業種を問わず、オウンドメディアを活用した自社のPRをする企業は少なくありません。商品の特徴やサービスの強み、積み上げてきた実績などを伝えるうえで役立つオウンドメディアですが、「制作にはどの程度の費用がかかるか」「どのような流れで制作が進むのか」という点がややわかりにくいのが難点です。本記事ではオウンドメディアの制作を検討している企業の担当者の方へ向けて、オウンドメディアの制作費用の相場や流れ、制作費用を抑えるポイントを解説いたします。
目次
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オウンドメディアとは何かをおさらい
そもそもオウンドメディアとは、自社で運営するメディアのことを指します。企業の公式ホームページやブログ、各種SNSアカウントなどがメディアに含まれます。オウンドメディアの役割は自社の特徴や魅力を発信し、集客につなげることにあります。企業側から顧客へ直接働きかけるのではなく、間接的に認知度を上げることで潜在層の顧客獲得につなげるのです。
●オウンドメディアが注目を集めている背景
オウンドメディアが注目されている背景には、SNSによる拡散力があります。総務省より発表された「情報通信白書令和4年版」では、「生活や仕事のうえでSNSの活用が欠かせない」と回答した方が全体の16%、「便利なのでSNSを積極的に活用している」と回答した方が27.5%と報告されています。また、「SNSを利用したことがある」と回答した方は25%でした。SNSを積極的に活用している割合だけでも、全体の4割以上に上ります。
さらに、SNSは高い拡散力を備えている点もポイントです。有益な情報や良質なコンテンツはユーザーに広く拡散されるため、オウンドメディアのコンテンツが上手く拡散されれば自社の認知度をより高められるでしょう。その結果、集客力が高まり商品やサービスへのCV(コンバージョン)率アップも期待できます。
参照:情報通信白書令和4年版
オウンドメディアの立ち上げにかかる費用
オウンドメディアの立ち上げ・運用には、最初に必要なメディアの構築やデザイン費だけでなくメディアを維持・運営するためのサーバとドメイン費用も必要です。以下で、設計・構築・メディアの維持にかかる費用相場をご紹介いたします。
●オウンドメディアの設計にかかる費用相場:15万円~20万円
オウンドメディアを設計する際は、「戦略設計費」「マーケティング費」が必要です。相場として、外部コンサルタントの協力を得た戦略設計費やマーケティング費用は15~20万円前後とみておきましょう。戦略設計はオウンドメディアの核となる部分であり、ブランディングやコンセプトを設計する工程にかかる費用が必要となります。また、戦略設計をもとに顧客に対するアプローチを考案し、コンテンツ内容を設計しなくてはなりません。こうした集客設計や内部の流動設計にかかる費用がマーケティング費です。
●オウンドメディアの構築にかかる費用相場:55万円~
構築に必要なのが、デザインとコーディングです。メディアの規模や人月単価、開発ツールにもよりますが、デザイン・コーディングにかかる費用相場は55万円以上と考えておきましょう。デザインと一括りにいってもオリジナルデザインを設計するか、もしくはテンプレートのデザインを活用するかが考えられます。オリジナルデザインを制作すればその分コストがかかり、逆に既存のテンプレートやプラグインをそのまま活用するのであれば構築費用を節約可能です。
また、コーディングはプログラミング言語を使って行う作業のため、専門的なスキルが必要です。デザインと同様、一から仕上げようとすればコストがかかりますが、CMSツールを使ってコスト削減を図る方法もあります。CMSとは、コンテンツ管理システムのこと。コンテンツを構成するデザインやコードなどを一元管理できます。CMSは、小規模サイト向けの「オープンソース型CMS」、中規模~大規模サイト向けの「商用パッケージCMS」、自由度が高く大規模サイト向けの「フルスクラッチ型CMS」の3パターンに分けられるのが特徴。どのパターンを使用するかでデザイン・コーディング費用の相場が変動するため、慎重に検討する必要があります。
●オウンドメディア維持にかかる費用相場:ケースにより異なる
サーバ代やドメイン代などのWebサイトを維持するための費用がオウンドメディアの維持に該当します。使用するサーバやドメインによって差がありますが、サーバ代は初期費用数万円で、月額数千円程度です。ドメインは、月額数百円程度で済みます。また、オウンドメディアが最新の状態に保たれるよう、保守管理も欠かせません。保守管理の内容にはWebサイトのメンテナンスや、サーバ・ドメインの更新などがあります。保守のみを外注するのであれば、1万円以下で済むケースが少なくありません。
オウンドメディアの運営にかかる費用の内訳
オウンドメディアを運営するためには、コンテンツの制作費用とメディアの定期的な改善にかかる費用が必要です。それぞれの相場を把握しておくと、予算を検討する際の判断材料になるでしょう。続いては、オウンドメディアにかかる費用の内訳を紹介します。
