既存システムのリプレースや、新たにシステムの導入・開発を依頼する際に、どのくらいの予算を開発費に組み込んでいいのか疑問を抱く担当者の方は多いでしょう。
システム開発には、主にスクラッチ開発とパッケージ開発の2つの方法があります。パッケージ開発はコストパフォーマンスに優れていますが、自社が求める課題・要望をすべて解決することはできません。一方、スクラッチ開発はパッケージ開発より費用が高額になるものの、自社が求める課題・要望を解決できるシステムを開発することができます。
この記事では、スクラッチ開発にかかる費用相場について解説しています。スクラッチ開発の予算を検討する際にご参考ください。
目次
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スクラッチ開発の費用相場
スクラッチ開発とはゼロからオリジナルのシステムを開発する方法です。オーダーメイドで開発するので、予算や求める機能に合わせて開発ができ、他社のシステムと差別化を図りやすいメリットがあります。ここからは、スクラッチ開発の費用相場や費用に影響する要素について紹介していきます。
●開発するシステムによって費用相場が異なる
スクラッチ開発の費用相場は、システムの規模や内容によって大きく変動します。一概に費用相場を提示することは難しいですが、目安として、小規模なシステムの場合はおおよそ200万円~500万円程度を見込むことができます。一方、基幹システムを一新するような大規模な開発の場合は、2,000万円~3,000万円程度の費用がかかることが一般的です。
スクラッチ開発では、ゼロからシステムを開発するため、費用に幅があります。そのため、具体的な費用はプロジェクトの要件や開発チームの経験、スキルによって変わります。最終的な費用感は、具体的な開発内容や要求される機能を考慮して決定されることになるため、開発会社に見積もり依頼をしましょう。
●エンジニアの単価によって相場は大きく異なる
スクラッチ開発の費用では、人件費が大半を占めます。システム規模が大きくなるほど、開発期間が長くなり、その期間中エンジニアを確保する必要があります。また、規模が大きくなると、高いスキルを持つエンジニアが必要になります。スキルの高いエンジニアを1ヶ月間確保する場合、120万円~200万円の人件費がかかることがあります。開発会社によってエンジニアの費用が異なりますが、平均で80万円~120万円と考えておくと良いでしょう。
エンジニアの月あたりの単価は次のとおりです。
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PG 下請け・フリーランス:40万円~80万円
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PG 大手企業:60万円~100万円
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SE 初級:80万円~100万円
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SE 中級:100万円~120万円
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SE 上級:120万円~200万円
スクラッチ開発費用は、エンジニアの人件費だけがすべてではありませんが、一般的なエンジニアの人件費を理解しておくことで、スクラッチ開発にかかる費用の概算を把握することができます。
開発人件費の基本的な計算方法は、エンジニアの月単価×人数×開発期間です。エンジニアの単価は開発会社により異なり、同じスキルレベルのエンジニアでも20%前後異なる場合があります。複数の開発会社に見積もりを依頼する際はエンジニア単価、開発人数、開発期間がわかるように依頼しましょう。
●エンジニアのスキルレベルで開発費用は変わる
スクラッチ開発費用は、開発に携わるエンジニアのスキルレベルでも異なります。システム規模に関係なく、システム開発は、プロジェクトマネジャー(PM)、システムエンジニア(SE)プログラマー(PG)などのチームで開発を進めています。
例えば、同じスキルレベルのプログラマーでも、過去に同じようなシステムのプログラムを書いた経験があるかどうかで、開発期間が異なります。特に打ち合わせやヒアリング、設計を担当するシステムエンジニアのスキルレベルは重要です。その理由は、スキルレベルが高いことで要望を正確に理解し、適切な提案ができるからです。設計段階でシステムの要件を正確に把握し、効率的かつ適切な設計ができることで、開発期間の短縮につながり、費用を抑えられる可能性があります。
さらに、システムエンジニアは、IT技術力はもちろんのこと、発注元の業務や業界知識もあるかが重要です。それらの知識があれば、ヒアリングや打ち合わせの際にシステムへのニーズを汲み取りやすくなり、打ち合わせの時間を短縮できるからです。さらに開発途中の修正ややり直しのリスクも減り、結果として開発期間を短縮できます。
