従来の問診といえば、紙媒体を使って行うことが一般的でした。近年は新型コロナウイルスの流行に伴い感染拡大防止のため、Web問診システムが次々と導入されています。「自院にも導入したいけど、どういったシステムなのかわからなくて判断しかねている。」という病院も多数いらっしゃいます。
今回は、そんなWeb問診システムについて、紙問診との違いや導入するメリット・デメリットなどを詳しく解説します。Web問診システムの選び方もあわせて解説するため、これから導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
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Web問診システムとは?
規模を問わず様々な病院で導入が進んでいるWeb問診システムには、通常のWeb問診とAI問診の2種類があります。それぞれに特徴が異なるため、導入する前に把握しておく必要があります。Web問診システムの概要や、従来から利用されている紙の問診との違いなどについて詳しく解説します。
●Webを通して記入する問診票
Web問診システムとは、紙ではなくデジタルの問診票で患者がパソコンやスマートフォンなどを使い、症状を記入するシステムのことです。病院に行かなくてもインターネット環境が整っている状況であれば、時間や場所を問わず問診票に記入できます。システムによっては、問診票を記入した後に診察予約をすることが可能です。問診票だけでなく患者の同意書が必要な医療行為について、電子同意書が作成できるタイプのシステムも増えています。
●紙の問診票との違い
従来の問診票の場合、病院に来院してから渡される用紙に記入する必要がありました。場合によっては、受付や看護師による質問に答える形式で問診票を作成するケースもあります。その後、紙の問診票は、デジタル化するためにスキャンや転記などの作業が必要になります。
Web問診システムを導入することで、作業にかかる時間や手間を削減可能です。効率的に問診を行うことができるようになります。院外で問診票に記入できることから、院内感染のリスクが抑えられる点も魅力の1つといえます。
●AI問診システムとの違い
AI問診システムは、患者が入力した症状を踏まえてAIが疑わしい疾患について推測しながら質問を出し、詳細な質問を繰り返すことで問診票を作るシステムです。AIは、医療機関や医学論文から得た情報をもとに日々学習を行うことで精度を上げています。
Web問診システムの場合は、問診項目にテンプレートが用意されているケースもありますが、基本的に問診項目をシステム導入する病院で作成しなければなりません。一方で、AI問診システムでは、AIが学習した内容を踏まえて深掘りしていきます。加えて、病院側が必要だと感じる項目を設定することも可能です。
効率的で正確な作業が期待できるAI問診システムですが、発展途上である点に注意が必要です。例えば、症例が少ない症状の場合は、どうしても任意の項目を入れる必要があります。紙の問診票とWeb問診システム、AI問診システムの良い点や悪い点を以下のようになります。
問診システムの種類 | 良い点 | 悪い点 |
---|---|---|
紙の問診票 | ・高齢者やデジタルが苦手な方でも記入しやすい | ・デジタル化に手間がかかる |
・院内で作業するため院内感染のリスクがある | ||
Web問診システム | ・デジタル化がスムーズ | ・高齢者やデジタルが苦手な方の利用率が上がりにくい |
・インターネット環境があれば時間や場所を問わず利用できる | ・病院で問診項目を作成する必要がある | |
・同意書への同意や来院予約も同時に行える | ||
・問診項目のカスタマイズ性が高い | ||
AI問診システム | ・基本的にAIが問診項目を作成する | ・まだ発展途上であり万能ではない |
・様々な医療文献をもとに自動的に学習を積むため、日々精度が上がる | ・病院側が独自の問診項目を入れるケースも多い | |
・疾患の見落としが減少する |
最新のAI問診システムも魅力的なシステムですが、発展途上である状況を踏まえると、現段階ではまだWeb問診システムのほうがおすすめです。導入するにあたり外注先を検討する場合、自分たちだけで調査を行い比較検討すると時間や手間がかかってしまうことも少なくありません。発注ナビでは、システム開発に詳しいスタッフが、要望を叶えられるシステム開発会社をご提案いたします。完全無料でご利用可能なので、お気軽にご相談ください。
Web問診システム導入で得られる病院側のメリット
Web問診システムを導入すると、病院側は多くのメリットが得られます。主なメリットは以下の4つです。
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感染症対策につながる
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患者の状態を深掘りしやすくなる
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受付業務の負担を軽減できる
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診察業務を効率化できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
●感染症対策につながる
Web問診システムは、病院に来院しなくても患者のスマートフォンから記入が可能です。事前に記入してもらうことから、待ち時間短縮にもつながり、待合室での感染防止に役立っています。加えて、ペンや紙の消毒は手間がかかりますが、ご自身のスマートフォンを活用してもらえば、消毒の必要がない点も感染症対策につながる理由の1つです。
●患者の状態を深堀りしやすくなる
Web問診システムは、質問の選択肢を作ることで、患者の症状に合わせて細かく質問することが可能です。紙の問診票は記入スペースが限られていて、患者自身が書くこともあり、深掘りした質問がしにくいというデメリットがあります。患者に負担をかけること心配も減ります。このように、Web問診システムであれば症状別で深掘りした質問を設定できるため、患者の負担を軽減しつつ、より深い情報を得られます。
●受付業務の負担を軽減できる
