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システム開発費は減価償却の対象になる?システム開発の資産計上について徹底解説

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システム開発の資産計上についてのイメージ図

DXの推進やリモートワークの急速な普及などによって、業務の効率化のためにシステムやソフトウェアを開発・導入する企業が増加しています。しかし、システムやソフトウェアは、導入方法や使い道によって取引の記録方法が異なるため、会計処理や減価償却の必要性について知っておかなくてはいけません。

本記事では、資産計上の基礎知識やシステム開発における減価償却・会計処理の仕方、減価償却が必要なシステム開発費・ソフトウェア導入費などについて詳しく解説します。

 

目次

 

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システム開発の資産計上とは

ここでは、システム開発における資産計上の基礎知識をご紹介します。資産計上とは何か、システム開発とどうかかわっているのか解説します。

 

●資産計上とは

資産計上とは、企業が所有する財産を会計帳簿に記入して計上することです。資産には現金や預金、在庫、機械、建物などが含まれ、資産計上を行うことで、企業の財務状態が正確に把握できます。

資産はその性質に応じて、流動資産・固定資産・繰延資産という3つの主なカテゴリーに分類されます。流動資産は短期間で現金化できるもの、固定資産は長期間にわたって企業活動に貢献する資産、繰延資産は将来の期間にわたって経費として認識されるものです。資産計上によって行われる資産の価値評価や減価償却、価値の再評価は財務報告の信頼性を担保する重要な要素です。正確な財務情報は企業の適切な経営判断を支援し、長期的な成長のために欠かせません。

 

●システム開発の種類と資産計上

システム開発は、資産計上の分類では「無形固定資産」にあたります。無形固定資産は、物理的な形がなく、企業活動に長期間にわたって利益を生み出す資産のことです。システム開発にかかる費用は、開発されたソフトウェアやシステムが企業に長期的な価値をもたらすとみなされるため、このカテゴリーに分類されています。

具体的には、カスタマイズされたソフトウェアや企業内で使用される独自のシステム開発費が含まれます。これらは、直接的な物理的形態を持たないものの、企業の運営効率を高めるなどの形で長期にわたり価値を提供するため、無形固定資産として資産計上します。

システムを無形固定資産として計上する場合は、以下の3つの条件を満たしていなければなりません。

 

資産の定義
販売目的外での保有 販売以外の目的=自社で使用するもの
1年以上使用する予定がある 使用期間が1年以上の備品が該当。1年未満の備品は消耗品として扱われる
一定の金額以上である 10万円以上の備品が該当。10万円未満の備品は費用として扱われる

 

また、システムやソフトウェアを資産として計上する場合、制作目的の種類に応じて分類する必要があります。また、その種類によって資産計上の方法が異なる点にも注意が必要です。制作目的の種類は、「研究開発費等に係る会計基準」によって以下が定められています。

 

市場販売目的

市場販売目的のシステムやソフトウェアとは、製品のマスター版を作成して、そのコピーを不特定多数のユーザーへ販売するものです。その際の制作費用は、製品原版が完成するまでを研究開発活動とみなすため、かかった費用は研究開発費として計上します。そして、原版完成後の複製にかかわるコストは、無形固定資産として計上します。

 

自社利用目的

自社利用目的のシステムやソフトウェアとは、ユーザーへのサービス提供や自社の業務効率化のために購入または開発されたものを指します。将来の収益やコスト削減といった効果が見込める場合、制作費は無形固定資産として計上します。外部購入や外注でも同様に、これらの効果が期待されるため資産計上が可能です。自社開発の場合も、収益やコスト削減の見込みが明確であれば同様ですが、不確実な場合は経費として処理します。

 

研究開発目的

研究開発目的で制作されるシステムやソフトウェアは、「将来の収益獲得が不明確な場合」に該当します。これらの費用は資産計上されず、研究開発費として直ちに費用処理されるのが特徴です。研究開発費には人件費、原材料費、固定資産の減価償却費などが含まれます。

 

