「要望を具体的に伝えきれていなかった」「システムのジャンルと開発会社の得意分野がミスマッチだった」など、システム開発が失敗してしまう要因はさまざまです。本記事では、システム開発が失敗してしまう要因とその防止策をご紹介します。失敗の要因や成功率を上げるためのポイントを理解して、成功率を高めた状態でシステム開発を進めましょう。
また、システム開発を内製する場合と外注する場合のメリット・デメリットもご紹介していますので、自社に合った開発の進め方を模索されている方はぜひ最後までご覧ください。
目次
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システム開発の成功率を下げる要因
システム開発の失敗要因としてよく挙げられるのが、以下の6つです。
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要件定義が十分に行われていない
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発注者側がプロジェクトへ積極的に参加しない
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作業工数の見積もりが上手くいっていない
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情報共有のためのツールや環境が整っていない
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進捗管理や報告の体制が整っていない
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案件内容と開発会社にミスマッチがある
以下で、それぞれの要因について具体的にご紹介します。
●要件定義が十分に行われていない
要件定義とは、「どのような機能や条件をシステムへ反映すべきか」を明確に定義するフローのことです。システム開発会社は、発注者から「どのようなシステムを求めているのか」「自社内にはどのような課題があるのか」「システムを導入することでどのような目的を達成したいのか」をヒアリングします。そして、要望を叶えるにはどのような機能や性能、品質が必要なのかを明確にします。
この要件定義が十分に行われていないと、開発会社と発注者間で認識のズレが生じ、結果的に要件を満たさないシステムが完成する可能性があります。
●発注者側がプロジェクトへ積極的に参加しない
システム開発を、開発会社へ丸投げしてしまっているケースです。プロジェクトへの参加が消極的だと、コミュニケーションを取る機会が限られてしまいます。発注者の要望や意図を上手く伝えられないと、要件を満たさないシステムが納品される可能性があるのです。認識の齟齬が発生し、コミュニケーションロスが生じることもあるでしょう。
システム開発は、開発会社と共同で進めるプロジェクトです。開発会社の提案や専門的な知識の解説を受けつつ、自社の意見や疑問も積極的に発信することで認識のすり合わせを行い、目的に合ったシステムを協力して作り上げる姿勢が大切です。
●作業工数の見積もりが上手くいっていない
開発工程全体の作業工数を正確に見積もれていないケースです。「どのタスクにどの程度の工数がかかるのかがわかっていない」「工数は提示されているが裏付けが取れていない」となると、納期の遅延につながります。スケジュールを設定するシステム開発会社にも責任はありますが、発注者側の知識の浅さが現実的でない作業工数見積もりに拍車をかけてしまうこともあります。システム開発に関する専門知識がないまま無理のあるスケジュールを提案したり、的外れな要求をしたりしているケースです。作業工数の見積もりをする際は、システム開発の知識と経験が豊富なプロジェクトマネージャー、システムエンジニアに必ず同席してもらいましょう。開発会社との話し合いを経て、作業の実態に沿った工数の相場を把握しておくことが大切です。
●情報共有のためのツールや環境が整っていない
発注者と開発会社の間に情報共有ツールが不足しているケースです。情報共有の環境が整っていないと、コミュニケーションの機会が限られてしまいコミュニケーションロスにつながります。専用のチャットツールを導入して迅速に連絡を取り合えるよう、連絡に関するルールやフローを定めておくことも大切です。各種チャットツールやテレビ会議ツール、各種ドキュメントの共有ツールなど、条件に合ったツールを選定しましょう。
●進捗管理や報告の体制が整っていない
開発会社側に開発作業の工程を丸投げしてしまい、進捗の全体像を掴めていないケースです。進捗の実態を正確に把握できていないと、仕様変更や修正の依頼を早期に依頼できなくなります。最悪の場合、「納得のいくシステムを納品してもらえなかった」という事態へ発展する可能性があります。
●案件内容と開発会社にミスマッチがある