●運用・保守にかかる費用
スクラッチ開発はシステムが完成して終わりではありません。仕様変更による修正や、やり直しが発生するケースが多くあります。またシステムを安定稼働させるためには、予防保守や、定期的なメンテナンスが必要です。これらは、開発費用とは別にかかる費用です。スクラッチ開発で導入する際、運用・保守の費用も予算に組み込みましょう。
スクラッチ開発の費用相場は、200万円~3,000万円程度と幅があります。また、開発費用以外にも、運用・保守の費用が別途必要です。正確な費用を知りたい場合、スクラッチ開発のできる開発会社へ見積もり依頼をしましょう。
その際、一社だけでなく複数社へ依頼をしましょう。複数社の見積もりを比較することで、各社の提案内容や費用を検討し、自社の要件や予算に最も適した開発会社を選択することが可能になります。また、複数の見積もりを比較することで、市場相場を把握し、適正な開発費用を見極めることもできます。
スクラッチ開発の費用を安くするポイント
スクラッチ開発の費用相場について紹介してきました。ここからはスクラッチ開発費用を安くするポイントについて紹介していきます。
●一部既存の部品やライブラリを使用する
スクラッチ開発手法はゼロからオーダーメイドで開発する方法ですが、既存の部品やライブラリを使用することで、開発時間を短縮し、コストを削減することができます。また、APIが公開されているサービスを利用することで、自社で開発する必要がなくなり、さらにコスト削減が可能となります。さらに、オープンソースのソフトウェアを利用することで、ライセンス費用を削減することができます。これらの方法をうまく活用することで、費用を抑え、効率的なシステム開発が実現できます。
ただし、これらの方法で開発費用を抑えた場合、セキュリティや操作性、障害発生時の対応などに課題が残ります。利用する際は、これらのことも考慮して利用を検討しましょう。
●契約形態を変更する
外注先との契約形態を工夫することで費用を抑えることが可能です。特に大規模システム開発を依頼する際、一般的には要件定義からテスト、リリースまで一括で請負契約しているケースが多いです。請負契約は契約先が完成責任を負うため、プロジェクト管理費用、品質管理費用、リスク対応にかかる費用など、開発以外の費用が含まれており、費用が高額になります。
そこで、準委任契約という契約形態を検討することで、費用を抑えることが可能です。準委任契約は、外注先に製造品の完成責任がない契約形態で、外注先のリスクが請負契約と比較して少なくなります。これにより、安い単価でエンジニアを確保でき、開発費用を抑えることができます。ただし、この契約形態は費用を抑えられる一方で、自社のリスクは高くなります。そのため、開発予算とリスクを見比べて検討することが重要です。
●リスク要因を事前に除去する
請負契約を締結する際に、外注先はリスク分見積もりを追加することがあります。これは、開発中に発生する可能性のあるリスクをカバーするためのものです。具体的な内容としては、開発中に発生する可能性のある問題や遅延に対する費用、外部要因による開発遅延や中断に対する費用、そして開発中に発生する可能性のある技術的な問題に対する費用が含まれます。これらのリスク分見積もりは、プロジェクトの成功を確実にするために重要な要素です。しかし、リスク要因を事前に予測し、排除しておくことで費用を抑えることが可能です。
●補助金制度を利用する
システムを新規導入する金銭的な負担を軽減するため、国や自治体から補助金・助成金が支給されています。システム開発で使える補助金・助成金をうまく利用することで、システム開発費を抑えましょう。補助金・助成金について、詳細は以下の記事からご確認ください。
▷IT導入補助金を活用したシステム開発とは?申請方法や流れも
スクラッチ開発費用に影響する開発リスク
スクラッチ開発は、ゼロからオーダーメイドで開発するため、求める要望を取り入れて開発を進めることができます。ただ思いついた要望すべてを開発依頼してしまうと、開発費用は予定していた予算を超え、開発期間も長くなります。ここでは、スクラッチ開発費用に影響する開発リスクについて解説しています。
●システム要件は明確か/実現可能なシステムか(技術リスク )
システムを予算内で開発することは重要です。特にスクラッチ開発は注意が必要です。ゼロから開発する特性上、基本的に多くの要望を実現できるためです。もし、システム要件を整理しないまま開発を進めていくと、要望は増え続け、一年間で数回しか使わないような機能まで開発するケースもあります。その場合開発費用が高くなるだけではなく機能が複雑になり、使いにくいシステムが完成します。そのため、開発前に要望を洗い出し、優先順位をつけ、システム要件を明確化しましょう。また、それらが実現可能なシステムか技術リスクも検討することが大切です。
●開発期間は適切か(納期リスク)
