システム開発は、業務効率化において欠かせないものです。
「システム開発では具体的に何をすればいいのか」と悩んでいる方へ向け、ここではシステム開発の基本的な概要をはじめシステム開発の種類、システム開発の流れや開発依頼時の注意点を紹介します。
目次
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システム開発とは
システム開発とは、分かりやすく言えば「仕組みを作ること」を指します。企業においては、IT技術を駆使してさまざまな仕組みを構築し、業務効率化を図ることがシステム開発の目的です。具体的にいうと、従業員の勤怠管理システムや顧客情報管理システムの開発を作ることが該当します。
システム開発を進めるにはプロジェクト責任者をはじめ、システムエンジニアやプログラマーなどの存在が欠かせません。しかし、なかには開発に必要なノウハウや人材がなく、自社での開発が困難な企業もあります。したがって、外部のシステム開発会社へ依頼する企業も多いのです。
代表的なシステム開発手法の種類
開発手法 | 概要 |
---|---|
ウォーターフォール型 | 工程を順番通りに完了させる開発手法 |
アジャイル型 | 計画、設計、実装、テストのサイクルを繰り返して完成を目指す手法 |
スパイラルモデル | 工程ごとに試作品を作りながら、少しずつ完成を目指す手法 |
プロトタイピング | 全行程を完了させて、試作品の検証と修正を繰り返す手法 |
システム開発のタイプは、「ウォーターフォール型」、「アジャイル型」、「プロトタイピング」、「スパイラルモデル」の4つに分けられます。以下では、各開発タイプの特徴をはじめ、依頼側がどのように開発に関われるのかといった情報も記述しています。
●ウォーターフォール型
ウォーターフォール型開発は、事前の打ち合わせ重視の開発方法だといえます。事前打ち合わせで念入りに開発要件を固めるので、実際の開発に至るまでにやや時間がかかります。ひとつの工程が完了して要件が確定したら、前の工程に戻って修正することはできないので注意が必要です。
●アジャイル型
アジャイル型開発は、システム完成までのスピードを重視する開発方法です。ウォーターフォールとは異なり、前の工程に戻ることを前提とした開発手法になります。依頼側と開発側が頻繁に話し合うことで、優先順位の高い機能だけを導入した試作品を提供してもらえます。開発期間中であれば、柔軟に仕様変更が行なってもらえるのが特徴です。
●スパイラルモデル
スパイラルモデルは、工程が完了するごとに、要件チェックを行なう開発方法です。工程ごとにシステム開発を進めつつ、各工程が完了したらその都度依頼側へ試作品が納品されます。開発側は依頼側からフィードバックを受け、システムをブラッシュアップしていきます。工程ごとにシステムの機能や使用感を試せるため、柔軟に仕様変更しながらシステム開発を進められるのが魅力です。その特性から、ウォーターフォール型とアジャイル型を両方組み合わせた方法とも言えます。
●プロトタイピング
システムのプロトタイプ(初稿)完成までのスピードを重視する開発方法です。先に挙げた「スパイラルモデル」とは違い、工程ごとに開発が進んでいくわけではありません。開発側は依頼側へ試作品を提出し、検証と修正を繰り返します。ブラッシュアップを続けて、システムの完成を目指すのが特徴です。
このほかにも、企業によっては上記に属さない独自の開発手法でシステム開発を行うケースもあります。
システム開発の手順
システムに搭載したい機能をまとめる「要件定義」にはじまります。その後、システムの外的要素を決める「外部設計」や実際にプログラミングを行なう「内部設計」、プログラムのパーツごとに動作確認を行なう「単体テスト」に全体の動作を検証する「結合テスト」と開発が進んでいくのです。最終的に、実務環境でのテストを経てシステムがリリースされます。
システムの利用事例
システム開発は、勤怠管理や在庫管理などさまざまな業務の効率化に利用できます。システムの具体的な利用例を以下に紹介します。
●保険業界のコールセンター
保険会社のコールセンターでは、顧客の問い合わせ内容をその場でデータベース登録できるシステムが開発・運用されています。広報担当者はデータベースに登録されている情報をもとに、顧客ごとにより適した提案を行なうことが可能になったのです。
●放送業界
放送業界では、番組の自動配信やアーカイブ取得が行える専用システムが活用されています。各種記録保存で重宝されている事例です。このほかにも、パソコンやスマートフォンが世間に普及した影響に伴い、テレビとWebとで同時に映像配信するシステムなども導入されています。
システム開発の費用相場
システム開発にかかる費用は、人件費が約8割を占めています。システム開発にはシステムエンジニアをはじめ多くの技術者が関わるため、必然的に人件費のウエイトが大きくなるのです。システム開発に必要な人件費を決めるのは「人月」と呼ばれます。これは技術者が1日8時間、1ヶ月20日作業を行なうことを仮定して計算される単価です。
分かりやすく言えば、「1人の技術者が20日間、1日8時間稼働してこなせる仕事量」が「1人月」として表されます。
具体的な人月の相場は、システムエンジニアやプログラマーなどの職種、企業の規模によって異なります。例えば、都市部の大企業であれば、システムエンジニアの単価1人月は100万円~150万円程度が相場です。同じ条件のプログラマーの場合、単価1人月は50万円~100万円程度が目安となります。下請け企業や個人事業主、地方企業の場合、技術者の1人月は若干安くなるのが特徴です。