●コンテンツの制作にかかる費用100万円~
オウンドメディアの公開時に用意するコンテンツ制作の費用相場は100万円前後とみておきましょう。ただし、制作するコンテンツのジャンルで費用が大きく変動します。コラム記事やPR記事などの文章メイン記事コンテンツよりも、動画コンテンツのほうが高額です。目安として記事コンテンツで1件数万円、動画コンテンツの場合は1件数十万~数百万円と覚えておきましょう。
オウンドメディアの制作費用を節約するポイント4つ
オウンドメディアは、自社の認知度アップや集客に欠かせないツールです。だからこそ、限られた予算を賢く使う必要があります。オウンドメディアの制作費用を節約するコツを、以下に4つピックアップしました。
●その1.導入する機能に優先順位をつける
企画段階で、導入する機能を厳選して優先順位をつけましょう。例えば、記事コンテンツの投稿や管理が容易に行えるCMSをベースにオウンドメディアを構築する場合、搭載したい機能には以下のようなものが挙げられます。
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外部ツール・SNS連携機能
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資料ダウンロード機能
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動画アップロード機能
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ユーザー管理機能
オウンドメディアの機能と一言でいっても、その種類は多様です。「この機能はマストで導入したい(オウンドメディア運営の根幹にかかわる機能)」「あると便利そう」「いつか使うかもしれない」といった基準をもとに、搭載する機能に優先順位をつけていきましょう。機能の洗い出し・優先順位をつけることで、企画段階で制作費用が膨れ上がることを防げます。
●その2.必要なコンテンツ記事の数を見極める
SEOの観点での分析をもとに、作成するコンテンツ記事数を見極めましょう。あるキーワードで検索した際に、サジェストに出る関連キーワードをすべて盛り込んで記事を作成するのは効果的とはいえません。くわえて、作成する記事の数が増えればその分コストがかかります。
「どの関連キーワードを選んで記事を作成すればユーザーにとって便利で、検索結果でも上位表示を狙えるか?」「ユーザーに読んでもらいやすいか?」といった分析を行い、キーワードを絞ることで、コンテンツ記事の数も絞り込めます。その結果、ユーザーに読まれやすく質の高いコンテンツ記事を作りやすくなるのです。さらに、似たようなキーワードの記事の乱立・重複も防ぎやすくなります。
●その3.コンテンツ記事をほかの施策でも活用する
作成したコンテンツ記事は、オウンドメディアだけでなくほかの施策でも活用しましょう。こうすることで、コンテンツ制作費用を抑えられます。例えば、メールマガジンやSNSでオウンドメディアの記事をシェアしたり、ホワイトペーパーとしてまとめたりといった方法でコンテンツ記事を活用できます。「せっかく書いた記事を、ほかの施策でも使えないか」といった視点を持つことが大切です。
●その4.外注する範囲を決める
自社のリソースで賄える部分は、できる限り自社で対応したほうがコストを節約できます。着手すべき作業を洗い出したうえで、外注の必要性を検討しましょう。コンテンツ記事の作成を例に挙げると、以下のような工程を踏むケースが多くみられます。
- キーワードの分析及び選定
- 記事構成の作成
- 記事の執筆
- 記事へ挿入する画像の選定・作成
- 記事の校正・チェック
- 記事の入稿・公開
制作会社へコンテンツ制作を依頼するのであれば、一連の工程をすべて外注するよりも、外注する範囲を具体的に決めておくことが大切です。コンテンツ記事の場合は、「キーワードの選定から記事構成までは外注へ依頼し、それ以降の工程は自社で対応する」「記事の校正と執筆のみを依頼する」のように決めます。依頼する範囲を決め、コンテンツ制作やオウンドメディア運営のノウハウが社内に蓄積されれば、専任チームを育成することも可能です。
オウンドメディア制作の流れ
オウンドメディアの制作工程は、概ね次のとおりです。
- 目的を明確にする
- ターゲットやペルソナの決定
- 集客方法の決定
- 運用方法の決定
- サーバ環境の整備
- サイトの制作
- 運用・改修
各工程の詳細を、以下でご紹介します。
●目的を明確にする
オウンドメディアを制作・運営する目的を明確にします。目的が曖昧だと、オウンドメディアの方向性がブレてしまうため注意しましょう。目的の例としては「自社商品やサービスの認知度アップを狙いたい」「問い合わせの数を増やしたい」などがあります。できる限り効果測定しやすい目的を掲げるのがポイントです。また、目的や目標を設定する際は、制作を担当する部署内だけでなく社内全体を巻き込んで共通認識を持つことも重要です。
●ターゲットやペルソナの決定
