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営業チームを持たない開発会社が顧客との信頼関係を構築するには -開発会社が成約率を高めるTips#4

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開発会社が成約率を高めるTips#4 株式会社HAPILYの扉絵

どのような業種の企業においても、顧客との信頼関係を構築することは、とても重要な取り組みだ。例えば、ハードウェアのメーカーなど目に見える製品を作っている企業であれば、その製品の良し悪しが信頼に直結することも多い。しかし、システム開発会社が手掛けるのはシステムというなかなか目には見えにくいものだ。しかも、システム開発会社の中には営業専門部署がなく、どうやって顧客との信頼関係を構築するかに悩むことも多いだろう。

株式会社HAPILYの代表取締役CEO 長谷川太一朗氏は「お客様との信頼関係を構築するには、システム開発の最初から最後まで一貫して心がけておくことと、商談時、構築時、納品後などフェーズごとにやるべきことがあります」と説明する。そのTipsを伺った。

 

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株式会社HAPILYの長谷川様

<本連載の話者紹介>

株式会社HAPILY 代表 長谷川太一朗氏

大学卒業後、Web広告関連のITベンチャー企業にエンジニアとして新卒入社。
その後は同社で新規プロジェクトチームのチームリーダー、既存プロダクトのプロダクトマネージャーを経験。
学生時代の経験は家族の支えがあり成し遂げられたことで、とても貴重なことだと感じ、「もっと世の中の家族を幸せにしたい」という想いのもと、株式会社HAPILY(旧・合同会社HAPILY)を設立。

 

お客様の視点でシステムを開発する。だからこそ信頼関係を構築できる

顧客との信頼関係を構築するためにHAPILYが一貫して心がけていることとは何か。それは作ろうとしているシステムが、本当に使われるものかどうかをきちんと考えることであるという。長谷川氏は、「システム開発の最初から最後まで常に、作ろうとしているシステムが本当に使われるシステムなのかを徹底的に考えながらお客様と接しています」と語る。「お客様の視点に立って、お客様が『本当にやりたいことは何か?』、『どんなシステムならそれを実現できるのか』を繰り返し自問自答しています」(長谷川氏)という。

ときには、お客様にとって本当に作るべきシステムなのか、本当に必要なのかといった根本的なところまで立ち戻ることもあるそうだ。そこまで戻りながら、「お客様と一緒に考えていく」(長谷川氏)という気持ちを持つことが、信頼関係を構築するのに大切ということだ。

ただし、ここまでの話だけなら、多くのシステム開発会社が『うちも同じ気持ちでやっている』と思うかもしれない。顧客に言われた通りにシステムを作るだけではなく、システム開発の本来の目的を明確にして、その実現のために(顧客の示したシステム構成とは異なっても)本当に必要なシステムを提案する、『うちだってそうやっている』というシステム開発会社は多い。

 

なぜこういったシステムを作るのか、根拠となる『エビデンス』を示す

ただし、HAPILYはそのやり方が違う。「簡単に言うと、すべての提案に対して、その裏付けとなる根拠、『エビデンス』を示しています」(長谷川氏)。

例えば、ある新規のサービスを立ち上げたいと考えている顧客がいたとする。そのために必要なシステムを開発するにあたって、HAPILYは、どのようなシステムなら顧客が目指すサービスを実現できるかを徹底的に考える。これは冒頭で触れた、そのシステムが本当に使われるものかどうかをきちんと考えるという、同社が一貫して心がけていることである。

その上で、そのサービスにおけるユーザー層(ペルソナ)を想定し、想定したペルソナに効果的なUI/UXなどを具体的に検証しながら、『だからこうした画面デザインのこういったシステムが必要になると考えました』と示す。つまり、こういったシステムが必要だと単純に言葉だけで話すのではなく、「根拠を示して説明する」(長谷川氏)ことを実践しているのだ。

この『根拠を持つ』ということは、実は中々できることではない。長谷川氏は、エビデンスを得るために、ユーザーヒアリングや市場調査、競合調査なども実施しているという。エビデンスを積み上げて、お客様が本当に必要としているシステムなのか、お使いいただけるシステムなのかを徹底的に考え抜く。『なんとなく』や『こうしたほうがいいのではないですか』といった提案は一切しない。曖昧なやり取りのままで開発を進めるようなことはしないのだ。だからこそ、「お客様との信頼関係を構築できるのだと感じています」(長谷川氏)。

ここまでの話しを整理すると、顧客との信頼関係を構築するにあたっては2つのことが大切だといえそうだ。まずはそのシステムが本当に使われるものかどうかをきちんと考えること。これは、システム開発の最初から最後まで常に心がけておくべきことだという。次にきちんとしたエビデンスを示すこと。確かになんとなくで開発を進めてしまうと、後々になって作りたかったシステムと違うとなりかねないだろう。エビデンスに基づいて本当に使われると考えられるシステムを提案する、だから顧客との信頼関係を作りあげることができるのだ。