人件費以外にかかる費用としては、設備費が挙げられます。開発用PCのリース費をはじめ、ケースによってはサーバの購入費用やオフィスのレンタル費が必要となるでしょう。
システム開発の関係者と役割
システム開発に関わる関係者 | 主な業務 |
---|---|
SE(システムエンジニア) | システムの要件定義や設計、プログラミングなど |
PG(プログラマー) | システムのプログラミングやテストなど |
PM(プロジェクトマネージャー) | プロジェクト全体のマネジメント、進行管理など |
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス) | 人材開発やコスト調整、ディレクションなど |
以下では、システム開発に関わる人の役割や具体的な業務について紹介します。
●SE(システムエンジニア)の役割
SEとは、システムエンジニアと呼ばれます。主な担当作業は、システムの要件定義を確定させることです。システムへ導入する機能を練ったり、システムの外部・内部設計の詳細を考えたりしてシステム全体の構造を練っていきます。同時に、SEが後述するプログラマーのようにシステムのプログラミングを担うケースも珍しくありません。
●PG(プログラマー)の役割
PGとは、先に挙げたプログラマーを指す言葉で、要件定義をもとにシステムのプログラミングを行なっていきます。プログラミングのほか、プログラムを正常に作動させるのに必要な「単体テスト」を行なうのもPGの役割です。
●PM(プロジェクトマネージャー)の役割
PMは、プロジェクトマネージャーを指します。その名が示す通り、プロジェクト全体のマネジメントを担っているのが特徴です。システム開発の関係者の中でも、多くの決定権を持っているポジションと言えるでしょう。設計やプログラミングといった実作業よりも、プロジェクトに携わるメンバーの進行管理やトラブル対応などを重点的に行ないます。
●PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の役割
プロジェクトマネジメントオフィスを意味するPMOは、さまざまな視点からプロジェクトマネジメントをサポートする構造システムや部門です。具体的なサポート内容は、人材開発やコスト調整など。加えて、プロジェクト始動からシステム開発完了までのディレクション業務を支える役割もあります。PMOは、前述したPMよりも細かな管理を担うことが多く、「PMの補佐」とも言える立ち位置です。
システム開発を依頼する際の注意点
システム開発を依頼する際は、いくつか注意すべき点があります。
●システム導入の目的を明確にする
システムを導入する目的を明確にしましょう。目的を明確にすることで、「どんな機能を搭載したいのか」「マストで搭載したい機能は何か」という優先順位を決めやすくなります。
●入念なコミュニケーションが大切
理想のシステムを思い描いて、その要望を相手に伝えなければ意味がありません。開発担当者と密に連絡を取れるか、伝言ゲームにならないか、コミュニケーションコストがかからない環境かを確認する必要があります。
●実績やエンジニアの質も確認する
費用の安さだけでなく、開発実績やエンジニアのスキルも重視しましょう。「取引実績」がその指標になります。同じお客様とのお付き合いが数十年以上続いているのであれば、実績と信頼を勝ち得ている開発会社だといえます。可能であれば、エンジニアと直接やり取りをしてスキルを確認することも大切です。
●1社だけではなく複数の見積もりから外注先を探す
複数の開発会社から見積もりを出してもらいましょう。システム開発の費用は、開発期間や開発に必要な技術者の人数によって変動します。大まかな相場を掴むためにも複数社に見積もりを依頼することが大切なのです。
システム開発の外注先の探し方
システム開発の外注先を探す方法をご紹介します。
●マッチングサイトを利用する
「選択肢が多すぎてどこに依頼すべきかわからない」という方に適しているのが、専用のマッチングサイトを使う方法です。このマッチングサイトとは、システム開発会社とシステム開発を依頼したい会社を繋げるサービス。依頼内容や予算、開発期間などをマッチングサイトで相談することで、条件に合った開発会社を提案してもらえます。
●展示会へ訪問して探す
複数の企業が出店している展示会へ直接足を運び、依頼先を選ぶ方法です。開発企業関係者と直接話せるのが大きな魅力ですが、一方で「どの企業を選べばいいのかわからない」という問題点もあります。
●知り合いなどから紹介してもらう
知り合いのコネクションを活用するのも手です。知り合いからの伝手であれば安心感があり、外注先を探すコストも省けます。しかし、知り合いから紹介された企業だからといって、抱えている案件に適した企業とは限りません。紹介会社の得意分野と自社の案件がミスマッチを起こす可能性も考えるので注意が必要です。
依頼会社の見極めは慎重に
システム開発は、業務効率化になくてはならない存在。だからこそ、外注先を選ぶ際は慎重になる必要があります。
システムの質は予算や開発期間、エンジニアの質などに大きく左右されるため、自社に合った開発会社を選ぶことが大切なのです。「そもそも、どんな企業に依頼すればいいのかわからない」という企業は、専用のマッチングサイトを活用する方法が適しています。
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