システムは予定していた納期で完成させることが重要です。納期が遅れるとビジネスに影響するケースがあります。例えば納期に合わせて、サービス提供を考えていた場合、納期が遅れることにより予定日にサービス提供ができません。結果として顧客の信用を失ったり、収益を失ったりします。予定開発費用内で完成させることを優先し、無理な開発期間を指定すると、納期遅延のリスクが発生します。開発内容に対して適切な納期設定かを確認しましょう。開発期間を根拠なく見積もっていると余分なコストがかかり、開発費用が高くなります。
●予算は十分か(金銭的リスク)
スクラッチ開発でシステムを開発する際、一番注意したい点は金銭的リスクです。十分な予算を確保していないまま開発を依頼してしまうと、資金ショートし必要な機能が開発できなくなるケースや、システムが完成できないケースもあります。こうならないためにも、事前に十分な予算を確保し、開発期間やコストがかかることを考慮することが大切です。ただし、十分な予算がある場合でも、要望する機能すべてを開発しようとすると、逆に使いにくい、使えないシステムができてしまうことがあります。要件定義をしっかりと精査し、適切な予算を確保することが重要です。
●品質担保ができるだけの時間・予算・人手があるか(品質リスク)
スクラッチ開発でシステムを開発する際には、品質を担保できるだけの時間や予算、人手が確保できているかを精査する必要があります。予算や人を確保できていれば、一部の開発途中の試験を自社内で対応することも可能です。そうすることで、質を担保したまま開発費用を抑えることができます。開発途中で行う試験には、単独試験、結合試験、連携試験、完成試験などがあります。これらの試験は、個々の機能が正しく動作するかを確認や、システム全体が正しく連携して動作するかを確認する試験です。これらの試験を適切に行うことで、品質の高いシステム開発を実現できます。
スクラッチ開発を依頼する外注先選びのポイント
ここまでスクラッチ開発費用を安くするポイントについて紹介してきました。開発費用を抑えるだけではなく、外注先選びも重要なポイントです。ここからは、外注先選びの際に気をつけたい内容について紹介していきます。
●自社が求めるシステムが得意分野である会社を選ぶ
自社が求めるシステムを得意分野とする外注先へ委託するようにしましょう。開発をする際、業界特有ともいえる業務や決まり事などがあります。また開発するシステムにおいても様々な種類があります。得意ではない範囲を依頼することによって、開発言語やフレームワークが異なり開発が遅れたり、経験のない業界やビジネスモデルのため、要件定義がうまくいかなかったりします。外注先が得意としているシステムや、業種について確認しておきましょう。
●スクラッチ開発の実績がある会社を選ぶ
外注先を選ぶポイントとして、スクラッチ開発の実績の有無をチェックしておきましょう。実績や経験が豊富な開発会社は、その開発手法に慣れている為、スムーズな開発ができます。ただし、実績や経験が豊富であっても、自社の業界に関係するシステムの開発経験がないとスムーズに開発できない場合があります。業界の知識がある外注先であれば、より詳細に開発の要望を取り込んでもらいやすくなります。さらに業界特有の業務に対する知識もあり、打ち合わせもスムーズに進められます。自社と同じ業界にシステム経験があるか、開発時のこだわった点や、成功した要因など具体的な話ができるかの2点を中心に確認しましょう。
●コミュニケーションの取りやすい会社を選ぶ
システム開発を外注するうえで、コミュニケーション能力は重要なポイントです。なぜなら、要件定義や設計段階から顧客の要望が正確に理解され、適切な提案が可能になるためです。また、開発中に問題や遅延が発生した場合でも、円滑なコミュニケーションによって早期に対応できるでしょう。さらに、定期的な報告を通じて開発の進捗や品質を把握しやすくなります。このような理由から、コミュニケーションがスムーズに行える開発会社を選ぶことがおすすめです。
●アフターフォローの手厚い会社を選ぶ
システムは完成して終わりではありません。システムをリリースしてからが本番といって良いでしょう。それほどリリース後は、様々な課題や障害、修正内容が発生します。その際の対応が悪いと、ビジネスに大きな影響を与えて損失が発生することもあります。そうならないためにも、外注先のアフターフォローやメンテナンス体制が整っているかを確認しておきましょう。
スクラッチ開発でシステムを構築する際は、複数の開発会社に相談し見積もりを取ることが重要です。ただし、実績やスキルを持つ外注先を自社だけで調査し比較検討するのは難しいものです。そこで、発注ナビのようなマッチングサービスを利用することがおすすめです。発注ナビでは、システム開発に詳しいスタッフがあなたの要望に応じた開発会社を提案してくれます。さらに、相談から見積もりまで完全無料でサポートしてくれるため、安心して利用できます。スクラッチ開発を外注する際は、発注ナビを活用して適切な開発会社を見つけましょう。
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