それでは、次に実際の商談時やシステムの構築時、そして納品後の各フェーズにおいて信頼関係を構築するのに必要なこととはどのようなことなのか、順番に説明していく。

 

商談時に信頼関係を作るキーワードは『共感』

実際の商談では、発注側も受注側もお互いに初対面のケースも多く、いきなり信頼関係を構築するのは、当然だが難しい。多少なりとも緊張感を持ちながら商談に入ることになるだろう。そんなとき、信頼関係を構築するのに必要なキーワードとして長谷川氏の口から出た言葉は『共感』だった。

共感といっても、相手の話すことに素直に頷いて、『はい。ごもっともです』という類の表面的な共感ではない。商談になると、顧客の担当者と直接に話をすることになる。その際に重要となるのは、「お客様が作りたいと思っているもの、その中身について、いかに早く正確に理解するかということ。素早く正しく理解できれば、それに共感することも異を唱えることもできます」(長谷川氏)。

そのうえで、顧客の要望を『こういうことですよね』と念押しするようなかたちで確認していけば、『そうそう、そういうことをやりたかった』と、文字通り共感を得ることができる。ここで発注側と受注側とがお互いに『どういうものを作るのか』を確認し合えれば、実際の開発で当初のイメージと異なるシステムができてしまうリスクも減るし、何よりも顧客からの信頼を得ることができるだろう。

つまり、顧客の要望をきちんと理解できれば、納得して共感もできるし、納得できない場合には代替案を、エビデンスと共に示すこともできる。「こうした取り組みがお客様との信頼関係を作り上げていくことにつながるのです」(長谷川氏)。

また、「商談時に検討課題が明らかになった場合、持ち帰って検討とはせずに、できる限りその場で即答するようにしています。それによって『レスポンスが速い』と認識されれば、信頼性もより高まると感じています」(長谷川氏)というアドバイスもいただいた。

 

システム構築時にはヒアリングを徹底。納品後はアンケートなどで満足度アップ

さて、商談を終えて晴れて受注となった際には、実際にシステムを構築するフェーズに入る。この段階で改めて要件定義をして、基本設計や詳細設計をしていくことになるのだが、その際、HAPILYではできるだけ幅広くヒアリングをすることを実践しているという。これは冒頭に説明したエビデンスを示すことにもつながる。例えば、財務システムであれば財務担当者、営業システムであれば営業担当者、生産管理システムであれば現場担当者などから、業務の流れやシステムをどう使おうとしているか、実際にシステムを使う人たちのITリテラシーなど、多岐にわたってヒアリングをして、システムの構成に反映させる。ヒアリングした内容をエビデンスとしながら、顧客の要望を実現するシステムの姿を提案しているのだ。

さらに、顧客との信頼関係を構築する同社の取り組みは、システムを納品した後も続く。システムを納品したらおしまいではなく、顧客に対してアンケートを実施したり、ABテストを実行して使いやすさを改善したり、さらには、NPS(ネット・プロモーター・スコア/顧客ロイヤルティを測る指標)を駆使して顧客満足度を高めていくといったことも行う。こうすることで、信頼関係はより強固になっていく。

こうした同社の取り組みについて、長谷川氏は「単純にシステムやでもアプリを開発しているという意識はありません。HAPILYはお客様と一緒に、それを使う人たちを意識した『プロダクト』を開発していると自負しています」と説明する。さらに、こうも続ける。「お客様と信頼関係を構築するには、この『プロダクトを創り出す』という意識がとても重要になると考えています。さまざまなエビデンスをもとに『こういうプロダクト(システム)ならしっかりと使ってもらえる』と提案するから、お客様から信頼される。それができるのがHAPILYの強みだと考えています」(長谷川氏)。

 

信頼関係構築の第一歩は『自社分析』、自社に魅力がなければ信頼してもらえない

ここまで顧客と信頼関係を構築するための方法について、HAPILYの取り組みをもとに説明してきた。最後に、長谷川氏が教えてくれたもうひとつの大切なことを紹介する。それは、自社分析だ。

顧客との信頼関係を構築しようとすると、どうしても相手のことを正しく理解しようと考えてしまう。もちろん、それは必要なことだが、もうひとつ自社についても見つめ直してみることが大切だという。

「信頼関係の構築とは、いわば、相思相愛の関係に似ていると思います。相手のことを理解することは当然、必要ですが、同時に自分自身が魅力的でないと相手に好きになってもらえないでしょう。その視点です」(長谷川氏)。自社の強みは何か、自社は魅力的か、「自社を見つめ直して良いところをアピールし、弱みは改善していく。その取り組みも信頼関係構築には、とても重要です」(長谷川氏)。信頼関係構築の第一歩は、じつは自社を見つめ直すことにあるのかもしれない。

 

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