
業務システムは、勤怠管理や給与計算など企業活動のさまざまな場面で欠かせない役割を果たすシステムです。
業務効率化を確実に実現し、その効果を最大限に引き出すためには、業務システムそのものにも優れたデザイン(使いやすさ)であることが求められます。
本記事では、業務システムを導入することで得られる具体的なメリットから業務システムにおけるデザイン(UI/UX)の重要性、そして具体的な改善ポイントや開発の参考例などを詳しく紹介します。
目次
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業務システムとは

業務システムが企業にもたらすメリットや、デザインがなぜ重要なのかを紹介する前に、まずは「業務システムとは何か」を簡単に解説します。
●業務システムの定義
業務システムとは、その名の通り「日々の業務を行う際に利用するシステム(仕組み)」の総称です。その主な目的は、業務の効率化や正確性の向上、そして自動化にあります。
具体的な例を挙げれば、従業員の給料を算出する「給与計算システム」や、出退勤や休日の管理を行う「勤怠管理システム」、商品の在庫管理を担う「在庫管理システム」などが業務システムに該当します。
端的に言えば、業務における「データ管理や複雑な計算プロセスを自動化し、人の手による作業を削減するためのシステム」と認識しておくと良いでしょう。
●「業務システム」と「基幹システム」の違い
また、業務システムと混同されやすいものに「基幹システム」という言葉があります。基幹システムは、製造工場の生産管理システムや銀行の勘定系システムなどのように、「企業が事業活動を行う上で中核的かつ必須となる業務(会計、人事、販売など)を支える際の基幹となるシステム」を指します。
それぞれの特徴として、「業務をさらにスムーズかつ効率的に進めるのに役立つもの」が業務システム、「企業活動を行う上で必須となるもの」が基幹システムとなります。
この業務システムに関する情報は、以下のページでもわかりやすく掲載しているので、より詳しく知りたい方はご参照ください。
業務システムを取り入れるべき5つのメリット

企業に業務システムを導入することは、単なるデジタル化に留まらず、組織全体の競争力強化に繋がります。ここでは、業務システム導入によって享受できる主な5つのメリットを紹介します。
●1.データ管理の効率化
顧客情報や商品売上など、企業が扱うデータ(情報)は年々増加しており、物理的な書類や個別のファイルで運用管理するのは困難です。業務システムを活用することで、これらのデータを「業務ごと」や「部署ごと」にデータを一括で管理できるようになります(一元管理)。これにより各業務や部署が持つデータをすぐに確認・共有でき、「部署によってデータの更新頻度が異なる」、「統一されていないデータをもとに判断してミスに繋がる」といったトラブルを未然に防止し、データの正確性を確保できます。
●2.業務効率化による生産性向上
データの管理や受け渡しがスムーズになれば、それだけ業務時間の短縮に繋がりやすくなります。さらに、多くの業務システムには、特定の条件に基づいて「業務を自動化する機能」が備わっています。例えば、「商品在庫が〇〇以下になったら自動で発注する」、「勤務日数に合わせて給与を自動計算する」などです。人の手で行われていた業務が自動化されると、作業にかかる時間と労力が大幅に削減され、業務の確実性も向上しやすくなります。
●3.業務のフロー標準化による品質向上
業務システムを導入することで、必要な入力情報や作業内容がある程度明確になるのもポイントです。その結果、業務のフローが固まり、生産性の向上や工数の削減に繋がります。
フローが明確となれば、業務のマニュアルも作成しやすくなるため、新入社員の教育や研修も円滑に進められるようになり、属人化の解消にも役立つでしょう。
●4.コスト削減効果
業務システムを導入することで、ペーパーレス化が進み書類を保管するスペース・コストの削減に繋がります。
クラウド型の業務システムを導入すれば、インターネット上で情報を保管・共有できるためサーバのスペースも不要です。サーバを管理・保守する必要もなくなり、インフラや人件費の最適化に繋がります。
●5.従業員の満足度向上
使いにくいシステムは、従業員のストレスとなり、モチベーション低下の原因に繋がりかねません。しかし、直感的で使いやすい業務システムは、操作ミスによる手戻りを減らし、煩雑な作業時間を短縮可能です。