受注目的

特定の顧客向けに特別に制作されるシステムやソフトウェアは受注目的に該当し、請負工事の会計処理が適用されます。これらは無形固定資産ではなく、棚卸資産として計上します。

 

システムの種類 資産の計上方法
市場販売目的 製品マスターの制作費は、研究開発費に該当する部分を除き、無形固定資産として計上
自社利用目的 ユーザーにサービスを提供し、対価を得るシステム 将来の収益獲得が確実であると認められる場合は、適正な原価を集計したうえでシステムの制作費を無形固定資産として計上
自社の業務処理のためのシステム ・外部から購入、もしくは外注制作の場合は、取得にかかる支出を無形固定資産として計上
・自社制作の場合は、将来の収益獲得又は費用削減が認められれば無形固定資産として計上
研究開発目的 資産として計上できない。発生時に研究開発費として費用処理する
受注目的 請負工事の会計処理に準じて処理し、棚卸資産として計上する

 

●システム開発の取得価額と耐用年数

固定資産の取得価額とは、資産に該当するものを取得するのにかかった費用のことです。システム開発の取得価額は、国税庁によって以下のように定められており、取得した方法によって算出方法が異なります。

 

・購入した場合

購入の代価+購入に要した費用の額+事業の用に供するために直接要した費用の額

 

・自社で製作した場合

製作に要した原材料費、労務費および経費の額+事業の用に供するために直接要した費用の額

※耐用年数とは、固定資産を使用できる期間です。システムやソフトウェアの耐用年数は、利用目的に応じて以下のように異なります。

 

・耐用年数

複写して販売するための原本、または研究開発用のもの・耐用年数:5年

そのほかのもの:5年

参照元: 国税庁|No.5461 ソフトウェアの取得価額と耐用年数

 

システム開発における減価償却・会計処理の仕方

システム開発では、その成果が長期間収益をもたらすかコスト削減に貢献するかが、無形固定資産として計上するかの判断基準です。この基準を満たす場合、減価償却を適用できます。システムの目的と導入方法を確認し、会計および税務の観点から適切に処理することが重要です。

ここでは、システム開発における減価償却と会計処理の仕方について詳しくご紹介します。

 

●システム開発の減価償却と償却費の計算

システム開発費用は「一括費用処理」または「減価償却」により計上します。「一括費用処理」では費用をすぐに計上し、「減価償却」では資産の価値が時間とともに減少することを考慮し、取得費用を使用期間に分けて計上します。

「定額法」と「定率法」は減価償却の計算方法で、定額法は毎年同じ額を、定率法は毎年同じ割合で償却します。

 

定額法

毎年同じ金額の償却費を計上する方法です。例えば、100万円のシステムを開発し10年使用する場合は、100万円÷10年=10万円となり、10年にわたって、1年に10万円ずつ減価償却します。

 

定率法

毎年同じ割合で減価償却していく方法です。例えば、100万円のシステムを開発し、毎年10%減価償却する場合1年目は100万円×10%=10万円、2年目は90万円×10%=9万円で算出します。

 

●会計上と税務上のソフトウェアの違い

ソフトウェアの処理は、会計と税務で基準が異なります。この違いを把握することは重要です。

会計基準では、ソフトウェアが将来にわたって収益を増やすか、コストを削減することが確実である場合に、資産として計上することができます。しかし、その効果が不確実または不明である場合は、直ちに経費として処理します。

一方、税務基準では、ソフトウェアの使用による収益の増加やコストの削減が不確実である場合に限り、その支出を経費として扱います。対して、将来の効果が確実である、またはその効果が不明である状況では、ソフトウェアのコストを資産として計上する必要があります。

このように、ソフトウェアを導入したが将来的な収益やコスト削減の効果が不明である場合、会計と税務で異なる処理がなされることに注意しましょう。この基準の違いを正確に理解し、適切な対応をすることが必要です。

 

将来の収益獲得又は費用の削減 確実 不明 確実ではない
会計 資産計上 一括費用計上 一括費用計上
税務 資産計上 資産計上 一括費用計上

 

