ITに関する業務を全て自社で賄えている企業は多くありません。
そのため自社で行っているIT業務をアウトソーシングしている企業も多くいます。ITアウトソーシングを行うことで、自社のシステム開発やITインフラの運用を行ってもらうなど、多くの業務負担が軽減されます。
本記事ではITアウトソーシングの概要から、メリットやデメリット、導入時のポイントまでを解説していきます。
目次
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ITアウトソーシングの概要
アウトソーシングとは、日本語で「外部委託」という意味の言葉です。自社内で行っていた業務の一部を外部企業に委託することです。そのためITアウトソーシングとは、自社内のITに関わる業務を外部委託するという意味になります。
例えば、DX化を進めるために、自社の業務環境をクラウドに移行するための業務を専門の企業に任せることがITアウトソーシングです。
このようなITアウトソーシングを効率的に活用することで、自社のコア業務により注力することができます。
●ITアウトソーシングが注目されている理由
ITアウトソーシングが注目されている理由は、主に下記の3つが挙げられます。
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業務のDX化を行う波が押し寄せている
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社内業務効率化の必要性が高まっている
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自社の強みを活かしたいと考えている
日本のみならず世界でも、あらゆる業務でDX化の波が押し寄せています。DX化とは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、業務をデジタル化させることで、顧客満足度の向上や自社の市場における競争力の向上を目指すものです。
経済産業省も2025年までに日本の企業がDX化を行うことを、指針として掲げています。
なお経済産業省は「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」の中で、「2025年までにDX化が完了していなければ、1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある」としています。こうした背景から業務のDX化を行う需要が高まっており、より専門的な企業に業務を委託するITアウトソーシングが注目を集めています。
また、社内業務効率化の必要性も高まっています。その背景には、IT人材の不足や自社内の育成の問題があります。
IT業務には専門的な知識や経験、スキルが必要とされており、多くの企業ではIT分野に専門的な人材を置けない状況が続いています。そのため自社内でIT人材を育成もできず、育成を行おうとしてもコストや時間がかかってしまうため、業務効率化に至らないケースも少なくありません。そのためIT業務をアウトソーシングすることで、社内業務の効率化を実現させようと考えている企業が増えてきています。
最後に多くの企業が自社の強みを活かしたいと考えている点です。現在のビジネスにおいて、ITは切っても切り離せないものですが、IT業務そのものが不得意であるという企業も多いです。そのため不得意分野であるITをアウトソーシングし、自社の強みである分野(コア業務)に人材を集中させたいと考える企業もあります。
●委託できる業務内容
ITアウトソーシングで委託できる業務内容はさまざまです。主な委託概要は下記の表の通りです。
<ITアウトソーシング委託概要>
形態 | 内容 |
---|---|
フルアウトソーシング | 開発するシステムを企画から要件定義、実際の開発、運用までを全て外部委託としてお願いすること。 |
運用 | 自社のサーバーやOSなどのITインフラの運用を外部委託すること。 |
ホスティング | 外部に設置したサーバーやストレージについての準備や運用、保守などを外部委託すること。 |
ハウジング | 自社で運用するサーバーや通信機器などを、データセンターなどに間借りして委託すること。 |
ヘルプデスク | 顧客からの電話やメールなどの問い合わせを外部企業に委託すること。 |
常駐 | 自社で導入したシステムに対して、外部ベンダーのスタッフが自社内に常駐し、技術的なサポートを受けること |
一口にアウトソーシングと言っても、さまざまな利用形態が存在します。そのため自社の業務内容に合うやり方を導入することで、業務効率化などの目的が達成できます。
ITアウトソーシングを導入するメリット
ITアウトソーシングを導入するメリットは主に下記の4点です。
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コア業務に注力できる
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IT関連コストを削減できる
-
業務をプロに任せられる
-
システムのガバナンスを強化できる
それぞれのメリットについて解説していきます。
●コア業務に注力できる
ITアウトソーシングは自社のIT業務を外部委託することです。アウトソーシングをすれば、自社のIT業務に人員を割く必要がなくなり、これまでIT業務に従事していた従業員などを、コア業務に注力させることが可能になります。
コア業務とは、企業の利益や売上に直接つながる業務です。コア業務に人員を集中できれば、その分の生産性向上も見込めます。アウトソーシングを導入する前の企業は、障害対応や問い合わせ対応などに業務時間を割かれ、本来の業務に時間が割けないといった問題を抱えているケースがあります。IT業務が不得意である企業の場合は、より効果が顕著になるでしょう。
●IT関連コストを削減できる
ITアウトソーシングはIT関連のコスト削減にもつながります。なぜならITに関連する業務に人員を割くことがなくなるからです。担当社員の工数も減るため必然的にコストは減っていくでしょう。
さらに、運用保守などをアウトソーシングした場合は、機器やソフトの保守費や管理コスト削減も期待できます。
●業務をプロに任せられる
IT業務の委託を受ける企業はその道のプロフェッショナルになります。そのため自社では対応に時間がかかっていたものも、スムーズに解決してくれます。
またIT業界は移り変わりが速く、最新情報が日々アップデートされるものです。専門家に任せることで、新しい情報などを自社の事業に活かすことも期待できます。
●システムのガバナンスを強化できる
システムの運用・保守などをアウトソーシングする場合は、ガバナンス強化も期待ができます。なぜなら委託業者は技術的な専門性が高いため、リスク管理強化できるからです。
