ITエンジニア1人が1ヶ月稼働した場合の価格は、「人月単価」と呼ばれます。人月単価の決め方や具体的な計算例、スキルと人月単価の関係性についてまとめました。そのほか、人月単価を左右する要素についても解説しています。
目次
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人月単価とは エンジニア1人あたりの単価のこと
人月単価とは、エンジニア1人が1ヶ月稼働した場合の単価のことです。「1人で○ヶ月かかる仕事量」を指す言葉だと捉えると良いでしょう。具体的な人月数は、「作業に従事する人員数×1人あたりの作業期間(従事期間)」で表されます。
例えば「人月単価90万円」というケースの場合、そのエンジニアに支払う月の単価報酬は90万円ということです。
人月単価は、エンジニアの持つスキルや発注する時期、所属する企業の規模によって変動するのが特徴。エンジニアのスキルが高ければ、その分人月単価は高くなる傾向にあります。
また、エンジニアが所属する企業の規模によっても変わります。大企業に所属しているエンジニアであれば、人月単価はやや高めです。
●人月を使った人員数・工数の算出方法
実際の工数を後から算出したい場合は「人数×時間」という計算式を用いると良いでしょう。例えば、プロジェクトの最初の2ヶ月は5人で作業していましたが、後の3ヶ月は7人で作業したと仮定します。最初の2ヶ月の人月は「5×2=10」で10人月、後の3ヶ月は「7×3=21」で21人月です。すると、トータルの工数は31人月と算出できます。
また、プロジェクト全体の人月を事前に仮定すると、必要な人員数を大まかに割り出せます。例えば、あるプロジェクト全体の人月が「60人月」、作業期間を6ヶ月と仮定しましょう。計算式は「60÷6=10」で、必要な人員数は10人ということです。
役職別の人月単価の相場はいくら?
一言でエンジニアといっても、業種名や担当業務などの条件は様々で、開発者のスキルや経験は異なります。ここではエンジニアの業種やメイン業務のパターン別に、人月単価の大まかな相場例をご紹介します。プロジェクトマネージャーをはじめとする4つの業種の人月相場をまとめました。
●プロジェクトマネージャー(PM)
基本的な開発業務や作業計画の立案などを依頼する場合、69万円前後が人月単価の相場です。ここでプロジェクトマネージャーとは、システム開発におけるプロジェクト全体の進行を管理し、総合的な責任を持つ役職のことです。
工程が多く複雑なプロジェクトを依頼された場合、開発スキルだけでなくプロジェクトの進行管理スキルも必要となるため人月単価も高額です。スキル・経験ともに豊富なベテランのプロジェクトマネージャーだと、人月単価が130万円を超えるケースもあります。
●システムアナリスト
プロジェクトマネージャーやチーフアナリストの指示に従い、基本的な情報収集を行うシステムアナリストの人月単価は、80万円前後が相場です。
一方、システム全体の分析業務を担当したり、ほかのエンジニアを統括したりするシステムアナリストも人月単価は高めです。その場合、人月単価は100~115万円程度です。
ちなみに、システムアナリストはIT戦略や企業が抱える課題を分析したうえで、最適なシステムの企画や立案、設計を推進していく職業です。
●アーキテクト
製品やシステムの設計を行うアーキテクトの人月単価は、やはり所持スキルによって左右します。
高度なプログラミングやシステム設計のスキルを所持している場合、人月単価は90万円前後。システムの動作確認やテスト業務を中心に行うエンジニアのケースだと、71~77万円程と安めの価格です。
動作確認やテスト業務などはマニュアルに沿って進められるため、高度なスキルはさほど求められません。よって、人月単価も低めになるのです。
●プログラマー
システムの単体テストやサブルーチン実装(プログラム内で汎用性の高い処理をまとめて行えるようにすること)を中心に行うプログラマーの人月単価は、約60万円。
高度なプログラミング技術と知識を使った複雑な実装作業・デバッグ作業を行うプログラマーは若干高めです。その相場は、70万円程度になります。
システム開発費用は人月単価の相場通りにはいかない?