ターゲットやペルソナを決めて、「どのようなユーザーに/どのようなコンテンツを届けるのか」を明確にしましょう。
ターゲットは大まかな属性、ペルソナはターゲットよりも詳細な属性情報を想定した人物像のことです。「20代後半の女性」「社会人経験は2~3年目」といった情報は「ターゲット」、「年収は◯◯万円」「地方都市在住/一人暮らし」「休日はインドアをメインで楽しむ」などの情報は「ペルソナ」となる情報です。ターゲットやペルソナをしっかり設定することで、オウンドメディアの方向性が定まります。また、オウンドメディア上で展開するサービスや機能も洗い出しやすくなるでしょう。
●集客手法の決定
オウンドメディアへの集客方法を洗い出し、選定するフェーズです。主な集客方法としては、SNSやWeb広告、SEOなどが挙げられます。立ち上げ当初は、コストがかからないSNS集客を中心とするのがおすすめです。その後、SEO評価を獲得するために質の高いコンテンツ記事を作成し、まとまった予算を確保できたらWeb広告へ進出すると良いでしょう。
●運用方法の決定
オウンドメディアの運用方法を決めましょう。選択肢としては、「自社で運用する」「外部に運営を委託する」「一部の運用業務のみ外注する」といった方法があります。自社運用する場合、体制づくりや人材の確保といった作業でリソースが圧迫される可能性がありますが、その分金銭的なコストを抑えられるのがポイントです。運用をすべてまたは一部を外注する場合は外注費が発生しますが、社内リソースを確保しやすくなります。
●サーバ環境の整備
制作したコンテンツ記事や音声ファイル、動画を保存するサーバ環境を整えるフェーズです。自由度の高い自社サーバ、必要に応じて簡単に増強できるクラウドサーバ、運用コストを低く抑えられるレンタルサーバなど、サーバの種類は様々です。オウンドメディアへのアクセスが増えれば増えるほど、サーバには強い負荷がかかります。オウンドメディアが成長した後のことを考慮して、適切な容量を持つサーバを選びましょう。
●サイトの制作
サイトデザインやコーディングなどの対応など、サイトを制作します。オウンドメディアの土台が出来上がったら、記事や動画といったコンテンツを都度充実させていきましょう。また、コンテンツづくりだけでなく集客も重要です。あらかじめ決めておいた集客方法でユーザーにアプローチし、メディアの認知度を高めていきましょう。なお、各種コンテンツの内製する範囲・外注する範囲を明確にしておくことも重要です。
●運用・改修
出来上がったオウンドメディアを運用し、継続的な分析や効果測定を行うフェーズです。CV率・成約率・記事PV数といった要素を数量的に解析し、随時改修を行いましょう。各分野の成果率を数量的に解析することで、オウンドメディア全体の強みや課題が明確になります。
オウンドメディアの成功事例2つ
オウンドメディアの制作時には、実際の成功事例を参考にケーススタディを行うことも効果的です。異なる業種・業界のオウンドメディアの成功事例を、以下でご紹介いたします。
●「サイボウズ式」の事例
「サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営するオウンドメディアです。2012年の運用開始以来、ほかのメディアにはない高い独自性を持ったコンテンツが支持されています。企画・コンテンツ制作などはすべて社内で行っているほか、あえて自社製品の紹介や自社のPRにはつなげない方針も特徴的。ユーザー目線を徹底したコンテンツ制作にこだわっています。立ち上げから3年半で月間平均20万PVを達成。同社の課題であった離職率は、28%から4%へ低下するという結果につながりました。
●「北欧、暮らしの道具店」の事例
北欧雑貨を扱う「北欧、暮らしの道具店」が展開するオウンドメディアです。自社のブランド・世界観に共感してくれるユーザーへ向け、多様なコンテンツを発信しています。オウンドメディアとしての機能だけでなく、自社ECサイトとしての機能を担っているのも特徴です。新商品に関する情報のほか、収納テクニックやインテリア・食器選びのポイントなど、ユーザーのライフスタイルに寄り添うコンテンツを提供。その結果、月間平均130万PVを超える優れたオウンドメディアへと成長を遂げています。
オウンドメディアの費用に差が出る理由
オウンドメディアの制作費用に差が出る理由には、オウンドメディアの構築方法や外注範囲が関係しています。例えば、社内にCMSの操作に慣れている人材がいる場合、CMSによる構築を中心にすることで外注する範囲が狭まり、コストを抑えられる可能性があります。逆にいえば、社内のノウハウが乏しければ乏しいほど外注する範囲が広がり、コストが膨らみやすくなります。
とはいえ、オウンドメディアは戦略的に制作・運営することで成果が出るものです。良い外注先を選べれば、オウンドメディア制作・運営の心強いパートナーとなってくれるでしょう。オウンドメディアの構築・運営に強い開発会社をお探しの方は、ぜひ発注ナビをお役立てください。
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