紙の問診票は患者が記入した情報をデータ化するためには、電子カルテに転記したりスキャンする必要があります。このような、データ化する作業はい大きな負担となる恐れがあります。手書きの情報は、場合によっては読みづらいものもあり、解読するために時間を費やすこともありました。作業時間の短縮ができるWeb問診システムの導入は受付業務の負担を軽減できます。
●診察業務を効率化できる
Web問診システムは、受付業務だけでなく診察業務の効率化にも役立ちます。紙の問診票は診察当日に記入してもらう必要がありますが、Web問診システムであれば、事前に入力してもらうことが可能です。診察前に問診票を確認できることで、患者の状態をある程度予測しやすくなります。問診作業の量が減ることで負担を軽減することで、より多くの患者の診察が期待できます。
Web問診システム導入で得られる患者側のメリット
Web問診システム導入によってメリットが得られるのは、病院だけではありません。患者側も様々なメリットを得られます。患者側の主なメリットとして挙げられるのは以下の2つです。
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記入が簡単になる
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待ち時間の減少につながる
以下で詳しく解説します。
●記入が簡単になる
Web問診システムには、紙の問診票よりも簡単に回答しやすいというメリットがあります。症状に合わせて質問が表示されるため、選択肢を選ぶだけで文字の記入が必要ありません。従来の文字の記入する方式は患者にとって面倒な作業でしたが、Web問診システムであればデバイスを通して選択するだけのため、テンポ良く回答できます。加えて、小さなお子さんをお連れの方にとって、子供を見ながら病院で紙の問診票を書くのは、大変な作業でした。Web問診システムの場合は、自宅で空いた時間に回答できるため、小さなお子さんを連れている患者にも喜ばれます。
●待ち時間の減少につながる
Web問診システムの導入により、待ち時間が減少する点も患者が得られるメリットの1つです。紙の問診票は病院で記入する必要があり、混雑している場合は、すぐに問診票を受け取れないことも少なくありません。カルテへ転記する作業を待っている時間も患者にとっては長く感じられるものでした。
Web問診システムでは、来院する前に記入することが可能であり、転記の時間もかかりません。スムーズに診察を受けられるようになるため、待ち時間が短くなります。
Web問診システム導入で気を付けたいデメリット
病院側にも患者側にも便利で効率化の図れるWeb問診システムですが、デメリットもあります。続いては、デメリットについて詳しく解説します。
●コストがかかる
Web問診システムを導入する際には、どうしても導入コストがかかってしまいます。Web問診システムにかかるコストだけでなく、予約システムや電子カルテと連携を図るためのシステムを構築する際にも費用が発生するため、ある程度の費用がかかることは頭に入れておかなければなりません。しかし、業務の効率化による人件費の削減や患者の診察料が増える回転率などを考えると、充分導入する価値があるシステムです。
●不慣れな患者へのレクチャーが必要な場合も
Web問診システムは以前からありましたが、本格的に導入が活発になったのは新型コロナウイルスの発生からで、患者が使い慣れていない可能性があります。特に高齢者はITツールに苦手意識を持つ方もいます。こういった患者に利用してもらうためには、事前にレクチャーする必要があります。Web問診システムがスタンダードになるまでは、問い合わせが増えてしまう恐れがあります。
とはいえ、Web問診システムを多くの方が使い慣れてくることで、問い合わせ数の減少が予想されます。患者全体に浸透してしまえば、スムーズに業務を進むようになるので、先駆けて準備しておくことが大切です。
自院に適したWeb問診システムの選び方
自院に適したWeb問診システムを選ぶためには、ポイントを押さえておくことが大切です。主なポイントとして、以下の3点が挙げられます。
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カスタマイズ性・フォーマットの有無
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見やすさ・使いやすさ
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継続運用が可能かどうか
Web問診システムの選び方についてポイントごとに詳しく解説します。
●カスタマイズ性・フォーマットの有無
問診票の項目は、各病院によって様々です。Web問診システムにはテンプレートが用意されているケースが多いですが、カスタマイズ性が高いものを選んでおくと病院のニーズに合わせやすくなります。Web問診システムに切り替えた直後は、項目作りに時間を取られてしまうことが予想されます。そのため、フォーマットがしっかりしているものを選ぶことも大切です。
●見やすさ・使いやすさ
基本的に、Web問診システムに情報を記入するのは患者です。病院側の効率化だけではなく患者にとって見やすく、使いやすいシステムを選ぶことも大切なポイントです。特に来院数の多い高齢者でもスムーズに使えるかどうかは重要です。患者にとって使い勝手の良いデザインにすることを前提に、Web問診システムを選びましょう。
●継続運用が可能かどうか
Web問診システムを導入するのであれば、初期費用だけでなく月額料金の支払いも必要です。継続して運用していくことを踏まえて、全体のコストがどの程度かかるかを試算してから導入しましょう。月額料金は、基本料金とオプション料金で構成されているケースが多いです。基本料金が安いからという理由で選ぶと、結果的に追加のオプションを付けることになり、想定していた予算を超えることも考えられます。基本料金に必要な機能が含まれているかを把握しておくことも大切なポイントです。
Web問診システムは、病院側の作業効率を上げたり患者の負担を軽減したりできる便利なシステムです。効率化や負担軽減だけでなく、感染症対策にもつながります。診察がスムーズに行えることで、多くの患者を診察できるようになる点も魅力的です。病院側・患者側の双方にメリットを得られるWeb問診システムは、結果的に集患にも役立つと考えられます。
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