給与管理システムは、企業の多くが導入している人事業務には欠かせないシステムです。その中でも導入していない企業が挙げる理由として多いのが「システムの利用料が高額」であることや「自社に適したシステムがわからない」などです。特に日本では、SaaSと呼ばれるクラウドサービスを開発している企業が多く、給与管理システムが非常に多く存在しています。そのため、どのような給与管理システムが良いのか頭を悩ませている経理担当者もいらっしゃいます。
本記事では、給与管理システムの導入費用や利用費用などの相場や給与管理システムの導入形態について解説していきます。
目次
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給与管理システムとは?
給与管理システムは、従業員ごとの給与を正確に計算・管理するためのシステムのことです。
労働基準法などの労働者に関する法律の見直しが行われたことによって、給与がしっかりと支払われているのかを企業の責任として問う流れが生まれ、賃金に関するシステムが重要視されるようになりました。勤怠管理システムなどと連携して労働時間に対して適切な賃金が支払われているのかの確認や、人件費がかかりすぎていないかといった経営の見直しにも活用されています。
給与管理の業務は時間と手間がかかる業務です。システムが代行することによってミスの防止や業務の簡略化と効率化を行なうのが主な目的となっています。
給与管理システムの導入タイプ
給与管理システムは、「クラウド型」「パッケージ型」「オンプレミス型」の3種類に分けられます。近年はクラウド型のサービスが台頭してきており、名前もよく聞く機会が増えましたが、それぞれ向き不向きがあります。ここでは、3つのタイプを詳しく解説します。
●クラウド型
クラウド型では、ネットワークを経由して給与管理システムを利用することができます。
多くのサービスで、無料プランが用意されていて、試用してから有料プランを検討できるのが特徴的です。有料プランは、マイナンバー管理など新しい機能の追加といったオプションや、従業員数に応じて料金が増えていくプランが一般的です。法改正などがあっても、サービス提供会社が法改正に合わせた修正を行うため、ほとんど何も対応をしなくて良いというメリットがあります。
しかし、従業員数が少なければコストパフォーマンスに優れていますが、どんどん従業員数が増えていくような企業だとランニングコストが高くなってしまうケースがあるため注意が必要です。
●パッケージ型
パッケージ型は、会社のPCにソフトをインストールして使う形態です。
導入時にコストはかかりますが、導入後は使用するためのライセンス以外のコストがかからないことが多いです。クラウド型のように、毎月のランニングコストがかからないため、コストパフォーマンスに優れた形態といえますが、自由なカスタマイズがしにくいなどもあるため注意が必要です。インターネット環境がなくても給与管理が行えるため、動作する環境さえあれば導入や運用までの期間が短期間で済むなどがメリットとして挙げられます。
一方、デメリットとして、法改正などがあるたびに修正後のバージョンを新たに購入する必要がある点があります。
●オンプレミス型
オンプレミス型は、ソフトウェアを使用者が管理するサーバーに設置して運用する形態です。
パッケージ型とは異なり、自社のサーバーでバックアップを取ったり、カスタマイズをしたり、セキュリティを強化したりすることができます。社内の既存システムと連携するなどの使い方もできますが、サーバー管理などが必須となるため管理には専門性による属人化などが起きやすく、人事異動の引き継ぎに苦労するといったデメリットがあります。社外へのデータ持ち出しを厳しく制限しているような企業では、オンプレミス型を採用するケースもあります。導入時のライセンス費用は高額なことが多いですが、従業員数が多い企業などでは結果的に安くなるため、オンプレミス型を導入する大企業は多いです。
それぞれメリット・デメリットがあるため、自社にあった形態のシステムを導入することが望ましいです。
給与管理システムの導入にかかる費用
今度は給与管理システムの費用で比較していきます。給与管理システムの導入を検討している方は月額支払のサブスクリプションなのか、一回買い切りなのかによって異なることを念頭に予算費用を組み立てると良いでしょう。
●クラウド型の導入費用
クラウド型の給与管理システムの導入にかかる費用は以下のとおりです。
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初期費用:0円
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ランニングコスト:月額数百円〜数千円
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保守運用費用:0円
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カスタマイズ費用:0円
クラウド型の給与管理システムの多くは、初期費用を無料としているところが多く、2週間程度の無料体験プランなどを用意しているところがあります。企業側にとっては、0円で給与管理システムを一通り使ってみることができるため、パッケージ型やオンプレミス型と比べて導入しやすいのが利点です。オンプレミス型と違ってサーバーの管理などを気にする必要なく、給与管理システムを使うことができます。
クラウド型は、多くの企業が運営会社に要望などを送っているため、クラウド型の給与管理システムも機能がどんどん追加されるというのが強みといえます。ほかにも、サポートに力を入れている会社も多く、給与管理システムを利用するうえで生じる疑問はチャットやメールでいつでも問い合わせできる体制を整えていたりします。初めて給与管理システムを導入する企業にとっては心強い味方といえます。
●パッケージ型の導入費用
パッケージ型の給与管理システムの導入にかかる費用は以下のとおりです。
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初期費用:数万円〜数十万円
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ランニングコスト:0円
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保守運用費用:0円(サポートの有無により変動)
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カスタマイズ費用:0円