システム開発会社によって、所有する技術や得意とする分野、開発実績、開発体制はさまざまです。システム開発会社のナレッジやノウハウを考慮せずにシステム開発を依頼すると、依頼内容と開発会社の間にミスマッチが起こりシステム開発の失敗を招きます。自社の依頼内容とシステム開発会社の技術や知識が噛み合っているか否かを、慎重に確認しなくてはなりません。
システム開発の成功率を上げるためのポイント
システム開発を成功させるためには、以下のポイントを重視することが大切です。
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要件定義をしっかりと行う
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システムの開発の手法を知る
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進捗管理に関するルールを決める
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案件内容とマッチする開発会社を選ぶ
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複数のシステム開発会社を比較する
各ポイントについて、以下で詳細に解説します。
●要件定義をしっかりと行う
要件定義をしっかりと行うことで、システムに求める条件や仕様、機能、性能などのゴールが明確になります。これにより、システムの修正や仕様変更、要望の追加といったリスクを軽減できます。要件定義を行う際の重要な要素として、以下のポイントを踏まえておくと良いでしょう。
要件 | 要件の概要 |
---|---|
機能要件 | システムに求める機能を定義すること(例:詳細な絞り込みが可能な検索機能を搭載するなど) |
性能要件 | システムがどのような性能を備えるべきかを定義すること(例:応答時間は5秒以内でなくてはならないなど) |
品質要件 | システムの品質基準を定義すること(例:セキュリティ条件など) |
実行計画 | 要件を実現するために必要なコストや開発工数を確定させること(例:コストは◯◯円以内、開発工数は◯◯日必要など) |
●システムの開発の手法を知る
ウォーターフォール開発やアジャイル開発、スパイラル開発など、システム開発の手法はさまざまです。システムの規模やジャンル、希望する納品スケジュールによって、適切なシステム開発手法は異なります。開発したいシステムの規模や内容に合った手法を選択することで、作業工数や開発費用が膨れ上がるのを防げます。
例えば、途中の仕様変更や修正を前提にシステムを開発してもらいたいのであれば「アジャイル開発」が適しています。アジャイル開発では「計画」「設計」「実装」「テスト」の工程を小単位ごとに繰り返して一つのシステムを構築していく方法です。従来のシステム開発では、要件定義から設計、実装、各種テスト、リリースといった工程を順序良く行うウォーターフォール開発が主流でした。しかし、ウォーターフォール開発では工程の後戻りができません。したがって、仕様変更を視野に入れたシステムの開発には不向きという面があります。アジャイル開発であれば開発と修正の工程を繰り返してシステムを作り上げていけるため、仕様変更に強いといえます。
このように、システム開発手法の特徴を知っておくことで、「自社が求めるシステムに適した開発手法は何か」「この開発手法ではどの程度の工期がかかるか」などの点をイメージしやすくなります。
●進捗管理に関するルールを決める
進捗管理を定期的に行うことをルールとして定めておけば、全体の進捗の良し悪しや修正依頼の判断がしやすくなります。システム開発会社にはPM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)といったプロジェクトの進行管理を行うメンバーがいます。進捗管理のルールを定める際は、こうした立場の人物と綿密にコミュニケーションをとって信頼関係を築くことが大切です。必要に応じて進捗報告ミーティングを設定し、定期的に認識のすり合わせの機会を設けるのも良いでしょう。
●案件内容とマッチする開発会社を選ぶ
システム開発会社によって、得意分野は異なります。「ECサイトシステムの構築に強い」「パッケージシステムのカスタマイズや機能の拡張が得意」など、どのシステム会社がどのようなジャンルの開発を得意としているかをしっかりと見極めましょう。この時おすすめなのが、システム開発会社の公式サイトで過去の開発実績をチェックすることです。
特に、自社と類似する企業、または同業他社のシステムを開発していれば一定のノウハウ、ナレッジがあると考えられます。業界知識や業界特有の注意点についても、ある程度の知識があるとみて良いでしょう。また、開発実績をチェックする際は、「実績数は十分か」「どの程度の規模のシステム開発を手掛けてきたのか」「直近の開発実績はいつのものか」といった点も忘れずにチェックしましょう。
