システム開発の新たなトレンドとして、AIの活用が注目されるようになりました。中でもChatGPTは、その高度な言語理解能力で開発プロセスに革命をもたらす可能性を秘めています。しかし、ChatGPTは便利な面だけでなく、正確な情報か、情報漏洩などのリスクも念頭に置く必要があります。
そこで、「ChatGPTを活用してリスクはないのか?」「ChatGPTをシステム開発にどう活用したら効果的なのか?」といった悩みを変えているシステム担当者に向けて、必要な情報を整理しました。
本記事では、ChatGPTをシステム開発に取り入れることのメリットとデメリット、そして実際にChatGPTを活用した開発事例を紹介します。システム開発でのChatGPT導入にお役立てください。
目次
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ChatGPTとは
ChatGPTは、OpenAI社が開発した対話型のAIチャットボットです。
このAI技術の心臓部には、OpenAI社が独自開発したGPT(Generative Pre-trained Transformer)という強力な言語モデルが搭載され、注目を浴びました。
このモデルは、膨大な量のテキストデータから学習し、人間のように自然な文章を生成する能力を持っています。
ChatGPTは、文章の作成や校正、情報収集、さらには簡単なコーディング作業まで、幅広い用途で利用できるのが特徴です。
ChatGPTは、無料版と有料版(ChatGPT Plus)の2つのプランがあります。
無料版と有料版の違いを以下の表で比較します。
無料版 | 有料版(ChatGPT Plus) | |
---|---|---|
料金 | 無料 | 月額20ドル(2023年7月現在で約2,700円) |
1度に生成できるテキスの文字数 | 2,048文字 | 4,096文字 |
接続制限 | アクセス集中で接続不安定 | 優先アクセス権 |
画像生成 | あり | なし |
最新機能へのアクセス | 不可 | 可 |
回答の正確性 | 司法試験の模擬試験 下位10%程度のスコア |
司法試験の模擬試験 上位10%のスコア |
ChatGPTをシステム開発で活用するメリット・デメリット
システム開発におけるChatGPTの活用は、その革新的なアプローチと幅広い応用可能性により、近年注目を集めました。
ここでは、ChatGPTをシステム開発に取り入れることのメリットとデメリットを紹介します。
まず、システム開発におけるChatGPTの活用のメリットは次の3つです。
-
多角的な視点で情報を得られる
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簡単なプログラミングを任せられる
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ブレインストーミングでも活用できる
●メリット1:多角的な視点で情報を得られる
ChatGPTを利用する最大のメリットは、従来のリサーチ手法では見過ごされがちな多様な視点から情報を得られる点です。
個人で情報収集を行うと、どうしても視野が狭まりがちですが、ChatGPTは広大なデータベースから情報が引き出されるため、自分にはない視点から情報を得られる可能性があります。
このように、ChatGPTから得られる情報は、視野を広げ、創造的なアイデアや問題解決へとつながることも期待できます。
●メリット2:簡単なプログラミングを任せられる
ChatGPTは、簡単なプログラミングを任せられるので、基本的なコーディング作業を効率化できます。
プログラミングの初歩的なスクリプトから特定の問題解決に必要なコードまで幅広いニーズに対応でき、対応可能なプログラミング言語は多岐にわたります。
PythonやJavaScriptのようなポピュラーな言語はもちろん、C言語やJava、さらにはモバイルアプリ開発に適したSwiftやKotlinなどさまざまな言語でのプログラミングが可能です。
これまでは単純作業もシステム開発者が行うしかありませんでしたが、プログラミングの一部をChatGPTに任せることで、開発チームはより高度な開発課題への集中できるため、プロジェクト全体のスピードアップにつながります。
●メリット3:ブレインストーミングでも活用できる
ChatGPTは、従来のチーム内ディスカッションでは浮かばなかったような新鮮なアイデアが、ChatGPTの豊富なデータベースに基づく提案から得られるため、アイデア生成やブレインストーミングにおいて有効なツールです。
さまざまな質問やシナリオに対しての豊富なアイデアは、企画立ち上げや新しいプロジェクトの概念化にも役立ちます。
例えば、ChatGPTに「~に関するアイデアを10個出してください」とコメントすれば間違いなく10個のアイデアは返ってきます。
前提条件や質問の仕方によってアウトプットも変わってくるので、多様な角度からアイデアを引き出してみましょう。
このようにして、ChatGPTを用いることでブレインストーミングのプロセスが強化され、多様な視点からのアイデアが期待できます。
続いて、システム開発でChatGPTを活用するデメリットも2つお伝えします。
-
情報の精査が必要
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悪意のあるコードが生成される可能性がある
●デメリット1:情報の精査が必要
ChatGPTの提供する情報は広範囲にわたるものの、必ずしも「最新の情報ではない」「正確な情報ではない」点については注意が必要です。
特にChatGPT3.5の場合、2021年9月までのデータを基に情報提供を行っており、それ以降の情報は得られなくなっています。
場合によっては、真偽不明の情報やフェイクニュースが含まれている可能性もあるため、ChatGPTの回答に対しては最新の情報であるか、正しい情報であるか、精査が必要です。
ChatGPTのアウトプットを活用する際には、必要に応じて追加リサーチや専門家の意見を求めることを怠らないようにしましょう。
●デメリット2:悪意のあるコードが生成される可能性がある