昨今では適切なシステム管理ができない企業は、障害や情報流出などのリスクが付きまといます。そのようなトラブルの発生を避けるために、アウトソーシングすることはガバナンスを強化し、リスクを減らすことにつながります。
ITアウトソーシングを導入するデメリット
反対にITアウトソーシングを導入するデメリットは下記の4つが挙げられます。
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コストがかかる可能性がある
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自社に開発のノウハウが蓄積されない
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情報が漏洩するリスクもある
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逆に生産性が低下する恐れがある
それぞれのデメリットについて解説していきます。
●コストがかかる可能性もある
自社に合ったアウトソーシング先を選択できなければ、必要のないサービスなども導入してしまい、かえってコストがかかってしまう恐れもあります。そのためアウトソーシングをお願いする企業との綿密な打ち合わせ、業務範囲などをきちんと把握して依頼することが大切です。
自社業務の一部を委託するため、費用対効果などを考慮し、しっかり選定することが大切です。
●自社に開発のノウハウが蓄積されない
ITアウトソーシングには、業務を委託するためノウハウが自社に蓄積されないというデメリットがあります。
開発から運用、保守までを一貫してアウトソーシングしていた場合、安定したシステム稼動は期待できるでしょう。しかしアウトソーシングをした分だけ、自社のエンジニアが開発や運用に関わることがないため、スキルが向上せず、自社内でシステム開発が難しくなるケースも出てきてしまいます。
アウトソーシングを活用しながら長期的にエンジニアの育成も進めていきたいと考えている場合は、ノウハウの蓄積ができるスキームが必要です。
●情報が漏洩するリスクもある
アウトソーシングは自社の機密情報などを外部企業に依頼するため、情報漏洩のリスクはどうしても上がってしまいます。昨今でも自治体の個人情報管理を委託されていた業者が、データの入ったUSBを紛失してしまい大きなニュースとなっています。
こうした情報漏洩のリスクを少しでも下げるためには、「どのように情報を管理するか」、「セキュリティ対策は万全か」を確認したうえで、アウトソーシングを依頼することが必要です。
きちんとした取り決めを行なったうえで、依頼をすると良いでしょう。
●逆に生産性が低下する恐れがある
ITアウトソーシングは自社の生産性向上を達成可能です。しかしアウトソーシングを依頼した企業が著しく業務レベルが低かった場合、問題の解決やトラブルの対応に追われてしまい、自社の業務負担が跳ね上がってしまい、生産性低下につながってしまう恐れがあります。
特にコスト面を重視した結果、実際の目的とかけ離れた結果に陥ってしまうことも多々あります。そのためアウトソーシング先の業務の質は担保されているかを、打ち合わせや調査を通じて判断することが大切です。
ITアウトソーシングを導入するときのポイント
ITアウトソーシングを導入するときのポイントは主に下記の4点です。
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委託会社の実績・サービス内容をチェックする
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現状課題の把握・要件定義をしてかけるコストを決定する
-
運用設計について話し合う
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導入後も問題改善に取り組む
それぞれのポイントについて解説していきます。
●委託会社の実績・サービス内容をチェックする
まずは委託をお願いしたいと考えている会社の実績やサービス内容をチェックすることが大切です。十分な実績をHPに載せている企業は一定の信頼が置けます。
しかし実績として掲載されている内容と、自社でお願いしたい内容がかけ離れていては本末転倒です。そのためしっかりと扱っているサービス内容も確認するようにしましょう。また検討段階で複数社と打ち合わせを行い、サービス内容についてプレゼンをしてもらうなども一つの方法です。
●現状課題の把握・要件定義をしてかけるコストを決定する
自社の現状課題の把握も重要な点です。
自社の人材では補えない点はどこか、コア業務を伸ばしていくために委託するとよい部分は何かを明確にしていきます。そして課題を明確にしたらゴールを決めていきます。たとえば長期的には自社での開発、運用をできるようにするため、アウトソーシングは短期的に行うなどです。
課題とゴールの設定を行ったうえで、要件定義を行っていきます。導入に向けての必要な工程などを決めていき、コストを決定していきます。
●運用設計について話し合う
選定したアウトソーシング先と運用設計について話し合っていきます。運用設計とは作業フロー図、作業手順書、課題管理表などを作成することです。運用設計がきちんとできていなければ、スムーズな導入は難しくなってしまいます。
また運用設計を行うことで、導入後も適切な人材配置が可能になるので、しっかりと固めることが必要です。
●導入後も問題改善に取り組む
ITアウトソーシングは導入して終わりではありません。よりよく運用していくために、出てきた課題に対してはアウトソーシング先と密に連携を行い、問題改善に取り組むことが必要です。
特に運用開始時は想定外のトラブルなどが多くなりがちです。きちんと連携を行うことで、影響を最小限に抑えることが可能になります。そのため課題発生時は問題をアウトソーシング先に任せきりではなく、きちんと連携して対応するようにしましょう。
セキュリティについてのポイント
アウトソーシングを行う場合はセキュリティについての取り決めも必要です。
インシデントが発生した場合の責任の所在はもちろんのこと、重要情報の取り扱いについての取り決めや運用時のセキュリティ対策などについて話し合うことが大切です。セキュリティについての対応が疎かになってしまうと、インシデント発生時に大きな問題となってしまいます。
そのためきちんと話し合いを行い、文書による締結などを行うことが大切です。
まとめ
ITアウトソーシングを行う企業が増えてきました。しかしITアウトソーシングをなぜ行うのか、自社にとってどんな課題を解決し、どのような目的を達成するために行うのかを考えることが最も大切です。
ITアウトソーシングにはメリットはもちろんのこと、デメリットもあります。ぜひ自社がITアウトソーシングを行うのが適切かを検討し、行う際には導入のポイントを踏まえて進めてみてください。
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