発注ナビにご満足いただいている開発会社も、導入当初から受注に成功していたとは限らない。そこには受注に至るための工夫や努力がある。今回取材させていただいたatma株式会社は、導入当初、結果を出せずにいた。しかし、ある取り組みをきっかけに受注率が各段に向上。毎月1件ペースでの受注獲得に成功している。受注率大幅アップの秘密はどのようなものなのか、同社で営業を担当する福岡氏にお話を伺った。
社名 | atma株式会社 |
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所在地 | 大阪府大阪市淀川区西中島1-9-20 新中島ビル8F A号室 |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | AI導入コンサルティング Web・モバイルアプリケーション AIシステム開発 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
会社設立以来、代表のコネクションを利用したリファラル営業で案件を受注。そのままでも経営は順調だったが、余裕のあるうちに、将来に向けた新しい販売チャネルを用意しておくべきだと考え、新たな営業チャネルの導入を検討していた。
- 導入後の効果
商談には進めるものの、最初の1年はほとんど受注につながらなかった。しかし、商談の進め方を変えてみたところ、受注が大幅アップ。毎回、エントリー月に1件受注できるようになった。失注した案件も、商談で得たお客様の声を提案力の研鑽に有効利用している。
リファラル営業でも十分だったが、将来のために販路を拡大
atma株式会社は2016年に設立されたソフトウェア開発会社で、AI分野や、さまざまな業界・業種に向けた業務システムやアプリの開発を得意としている。設立当初から受託開発のみを手掛けているという点も大きな特徴だ。
同社は設立以来、代表の上浦氏のコネクションを利用した、いわゆるリファラル営業で受注を獲得していたといい、得意先との関係から上浦氏が直接営業することも少なくなかった。
同社としては、そのままでも受注が獲得できており、会社の経営は成り立っていたが、販路拡大のため、リファラル営業はそのまま続ける一方で、新たな受注獲得のスキームを模索したという。余裕のあるうちに動き出しておくというのは、できるようで、なかなかできることではないだろう。
その結果、案件マッチングサービスを導入することにしたという。現在は、発注ナビと他社サービスの計2社の案件マッチングサービスを利用している。
現在、新規の営業案件は福岡氏が全て対応している。
課題の本質は何で、どう解決したいか、実はお客様も分かっていない
そんな同社だが、発注ナビ導入当初は、なかなか受注に結びつかず苦心したという。特に最初の1年は、ほぼ受注に結びつかず、契約を延長するかどうかも迷ったほどだった。
「当初は、幅広くさまざまな案件にエントリーしたのですが、うまくいきませんでした」
初回の打ち合わせで「こういうシステムを開発して欲しい」「こういうアプリが欲しい」という要望を聞き、当初はそのまま見積書や提案書に落とし込んでいた。
ところが、弊社が考える解決すべき課題とお客様が求めているシステムソフトウェアやアプリケーションが、どうにも一致しないケースが多かった。
「それもそのはずで、実はお客様ご自身も、課題の本質と、それをどう解決すればよいのかが、よく分かっていらっしゃらなかったのです。そのまま額面通りに受け取って、システムを提案しても、そもそも有効な課題解決策にはなりません。そして、そのまま提案したとしても、本質的な議論を経ていないので、結局は競合他社と価格勝負になってしまい、当社を積極的に選んでいただく決め手になりません」
打ち合わせ回数を増やすことで思い切った提案ができるようになり受注増へ
そこで、見積書や提案書を作成するまでの打ち合わせ時間や回数を、以前に比べて増やした。
「それまでは平均2回だったところを、5~6回に増やしました」
また、エントリーする案件も、自社の得意分野に絞ってエントリーする方針に変えた。
「打ち合わせでお互いに不明な点をとことん解消し、解決すべき課題は何か、そのために必要なものは何なのかを徹底的に理解し合うようにしました」
事前の打ち合わせ回数を増やすと、お客様の負荷も増えるため、敬遠されるのではないかという心配があるかもしれない。
「そこが発注ナビと、競合サービスとの大きな違いだと感じています。発注ナビから紹介されるお客様は、1回目の打ち合わせで“話すこと”に価値があると思ってくださるようで、3回、4回と繰り返しても、毎回、意欲的に臨んでくだいます。競合サービスのお客様は、スピーディーに概算見積が欲しいという印象です」