人月単価を決めるには、役職を考慮したうえで、プロジェクトに参加する開発者分の相場価格を足し合わせて、開発にかかる作業期間を掛け合わせるだけでは、求められません。その理由は、様々な要素を考慮しなければならないからです。相場価格以外の要素例として、以下が挙げられます。
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開発者のスキルや業種・開発会社の所在地
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依頼する案件の種類
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人件費以外のコスト
人月単価は開発者のスキルや業種・開発会社の所在地で変わる
人月単価には、エンジニアのスキルや業種など様々な要素が関係しています。どのような要素が合わさったうえで人月単価の相場が決定するのか、その理由を解説します。
●スキルで人月単価が変わる理由
人月単価を大きく左右する要素の1つが、エンジニアのスキルです。経験豊富なベテランエンジニアであればスキルが高いと予想される分、人月単価も高くなります。
加えて、需要の高いプログラミング言語であるJava・PHP・Python・Goなどを使った開発案件においても、人月単価が高くなる傾向にあります。
●業種によって相場が変わる理由
一言でエンジニアといっても、その業種や業務内容は様々。現場におけるテスト業務や運用保守などの下流工程を担当するネットワークエンジニアやインフラエンジニアなどの場合、人月単価は比較的低くなります。
一方、クライアントとのやり取りやシステム設計、開発などの上流工程を担当するシステムエンジニアの場合、高いスキルを求められるため人月単価が高くなるのです。
●地域によって相場が変わる理由
エンジニアを雇用する地域によって、人月単価が変わるケースもあります。これは、地域ごとの家賃や物価などの価格差が人月単価に影響するためです。
首都圏で中堅エンジニアの人月単価が100万であるのに対し、地方の中堅エンジニアの人月単価は60~70万円程度となっているケースもみられます。
人月単価はシステムの種類や依頼案件によっても変動する
人月単価は、開発するシステムの種類や依頼された案件によっても変わります。以下を例に挙げて、人月単価との関係性をまとめました。
●簡易システム
一部の業務を効率化するための簡易システムであれば、人月単価は比較的安くなる傾向にあります。
ただし、セキュリティ条件や利用範囲によって価格は変動するため注意が必要です。「複雑な暗号化が必要でセキュリティ要件が非常に厳しい」「利用範囲が広く、カスタマイズ機能の開発も必要」といった条件では、その分人月単価が高騰します。
●CMS・Webシステム
オウンドメディアサイト開発・Webシステム開発においては、汎用パッケージ製品や拡張機能を活用できると人月単価は安くなる傾向があります。高度なセキュリティシステムを搭載したり、各種機能を構築して実装したりという条件がつけば、その分人月単価は高くなります。
●業務システム
営業管理システムや在庫管理システムなど、業務効率化を目的としたシステム開発を依頼するケースもあるでしょう。この場合はCMS・Webシステム開発のケースと同じく、「どんな機能・セキュリティを実装するか」という条件で人月単価が変動します。
基本的に、実装機能が増えれば増えるほど費用は高騰すると把握しておきましょう。また、開発手法によっても人月単価が変動します。パッケージ製品を使用して開発するよりも、ゼロからシステムを開発するケースのほうが人月単価は高額です。
●システム運用・保守
ユーザーからの問い合わせ対応や動作の監視業務は、指示やマニュアルに沿って実施します。特別なスキルが求められるケースが少ないため、こうした業務を中心に行うエンジニアの人月単価はやや低めです。
ただし、上級者になるとシステム全体の運用計画を策定したり、運用・保守業務全体を監督したりするケースもみられます。このケースでは高度なマネジメントスキルが求められるため、人月単価は100万円弱となります。
●アプリケーション設計
仕様書や要件定義書に従い、プロジェクトマネージャーをはじめとする上級者の指示を受けながらアプリケーションの一部を行うエンジニアの人月単価は約80万円弱とやや高めです。また、設計文書の作成や複雑な実装業務を担当する場合も同様です。
人件費だけでなく設備費もかかる
システム開発は、人月単価をはじめとした費用だけでなく各種設備費もかかります。PC費用やサーバー費用、作業スペースがない場合はオフィスの賃料も必要です。システム開発費用の大きなウエイトは人件費が占めていますが、設備費も忘れず計算に入れましょう。
なお、システム開発にかかる費用相場は、以下のページで詳しく解説しています。
人月単価を含め、システム開発費用に関する知識は受注者・発注者の両者がしっかりと把握しておく必要があります。適切な開発費用を知っておくことで、受注者は案件の獲得がスムーズになり、発注者は理想の開発会社とのマッチングがしやすくなります。
【ポイント】案件獲得を目指すなら人月単価のみでアピールしない
案件獲得を目指すために、人月単価や費用のみに着目して開発会社を宣伝するのは避けましょう。「人月単価が安い」ことは、必ずしも「自社が相応の技術力を持ち合わせている」ことではありません。
人月単価はあくまで1つの目安であるうえ、作業内容や扱うシステムの内容、要件によって複雑に変動します。
そこで重要なのが、人月単価だけでなく過去の対応実績です。「類似した案件を過去にこなしているか」「幅広いジャンルの開発経験があるか」といった点に着目して、発注者や依頼主にアピールしましょう。
また、人月単価や開発費用の透明性を証明するために、見積書は詳細に作成しましょう。例えば、「どのような内容・根拠で価格が決まるのか」を確認できるように、「要件定義書の作成」「プログラミング」「テスト運用」などの工程ごとの内訳が記載されていると、発注者は安心します。
ぜひ今回ご紹介した人月単価をご参考に営業活動を進めてみてください。なお、新規案件の獲得ならシステム開発・発注のマッチングサービス「発注ナビ」をご利用ください。対応したい案件を選ぶエントリー制。そのうえ、法人と直接取引が95%!2次請けの依頼ではないため、利益率向上や、継続的な取引も見込めます。
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