システム開発のプロジェクトにおける責任者は「プロジェクトマネージャー(PM)」と呼ばれています。
規模の大きなプロジェクトであっても、システム開発を滞りなく進めるためには、責任者であるPMの存在が欠かせません。
今回は、PMに求められている役割と、PMとしてプロジェクトを成功に導く心得について解説します。
目次
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システム開発のプロジェクトマネージャー(PM)とは?
冒頭で述べた通り、プロジェクトマネージャー(以下PM)は、プロジェクト全体の管理を担う責任者です。システム開発のためにプロジェクトを立ち上げ、開発期間や予算の決定、取引先とのスケジュール調整などを担当します。いわば、「開発プロジェクトを舵取り」担う存在なのです。
PMが担う主な業務は、以下のように進められます。
プロジェクトマネージャー(PM)の役目 | |
---|---|
主な業務 | 詳細 |
1.情報共有・すり合わせ | システム開発の目的や目標の設定 取引先と予算や納期の交渉 |
2.開発計画の立案 | 各フェーズの工数やスケジュールの策定 作業環境、導入するスタッフの明確化 |
3.プロジェクトチーム編成 | 開発計画に基づくチームを編成 外部パートナーとの交渉 |
4.開発中のプロジェクト管理 | プロジェクトの進捗管理 トラブル発生時の対応 |
5.開発後の評価・レビュー | 開発中に生じた問題や課題点の洗い出し 解決策の捻出 |
1.関係各所と情報共有・すり合わせ
PMがはじめにやることは、関係各所との情報共有・すり合わせです。クライアントや経営陣、外注先などの取引先と話し合い、システム開発の目的または目標などを定め、予算や納期の交渉を行います。
開発案件によって予算や納期、開発に関わるスタッフの規模などは異なりますが、自社や競合を鑑みて、目標を達成できる戦略の立案が不可欠です。「実現可能性の高いシステム開発」と「チームの収益性(ユニットエコノミクス)」が両立できるよう、実装内容の調整や予算、納期確保のために奔走します。
2.開発計画の立案
情報共有が完了したら、各フェーズの工数を定め、「大まかなスケジュール」を策定します。開発するシステムの工程から必要な工数と作業環境を明確にし、導入するスタッフを決定する工程です。
3.プロジェクトチーム編成
開発計画に基づいてチームを編成するフェーズです。もし社内で人員が足りない場合は、外部パートナーと交渉して求める人材を確保する必要があります。余計なコストを発生させないためには、過不足のない形でスタッフを配置することが欠かせません。
4.開発中のプロジェクト管理
開発をスタートさせたら、プロジェクトの管理を担います。開発が進捗通りに進んでいるかチェックし、トラブル時には解決策の決断を下す工程です。プロジェクト進行に問題が発生した場合にはクライアントとスケジュールの調整を行います。小~中規模のプロジェクトであれば、PM本人が開発作業に参加することもあります。
5.開発後の評価・レビュー
成果物の納品後、プロジェクトに対してレビューを行い、問題や課題点、解決策など今後立案されるプロジェクトにとってのノウハウとなるよう評価をまとめます。
以上の5点がPMの主な業務となりますが、PMが必ずしも「管理業務だけを行う」というわけではありません。開発プロジェクトによっては、PMがシステムの設計やデザインといった「エンジニアまたはデザイナーの業務」を担うケースもあります。責任者という立場のPMですが、時には管理と制作の両方を担う「プレイングマネージャー」として現場に立つことも珍しくないのです。
プロジェクトマネージャーの必要性
個人開発のような特殊なケースを除けば、システム開発のプロジェクトにおいて、PMは必須とも言える存在となります。
何故なら、「スタッフごとに価値観やスキルが異なるため」です。スタッフが思い思いに開発を進めてしまうと、統率が取れなくなってしまい、成果物の品質や納期などが担保できません。結果的に、クライアントの要望を満たすことが困難となるのです。スポーツのチームに監督と選手がいるのと同様、プロジェクトにおいても監督(PM)と選手(スタッフ)の両方が必要となります。
そのため、PMは、コストやスケジュール、人員管理を行って進捗状況をコントロールしながらプロジェクトを推進する必要があります。時にはスタッフへ権限委譲を行いながら、個々が上手く機能するように働きかけます。プロジェクトの成否は、PMの推進力に委ねられているといっても過言ではないのです。
システムエンジニアとプロジェクトマネージャーの違いは?