これにより、従業員は本来の業務に集中でき、仕事の達成感や効率の向上を実感できます。結果として、システムに対するストレスが軽減され、従業員の満足度が向上し、離職率の低下や企業全体の活性化に良い影響をもたらすでしょう。
業務システムのUI/UXデザインが重要な理由とは

業務システムの概要を説明できたところで、本題であるデザインの重要性について掘り下げていきましょう。
ここで言う「業務システムのデザイン」とは、システムの単なる「見た目」だけではなく、「操作画面(UI:User Interface)」や「システムを通した利用体験(UX:User Experience)」「操作性(使いやすさ)」などを包括する言葉として取り扱っています。このUI/UXデザインを疎かにすると、以下のような弊害が発生しやすくなります。
●現場の負担が増える
繰り返しになりますが、業務システムは業務の負担を軽減し、効率を高めることを最大の目的として導入されます。しかし、「マニュアルを読んでも正しい使い方がよくわからない」、「操作画面やUIが見づらい」という業務システムでは、かえって現場の負担になります。
反対に、デザインに優れる業務システムは、従業員も操作がしやすく、業務負担の軽減に大きく貢献するでしょう。
●従業員のモチベーションが下がりやすくなる
操作画面が見づらくて使いにくい業務システムは、従業員に心理的なストレスを与えやすくなります。
業務システムを使うたびに、従業員はストレスと向き合わなければならず、使用頻度の高い業務システムほどその影響は大きくなります。その結果、日々のモチベーションや生産性に悪影響を及ぼしやすくなり、システム導入による効果が薄れてしまうことになりかねません。
●新たなコストが発生する場合も
業務システムにおける「使い勝手の悪さ」は、マニュアルだけでカバーするのは難しく、サポートセンターの設置が必要となるケースもあります。結果として、サポートセンターの設置にかかるコスト、サポート業務にあたるコストなど、新たなコストが発生することもしばしばです。
コストダウンを目指して業務システムを導入したのに、かえってコストがかさんでしまうという、本末転倒な展開になってしまいます。
以上の点から、業務システムの真価を引き出すためには、UI/UXデザインの品質性を重視することも大切です。企業で業務システムの導入を検討する際は、導入費用や機能だけではなく「どのようなデザインにするか」という点にも目を配ることをおすすめします。
改善が必要な業務システムのデザインとは?

実際に「業務システムを使っている」という企業の中には、「今の業務システムが使いにくい」と課題意識を抱えているケースもあります。以下では「業務システムの良くないデザイン例」、「改善が必要な業務システムのデザイン例」を詳しく紹介します。
●色使いが悪い
色使いは、操作画面の見やすさやシステムの操作性を左右する極めて重要なポイントです。全体的に暗い色使いであったり、逆にカラフル過ぎたりしては、システムの使いにくさを助長させてしまいます。従業員の混乱を発生させないためにも業務システムでは、統一感のあるシンプルな配色を採用し、必要な情報やボタンがすぐに目に入るようなデザインを選ぶことが大切です。
誰にとっても見やすい色使いの例として、「NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構」が公開するガイドラインを参考にしても良いでしょう。
参照元:特定非営利活動法人カラーユニバーサルデザイン機構CUDO
●不要な機能が多すぎる
多機能の業務システムは汎用性の高さに優れる一方、「不要な機能が多すぎる業務システム」は、かえって使いにくくなりがちです。
これは、業務に必要な機能、使用頻度の高い機能が複雑なメニュー階層やアイコンの中に埋もれてしまい、目的の操作にたどり着くまでの手間が増えるからです。
本当に必要な機能に絞り込み、シンプルでアクセスしやすいレイアウトを追求することが重要です。
●入力の手間が多い
たとえ業務に必要な機能だけが揃っていても、複雑な操作を要求される業務システムでは、現場の負担や従業員のストレスも増えがちです。例えば、同じ情報を繰り返し入力させられたり、複数の画面を遷移しなければ一つの作業が完了しなかったりする場合などが挙げられます。
