入すると、コスト削減から業務効率化まで様々なメリットがあります。電子契約システムの導入は、今後さらに広がりを見せる傾向があります。顧客とのやり取りも、紙ではなく電子で行うことが増えるかもしれません。費用も従量課金制を採用しているため、費用対効果に適したシステムを見つけやすい点は大きなメリットと言えるでしょう。ぜひ、電子契約システムを導入し、契約業務のデジタル化を達成してみてください。
なお、電子契約システムのシステム開発を依頼する専門のシステム開発会社をお探しの方もいらっしゃるでしょう。ただ、開発実績のある開発会社を、自分だけで探すのはなかなか難しいです。1社ずつホームページを確認して問い合わせ、依頼する会社候補を絞り、様々な要素を比較してみて最終決定を下すのは時間と手間がかかってしまいます。
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