●複数のシステム開発会社を比較する
めぼしいシステム開発会社を複数ピックアップし、相見積もりを取ったうえで比較、検討しましょう。相見積もりを取ることで、システム開発にかかる費用の相場を大まかに掴めます。相場を掴めれば、費用が適正か否かを判断する一つの基準となります。なお、相見積もりを取った際に相場よりも極端に安い費用を提示してくる企業もあります。この場合、エンジニアの人件費そのものが安かったり(=経験や技術が浅い人材の可能性)追加費用の請求が前提となっていたりします。費用の安さで選ぶのではなく、あくまで適正か否かといった視点で選ぶようにしましょう。
システム開発における内製と外注のメリット・デメリット
システム開発は、自社内に一定のスキルとリソースがあれば内製で進めることも可能です。ただし、システムの規模や求める品質によっては、自社内の人材だけで対応するのは難しいこともあるでしょう。システムの品質を担保したいのであれば、やはりITやシステムの専門知識をもった開発会社へ外注するのがおすすめです。
●システム開発を内製するメリット・デメリット
システム開発を内製するメリットとして挙げられるのは、「仕様変更を柔軟に行えること」です。対するデメリットは、人材の確保や育成が困難なこと、システムの品質担保が難しい場合があることなどが挙げられます。
メリット | 仕様変更を柔軟に行える |
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デメリット | 人材の確保や育成が困難 |
システムの品質担保が難しい場合がある |
メリット1:仕様変更を柔軟に行える
開発作業を自社内で完結させられるため、外注と比較するとシステムの自由度が高くなります。そのため、開発途中での仕様変更や修正などの対応も柔軟に行えます。外部とやり取りする必要がないため、仕様変更を依頼する際のコミュニケーションコストを抑えられるのも魅力です。市場やビジネスニーズの変化に対しても、迅速に対応できます。
デメリット1:人材の確保や育成が困難
システムの開発作業や改修作業を任せるには、高度なITスキルをもった人材を確保、育成しなくてはなりません。自社内に一定数のエンジニアがいれば良いのですが、IT人材が少ない場合は、新しく人材を確保するところから始める必要があります。採用にかかる時間的コスト、業務を任せられるまでにかかる育成コストを鑑みると、余裕をもった採用・育成スケジュールを立てなくてはなりません。
デメリット2:システムの品質担保が難しい場合がある
自社内のエンジニアのスキルにもよりますが、内製化することでシステムの品質が落ちてしまう可能性も十分に考えられます。システム開発の専門技術やナレッジを所有しているシステム開発会社と比較すると、できあがったシステムが見劣りしてしまうケースです。
●システム開発を外注するメリット・デメリット
続いて、システム開発を外注するメリット・デメリットをご紹介します。
メリット | 人材の確保や育成が不要 |
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希望のスケジュールどおりに進めやすい | |
システムの品質を担保しやすい | |
デメリット | 自社の要望をきちんと言語化する必要がある |
メリット1:人材の確保や育成が不要
開発作業を全て外注できるため、人材を採用したり育成したりするコストがかかりません。また、人材を雇用することによる人件費(給与や福利厚生費など)も削減可能です。浮いた時間的、金銭的コストは、別の場面に充当できます。
メリット2:希望のスケジュールどおりに進めやすい
システム開発会社は、開発作業のスキルとナレッジをもったプロです。契約内容にもとづき希望どおりのスケジュールで開発を進めてもらうことができます。進捗報告に関するルールを定めておけば、よりスムーズなプロジェクト管理が行えるでしょう。
メリット3:システムの品質を担保しやすい
専門知識をもったプロへ依頼できるため、一定水準以上の高品質なシステム開発が期待できます。契約内容にもとづいていれば、修正や仕様変更時の依頼がしやすいのもポイントです。
デメリット:自社の要望をきちんと言語化する必要がある
外部の開発会社とやり取りすることになるため、「要件定義をしっかりと行い自社の掲げる目的や要望を丁寧に伝えること」「ミーティングの機会を適度に設けてコミュニケーションの機会をつくること」はマストとなります。また、システム開発会社が自社の事業や業界知識を完璧に理解してくれているとは限りません。自社のニーズや業務内容、システム開発の目的を正確に伝えるための努力も必要です。
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