最低限の入力やクリックだけで完了できるよう、シンプルな操作性の業務システムを選ぶことが大切です。
●ボタンが密集しすぎている
業務システムを操作するボタンやリンクが画面上に密集していると、思わぬ操作ミス(誤クリック)が起こりやすくなります。また、誤って操作した場合のミスの修正に時間がかかり、業務の確実性が低下します。
業務の確実性を向上させるためには、ボタンの配置は、機能ごとにグルーピングし、適切な余白(ホワイトスペース)を設けることで、各ボタンの独立性を明確にし、ユーザーが迷わず目的の操作を行えるように設計することが大切なのです。
●検索機能がない
業務システムには、顧客情報、過去の履歴、文書ファイルなど、大量のデータが蓄積されます。そのため、目的の情報を迅速に見つけ出すための「検索機能」が重要です。
検索機能がない、あるいは「条件設定が複雑すぎる」「検索結果の表示に時間がかかる」といった使いにくい検索機能では、情報探しの手間が増え、従業員の生産性を大きく低下させます。あいまい検索や絞り込み検索など、ユーザーのニーズに応じた柔軟な検索機能の搭載が不可欠です。
●レスポンシブデザインになっていない
「レスポンシブデザイン」とは、PC、タブレット、スマートフォンなど、アクセスするデバイスの画面サイズに応じて、表示レイアウトが自動的に最適化されるデザイン手法のことです。
現代の業務環境では、営業先でのタブレット利用や、現場でのスマートフォンによるデータ入力・確認など、オフィスPC以外のデバイスで業務システムにアクセスする機会が増えています。
レスポンシブデザインに対応していないシステムの場合、小さな画面でPC用のレイアウトを拡大・縮小しながら操作しなければならず、操作ミスや入力の手間が増加する可能性があるため注意が必要です。
レスポンシブ対応は、場所や時間を選ばない柔軟な働き方(リモートワークなど)を支える基盤として、もはや必須の要件と言えます。
●アクセシビリティに対応していない
「アクセシビリティ」とは、高齢者や障害を持つ方、または一時的な状況(怪我など)で操作に制約がある人を含め、誰もが問題なく情報にアクセスし、システムを利用できる度合いを指します。
業務システムにおけるアクセシビリティ対応とは、例えば、キーボード操作のみで全ての機能が利用できる、色覚特性を持つ人でも判別しやすい配色を採用する、画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)に対応するため画像に適切な代替テキストを設定する、といった配慮のことです。
アクセシビリティを高めることは、単に法令遵守(障害者差別解消法など)だけでなく、全ての従業員にとって使いやすいシステムに繋がるため、UX向上の観点からも非常に重要です。
先に挙げた要素を改善すれば、見た目や操作性に優れた「良いデザインの業務システム」を導入できるでしょう。とはいえ、システムのデザインを改修するのは、エンジニアやデザイナーの存在が欠かせません。企業内でエンジニアやデザイナーを抱えていない場合、または工数を確保できない場合は、外注という形でデザインの改修を依頼することも可能です。
業務システムのデザイン改善方法5ステップ

使いにくい業務システムのデザインを改善し、現場で活用されるシステムへと進化させるためには、体系的かつ段階的なアプローチが必要です。ここでは、デザイン改善を成功に導くための具体的な5つのステップを紹介します。
●1.現状を分析する
デザイン改善は、現在の業務システムが抱える具体的な問題点を正確に把握することから始めましょう。単に「使いにくい」という感覚的な評価で終わらせず、ユーザー(従業員)へのヒアリング、利用ログの分析、操作時の動画撮影(ユーザーテスト)などを実施し、「どの画面で」「どのような操作ミスが」「どれくらいの頻度で」発生しているのかを客観的なデータとして収集します。
この分析を通じて、ユーザーが本当に困っている課題を特定し、「誰の、どのような問題を解決するのか」という改善のゴールを明確にします。
●2.優先順位を決定する
現状の分析で多くの問題点が洗い出されたとしても、全てを一度に解決しようとすると、時間とコストが膨大になり、プロジェクトが頓挫するリスクがあります。
そこで、「影響度の大きさ(業務効率への貢献度)」と「実現の容易さ(改修にかかるコスト・期間)」の二軸で課題を評価し、改善の優先順位を決定します。