パッケージ型の給与管理システムの最大の特徴は、システムを最初に購入すれば、以降のランニングコストがかかりにくい点です。給与管理システム導入のコストはできるだけ最小限に抑えたいという企業におすすめです。初期費用はかかりますが、その後のランニングコストは0円まで抑えられます。しかし、法改正などで給与管理システムに変更が必要になった場合、新たにシステムを更新する必要があります。
サポートについても、有料サポートを購入することで、年末調整の相談などのメールサポートを受けることができます。「システムの更新費用には目を瞑るが、ランニングコストは抑えたい」という企業はパッケージ型、「ランニングコストを払う代わりに今後の法改正にも柔軟に対応していきたい」という企業はクラウド型の導入を検討してみてください。一部のパッケージ型の製品では、保守サポート費用を払うことで次期バージョンアップの製品に無償で更新できるものもあります。
●オンプレミス型の導入費用
オンプレミス型の給与管理システムの導入にかかる費用は以下のとおりです。
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初期費用:数万円〜数十万円
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ランニングコスト:0円
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保守運用費用:サーバーの維持費用による
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カスタマイズ費用:0円
オンプレミス型の給与管理システムは、クラウド型やパッケージ型と比べて自由度があるという特徴があります。社内の既存システムと連携したり、自社のサーバーでバックアップを取ったりなど、企業の運用ルールにより近い形でカスタマイズして給与管理システムを導入することができます。しかしな、サーバーの管理を行う方の属人化が進んでしまうと、給与管理システム運用の引き継ぎなどの際に大きなコストがかかってしまいます。
情報システム部門などの部門がなかったり、ITに強い方がいなかったりする企業ではクラウド型やパッケージ型の給与管理システムを導入する方が将来的にはコスト削減に繋がる場合があります。また、サーバーなどが物理的に壊れてしまったり、災害時などに停電が起きてしまったりすると給与管理システムの利用に影響が生じる場合があります。
代表的な給与管理システムの料金比較
代表的な4つの給与管理システムについて概要とそれぞれのサービスの費用について比較してご紹介します。
●マネーフォワード クラウド給与
マネーフォワード クラウド給与は、家計簿アプリの開発を行っているマネーフォワードが開発しているクラウド型給与管理システムです。
給与計算処理の自動処理や、法改正や社会保険料の変更なども無料でアップデートできるサービスが備わっています。マネーフォワード クラウド会計やクラウド勤怠とも連携できるため、勤怠状況から給与計算を行うこともできます。有料ではありますが、導入の際に導入支援サービスがあるため、ITに慣れていない企業でも導入することが容易です。
●freee人事労務
クラウド会計ソフトfreee人事労務には、会計ソフトや人事労務ソフトなど多種多様なサービスがあります。マイナンバーを用いた従業員管理、給与計算、勤怠管理、年末調整など人事労務で作業時間がかかっていた作業を大幅に削減することができます。freee人事労務にはミニマム、ベーシック、プロフェッショナル、エンタープライズの4つのプランがあります。給与計算はどのプランでも利用することができます。入退社手続きや従業員の打刻機能と連動する場合は、ベーシックプラン以上にすることで使うことができます。また、それぞれのプランは会社の規模にあわせて選択することが推奨されており、創業期にはミニマムプラン、成長期にはベーシックプランなど会社の規模にあったプランを契約することをおすすめします。
●給与奉行クラウド
給与奉行クラウドを使うことで、大半の人事労務業務をデジタル化することができるクラウドサービスです。公式では給与奉行クラウドを使って、給与計算や確認などの業務時間が7割削減とあり、ITを活用して業務時間を削減したいという企業におすすめです。
給与奉行クラウドのサーバーはMicrosoft Azureで運用されているためセキュリティは万全で、自動でバックアップも行われるようになっています。また、すでに自社で勤怠管理システムなどが動いていても、APIを用いて給与管理システムと連携することもできます。導入時に給与奉行クラウドは、データ連携や移行も行えますが導入支援サポートも申し込むことができます。
●弥生給与23
弥生給与シリーズは売上実績24連続No1の実績のある給与管理システムです。給与計算はもちろんのこと、昇給や社会保険、年末調整、マイナンバー管理なども対応しています。
あんしん保守サポートという有料のサポートプランに加入することで、法改正などがあっても法改正のたびに更新が行われ、最新のバージョンがリリースされても無償でアップデートすることができます。あんしん保守サポートは3つのプランがあり、無償アップデートはすべてのプランで利用できます。電話サポートや経理業務相談などはベーシックプラン以上で行うことができます。
●それぞれのサービスの費用
4つの給与管理システムをご紹介しましたが、各サービスの初期費用と利用料金を表にまとめました。
サービス名 | マネーフォワード クラウド給与 | freee人事労務 | 給与奉行クラウド | 弥生給与23 |
---|---|---|---|---|
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円〜70,000円 | 80,000円〜117,500円 |
月額費用 | 4,980円〜5,980円 | 3,980円〜4,480円 | 5,500円〜93,000円 | 0円 |
前半でもお伝えしたとおり、給与管理システムにはクラウド型、パッケージ型、オンプレミス型の3種類があります。それぞれに長所短所があり、コストや機能なども変わってきます。自社にぴったりな給与管理システムを採用するのが一番良いですが、自社開発を行ったほうが良い場合もあります。発注ナビでは、知識豊富な専門のスタッフがあなたの課題や要望をヒアリング。全国5,000社から最短1日で厳選してご紹介します。ご相談からご紹介まで完全無料となっていますので、この機会にお気軽に相談ください。
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