●システム開発・導入方法別の減価償却・費用処理方法

システム開発や導入方法により、減価償却や費用処理が変わります。

 

パッケージ型(オンプレミス)を導入する場合

パッケージ型の導入では、定額法による減価償却が適用されます。耐用年数は導入目的に応じて変わり、業務改善は5年、研究・開発は3年です。ただし、10万円未満は年内に経費計上し、10万円以上20万円未満は3年間で償却します。

 

クラウドサービスを導入する場合

クラウドサービスでは、処理方法が利用形態により異なります。SaaS形式では全額が経費になりますが、ASPとパッケージ型の混合では初期費用を減価償却し、月額使用料を経費にします。また、PaaSやIaaS利用時は無形固定資産として減価償却し、使用料は経費として計上します。

 

減価償却が必要なシステム開発費・ソフトウェア導入費とは

システム開発やソフトウェア導入に関する費用の減価償却の適用は、その使用目的によって決まります。ここでは、その定義と分類、目的別の減価償却について詳しく解説します。

 

●定義と分類

会計上におけるソフトウェアの定義は、日本公認会計士協会が発表している「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」において、以下のように示されています。

  • コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム

  • システム仕様書、フローチャートなどの関連文書

「システム開発の種類と資産計上」の項目で触れたとおり、システムやソフトウェアは目的によって分類され、種類は以下のとおりです。

  • 市場販売目的

  • 自社利用目的

  • 研究開発目的

  • 受注制作目的

上記のうち、減価償却が必要なものは、市場販売目的と自社利用目的になります。

 

●目的別の減価償却

市場販売目的のソフトウェアでは、製品マスター完成後の支出が無形固定資産として計上され、減価償却できます。一方、自社利用目的のソフトウェアで将来収益が確実な場合、制作費は無形固定資産として計上します。自社業務用または外部制作のソフトウェアも、収益獲得や費用削減が明確な場合に減価償却の対象となります。

 

システム開発の資産計上の注意点

システム開発やソフトウェア導入には、資産計上に際して注意すべき点がいくつか存在します。特に重要なのは、バージョンアップやアップデートの開発費、プログラムを含むホームページ制作費、個人事業主から法人への変更時の処理方法です。

ここでは、先に挙げたシステム開発の資産計上の注意点についてご紹介します。

 

●バージョンアップやアップデートの開発費

新機能追加や生産性向上を目的としたバージョンアップは、20万円以上の費用がかかる場合に資産として計上します。一方、20万円以下でプログラムやシステムの障害除去を目的とするアップデートは、修繕費として計上します。

 

●プログラムを含むホームページ制作費

プログラム込みのホームページを制作した場合は、かかった費用のうちプログラムの作成に関する費用は資産として計上が可能です。それを除く、ホームページ制作の費用は広告宣伝費として費用計上します。

 

●個人事業主から法人になった場合の処理

個人事業主から法人への変更時には、以前使用していたシステムやソフトウェアの取得価額と耐用年数を再評価しなくてはいけません。これらの資産は市場価値に基づいて評価され、中古資産として扱われます。資産価値の決定には、型式や使用経過年数などが考慮され、販売業者の見積もりや類似物件の販売価格と比較して行われます。

ソフトウェアについては、簡便法の適用がなく、法定耐用年数に基づく償却が必要です。専門的な評価が必要とされる場合が多く、税務上は中古資産としての減価償却計算が行われます。新たに法人としてスタートする際は、これらのポイントを把握し適切に処理しなくてはいけません。

 

システム開発やソフトウェア導入費用は、目的に応じて正しく資産計上しよう

システムやソフトウェアを資産計上することは、企業が長期的な価値を持つと判断するためにも必要です。また、企業の財務状態が明らかになり、投資家やステークホルダーが企業の価値を適切に評価するためにも重要です。

ただし、目的や導入方法によっては資産として計上できないため、注意が必要です。しかし、外注制作の場合は無形固定資産として計上できるため、システム開発を検討しているのであれば、外注をするのも1つの手段です。

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