ある事例では、お客様が2000年に導入したかれこれ20年物のシステムがあり、それを刷新したいという要望があったという。
「ところが旧システムからのデータ移行については、あまり考えられていらっしゃらないようでした。そこで想定されるリスクをきちんとご説明した上で、当社にはデータベーススペシャリスト資格保持者もおり、安全にデータ移行が可能であることをお伝えすると、とても安心してくださいました」
以来、相手が気づいていないことやリスクを先回りして伝え、解決手段を説明することを心がけるようになった。
また、場合によってはお客様先の担当者が「この方向で社内の稟議に回す」と申し出ても「まだ十分ではありません。自分が経営者だったら、ここをもう少し詰めておかないと決裁できません」というように、踏み込んだ意見も出すという。
そうして同社では、たとえお客様が当初想定していたものと違ってしまう結果になっても、より良いと思える提案をするようにした。
「お客様も本当は、技術的なアドバイスやシステム開発の進め方をなど、建設的に議論できる業者を探していることに気付きました。それからは思い切った提案ができるようになりました」
そこから受注率が大幅に跳ね上がった。
同社は発注ナビのセレクトプランを利用している。同プランは契約期間内に決められた月数分を好きなタイミングで利用できるというもので、開発リソースに余裕がある時期のみ案件獲得に動けるというプランだ。リファラル営業と併用するのにも都合が良いという。
「現在、エントリー案件を絞り込んでいるので、発注ナビ利用月に紹介される案件は平均2~3件というペースですが、毎月1件ペースで成約ができています」
たとえ失注になっても決して無駄にはならない!
もちろん、すべての商談がうまくいくわけではない。
「提案の結果、失注することもありますし、打ち合わせであまりしつこくヒアリングしていくと、ご立腹されるお客様もいらっしゃいます」
意外なことに、同社では「お好きにご提案ください」と記された案件へのエントリーには消極的だという。
「これは当社なりの判断基準ですが、予算も含め、ある程度お客様サイドで考えていることを記載しているかどうかで、その案件に対して、お客様がどれだけ真剣なのかを判断しています。もちろん『お好きに~』と書かれていても真剣なお客様もいらっしゃるので、あくまでも1つの判断基準ではありますが」
たとえ受注に至らないケースでも同社にとっては大きな財産になるという。
「別のお客様が知りたがっていた情報はきっと他のお客様も望んでいらっしゃるのではないかと思い、提案書の内容をどんどん厚くしていっています。その意味で、失注した案件の打ち合わせも決して無駄にはなりません」
こうした取り組みを続けることで、同社の提案は前にも増して充実したものとなった。
現在、同社では、発注ナビと競合サービスとを巧みに使い分けている。
「案件情報に記載される予算は、発注ナビよりも競合する他サービスの方が明確です。ただし、見積り上でのコンペになりやすい印象があります。発注ナビは、案件情報レベルでは予算が不明瞭なこともあるのですが、お客様とじっくり打ち合わせができるので、提案内容で競えます。結果として発注ナビのほうが成約率は高いですね」
同社では、競合サービスは案件獲得のみを目的とし、発注ナビは案件獲得に加え、お客様との関係構築にも利用している。
「発注ナビのお客様とは、何度も膝を交えて打ち合わせをしているので、たとえその案件が失注しても、引き続きつながっていることが多く、その後別案件でお話をいただくこともあります」
そんな同社に今後の展望を伺った。
「今までは受託開発がメインだったのですが、今年から受託開発業務を継続しながら新しいことにもチャレンジし始めました。具体的には、今年の4月からSaaS事業部を起ち上げ、7月に自社サービスを開発販売しはじめました」
同社では、そうした新しい取り組みにおいても、発注ナビが役立つと考えている。
「発注ナビの新着案件には、実に多様な業界からの案件が要件と共に掲載されています。それを見るだけでも、市場において、どのようなニーズがあるのかといったトレンドを知ることができます。さらに、商談に進むことができれば、直接お客様の声を聞くことができます。そこで得られた知見を反映することで、自社サービスにおいてもクオリティの高いものがご提供できるのではないかと考えています」
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