PMの基本情報や必要性について紹介できたところで、PMと役割が似通いやすい「システムエンジニア」とプロジェクトマネージャーの違いについて解説しておきましょう。システムエンジニア(以下SE)とは、システムにおける要件定義や設計などの工程を担う存在です。
それぞれの特徴を端的に述べれば、
SEが「開発プロジェクトにおける技術者」で、
PMが「開発プロジェクトにおける管理者」という違いがあります。
SEは、システムの設計書である仕様書の作成を担当するメンバーであり、「開発現場のリーダー」とも言うべき存在です。要望を反映した仕様書の作成や、ソフトウェアについてクライアントに説明を行い、プログラマが迷わず開発を進めるための指針を示します。
PMは、クライアントと交渉して予算や納期を定める立ち位置で、多くの場合は係長や課長などの役職を持つ決裁者です。SEが現場単位のリーダーである一方で、PMはプロジェクトを管理・統括しており、SEの上司として存在するケースが多くなっています。
開発案件によっては、システム開発の経験を積んだSEが、プロジェクトを総括するPMとして抜擢されることも珍しくありません。しばしばSEとPMが混同されるケースもありますが、開発におけるコミュニケーションの齟齬を防ぐためにも、それぞれの違いを覚えておきましょう
PMOとは?
PMの役目は「開発プロジェクト全体のマネジメントを担うこと」ですが、案件の規模が大きい場合は、1人で管理を担うのが難しいこともあります。そのため、プロジェクトによっては「PMの右腕」とも呼べる「PMO」が導入されるケースもあります。
PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)とは、プロジェクトのマネジメントを横断的に行うチーム(または仕組み)のことです。1人のPMに進捗管理を任せっきりにするのではなく、PMをバックアップすることで、システム開発の成功率を上げるのがPMOの役目となります。このPMOは、PMとSEの中間に位置する存在として機能し、時には作業に加わることでプロジェクトの進行をサポートするのです。
PMOの具体的な業務として、PMはプロジェクト全体をマネジメントしますが、PMOは大きなプロジェクトの中でも「一部のマネジメント」を組織的にサポートします。分かりやすく言えば、「外部スタッフとの連絡窓口」や「エンジニアのスケジュール調整」など、PMOごとに細かな担当を決めた上でマネジメントを行うのです。
PMもPMOも進行管理・品質管理を行い、成果物の完成に向けて尽力するという役割があります。全体と一部分とで、マネジメントの範囲こそ違いますが、プロジェクトの成功を担う部門であることには変わりません。特に大規模なプロジェクトの場合、開発のアシストを専門に行うPMOは、PMにとってもSEにとっても頼もしい存在となるでしょう。
システム開発を成功させるPMの心得
最後に、システム開発を成功させるPMの心得について解説しておきましょう。プロジェクトを円滑に進める上で、PMはどのように管理を担うべきなのでしょうか。
●プロ意識を持つ
繰り返しになりますが、PMはシステム開発の品質・納期に対して責任を持つ管理者です。プロジェクトの大小に関わらず、PMの姿勢や対応は、良いものであれ悪いものであれ関係各所に影響を及ぼします。納期が著しく遅れたり品質の低いものを納品したりすれば、企業からの信頼を失うことになるでしょう。
PMに求められているのは、知識や技術を駆使することではなく、「プロとして成果物に責任を持つこと」です。中でも、粘り強くプロジェクト完遂を目指す姿勢、あるいはプロジェクトが頓挫した際にすばやくリカバリー案を実行する姿勢であり、「目的達成」に対する執着心とも言うべき心構えが求められます。
●リスクに対して先手を打つ
何を開発するにしても「プロジェクトが100%成功する」という保障はどこにもなく、失敗のリスクを常に抱えています。プロジェクトに関わるスタッフの知識や経験はバラバラかもしれませんし、計画時点では見落とされた要素があるかもしれません。これらは直近では問題ではありませんが、後々になって大きな課題となってプロジェクトの進行を妨げる、いわば「リスクの種」です。問題が発生する前に、リスクだと感じた時点で未然に防ぐ対策を講じておく必要があります。
タスクの優先順位は明確にしておいて、何かが起こっても後回しにできるものを判断できる状態にしておくことが大切です。また、重要なタスクをアサインする場合は1人に絞るのではなく、複数名にお願いしておくと良いでしょう。これは、アサインしたスタッフが急遽抜けてしまうと、最後までタスクが放置されかねないリスクがあるからです。
プロジェクトを成功させるためには、想定できるリスクには先んじて手を打っておき、想定できる問題は発生する前に回避するためのリスクマネジメントが欠かせません。
●信頼関係を築く・関係各所を巻き込む
プロジェクト管理で、特に重要となるのは「コミュニケーション」です。スムーズな開発を実現するには、現場のスタッフだけではなく、取引先といった利害関係者との連携も欠かせません。PMがどれだけ高度な知識を持っていても、コミュニケーションを取れなければ、プロジェクトの成功率は低下しやすくなります。相手の立場に立ったコミュニケーションを取ることで、スタッフの士気を高めることを意識しましょう。
今回は、PMの具体的な役割や心得について詳しく紹介をしました。現場のマネジメントを担うという立場上、PMは「開発に関するあらゆる業務に精通した方」が任命することをおすすめします。もちろん、リーダーシップや交渉力などの能力に秀でていれば、責任者としてプロジェクトを成功に導きやすくなります。
ちなみに、「システム開発を外部の企業に発注したい」という企業担当者の方であれば、システム開発に関する要望や相談などはPMに対して行うと良いでしょう。開発案件を総括する立場であるため、より直接的な交渉を行うことができます。
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