特に、使用頻度が高いにもかかわらず操作ミスが多い画面や、従業員のストレスが最も高い機能など、費用対効果が高く、早期に現場の満足度を向上させられる改善点を最優先のターゲットとして絞り込むと良いでしょう。
●3.プロトタイプを作成する
具体的な改善方針が決まったら、いきなり本格的な開発に入るのではなく、まずは「プロトタイプ(試作品)」を作成します。
プロトタイプは、デザイン案を静的なワイヤーフレームやクリック可能な簡易的なモックアップとして形にしたものです。これにより、実際の利用シーンを想定したユーザーテストを低コストかつ迅速に行うことが可能になります。
テストを通じて、デザイン案が「本当に使いやすくなっているか」「操作に迷う点はないか」などを検証し、現場のフィードバックを基にデザインを修正します。この段階で問題を潰しておくことが、後の手戻り防止に繋がるでしょう。
●4.段階的に実装する
プロトタイプで検証が完了したデザインから、実際のシステムへの実装を進めます。
この際、全機能を一斉に刷新するのではなく、優先度の高い機能や利用頻度の高い画面から、順を追って段階的に実装していく「スモールスタート」の手法が推奨されます。
これにより、現場の混乱を最小限に抑えつつ、改善効果を実感してもらいながら、新しいシステムへの移行をスムーズに進めることが可能です。導入と並行して、変更点の分かりやすいマニュアル整備やユーザー向けの操作説明会を実施することも、定着率を高める上で重要となるでしょう。
●5.効果測定を行う
デザイン改善は一度行ったら終わりではありません。実装後には、「操作にかかった時間」「操作ミスの発生率」「従業員からの問い合わせ件数」などの客観的な指標を用いて、改善策が当初の目標を達成しているかどうかの効果測定を必ず行いましょう。
この測定結果に基づき、新たな課題が見つかれば、再び「現状分析」に戻って改善サイクルを回します。業務や技術の変化は常に起こるため、業務システムのデザインも継続的に見直し、改善していくという姿勢が、システムの寿命と価値を最大化してくれます。
業務システムの開発に役立つデモサイト・サンプルサイト

業務システムの開発やデザインを外注する際は、事前に参考となるデザインサンプルを確認しておくことが大切です。大まかなイメージを固めて伝えておくことで、外注先の提案を引き出したり、開発を進める一助になったりします。ここでは、システムの具体的な画面構成やUIデザインの参考になるデザインサンプルを公開しているサイトの一例を紹介します。
●Gentelella Alela!
「Gentelella Alela!」は、管理画面(ダッシュボード)のUIデザインに特化したオープンソースの無料テンプレートサイトです。サイドバーや入力フォーム、各種ボタンなど様々なパーツのデザインサンプルを豊富に提供しています。
これらのほか請求書やカレンダー、テーブルなど豊富なパーツのデザインがサンプルとして確認できます。実用的な業務画面のサンプルとして確認できるため、自社の業務に必要な画面構成やレイアウトの大まかなイメージを具体化するのに役立つでしょう。
●Creative Tim
参照元:Creative Tim
p>同じく「Creative Tim」も、デザイン案を固める際の参考になります。Creative Timは、スニペットやUIキットを販売・配布しているテンプレートサイトです。有料版・無料版ともに用意されており、外注する際だけでなく自社開発をする際の参考サイトとしても活用できるでしょう。
このほかにも、デザインサンプルを公開しているサイトは数多く存在します。外注先とのすり合わせに重宝するため、業務システムの開発、デザインの外注に合わせて、デザインサンプルを集めておくのも良い方法と言えるでしょう。
使いやすさを決める第一歩は「デザイン性」
今回は、業務システムの基本情報やデザインについて詳しく紹介しました。
繰り返しになりますが、業務システムのデザインは、システムの使いやすさを左右するポイントです。実際に業務システムを使う社員の目線に立ち、業務システムを開発することが重要となります。これは自社開発のみならず、外注する際も同様です。できるだけ詳細にデザイン案やイメージを伝えてしっかり、より理想に近いシステムの開発を進めてもらいましょう。
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