ChatGPTのプログラミングサポート機能には、利用者が意図的に、または無意識のうちにセキュリティリスクを引き起こすコードを生成するリスクも含まれています。
セキュリティ意識が低い利用者であっても、ChatGPTを用いると容易にランサムウェアのような暗号化ツールや不正な情報収集を目的としたプログラミングコードを生成できてしまいます。
これらの行為は、サイバー犯罪の手法を加速させ、広範なセキュリティ上の脅威を生み出す可能性があるので、安全性には注意してください。
そのため、ChatGPTを用いて生成されたコードは、その使用目的や内容を慎重にレビューし、セキュリティチェックを徹底することが重要です。
ChatGPTでのシステム開発方法
システム開発は人間のエンジニアリングスキルや判断力、創造性が求められる作業です。
そこで、ChatGPTはシステム開発を補助的してくれるツールとして活用できるため、システム開発者はより高度な判断力や技術を要する仕事に専念でき、プロジェクト全体の効率を高めます。
具体的には次のようなChatGPT活用方法があります。
●コードを生成する
システム開発において、ChatGPTをコード生成の目的で利用することは有効です。
開発者は命令文を用いて特定の前提条件をChatGPTに指示することで、所望のプログラミングコードを生成できます。
特に、PythonやJavaScriptなどの主要プログラミング言語では、豊富な学習データに基づいて高精度のコード生成が可能です。
さらに、C言語やJava、アプリケーション開発に適したSwiftやKotlin、数理計算に特化したR言語やMATLABなど、多様な言語にも対応しています。
ChatGPTは膨大なデータベースを基に瞬時に回答を提供できるため、コード生成を部分的に任せることで、時間節約と作業効率の向上が見込めます。
●プログラミング言語やコードに関する情報収集を行う
ChatGPTはプログラミング言語やコードに関連する情報を収集するうえで、有効なツールとして活用できます。
たとえプログラミングを学んだ方であっても、未知のプログラムの構造を理解するのには時間がかかることがあります。
そこで、ChatGPTにプログラムについて説明してもらうことで、解読にかかる時間を大幅に短縮することが可能です。
加えて、ChatGPTの膨大なデータベースから使用するプログラミング言語の特定やコードに関連する情報を取得することにより、学習や研究に費やす時間を削減できます。
ChatGPTからは情報だけでなく、データ構成の具体的な実装方法に関する提案も得られるため、システム開発者にとって心強い手助けとなります。
●コードの添削をする
ChatGPTをコード添削ツールとして使用することにより、開発者はバグの原因を速やかに特定できます。
特に、システム開発において時間を要するバグの特定作業であっても、ChatGPTを利用することで瞬時に解決策を見出せる可能性があります。
複雑なシステムでは、一つのバグを特定するのに数時間を費やすことも少なくありませんが、ChatGPTはこのプロセスの大幅短縮も可能です。
さらに、提供されたコードの潜在的な問題点を指摘し、改善提案を通じて、コードの品質を向上させることにもつながります。
●デバッグの補助ツールとして使う
ChatGPTをデバッグの補助ツールとして利用すると、開発プロセスにおいて多くの時間を要するデバッグ作業の効率を大幅に向上させることが可能です。
ChatGPTはコード内のエラーを迅速に特定し、適切な修正方法を提案する能力を持っているため、デバッグにかかる時間を短縮できます。
複雑なエラーメッセージや解明が困難なバグの場合でも、ChatGPTが有効な解決策を提示することで、開発者は迅速に問題を解決できるようになります。
●エラーメッセージの解読時に使う
ChatGPTは、エラーメッセージの解読に有効なツールとして活用できます。
特に、初心者や駆け出しのエンジニアにとって、エラーメッセージの正確な意味を把握するのは難しいです。
ChatGPTを利用すると、エラーメッセージが伝える内容の理解と、その解決策を効率的に見つけることが可能になります。
さらに、エラーメッセージに隠された背景知識を提供することで、開発者は自身のコーディングスキルを向上させ、プログラミングに対する理解を深めるのにも役立ちます。
ChatGPTを使ったシステム開発の事例
ChatGPTを活用したシステム開発は、業務の効率化、顧客サービスの向上、新たなビジネスモデルの創出など、さまざまな効果を期待できます。
ここでは、それぞれの企業が開発したシステムの概要と、その開発によって得られた効果(または期待できる効果)を紹介します。
●データをグラフ化できる業務アプリを開発
ChatGPTの活用事例として、データをグラフ化する機能を持つ業務用アプリケーションの開発が挙げられます。
ITmediaの記事で紹介された試みでは、ChatGPTを用いて毎月の売上データを自動でグラフ化するアプリケーションが開発されました。
開発過程では、Webアプリの基礎を約1時間、オリジナルのChatGPTを活用した機能を約10分で構築でき、ChatGPTの活用により開発時間の大幅な短縮を実現しています。
特に注目すべき点は、アプリケーション開発においてITに関する深い知識がなくても、自然言語で指示を出せばアプリ開発も可能だということです。
ChatGPTを活用したシステム開発の試みですが、今後の大きな可能性を示しています。
●補助金活用のオンライン窓口システムを開発
レオン・ストラテジー株式会社は、中小企業が補助金をより活用しやすくするためのオンライン相談窓口システムをChatGPTの技術を用いて開発しています。
開発の背景には、中小企業の補助金および助成金の活用率が6%、理解率が16.8%にとどまっているという、中小企業庁の調査結果がありました。
(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000115136.html)
ChatGPTの導入により、補助金活用の障壁を低減し、中小企業による補助金の利用促進を図ることを目的としています。
システムでは「補助金に関するリサーチ機能」、「制度に関する相談を行うチャット機能」、「活用事例を提案するサービス」などです。
この取り組みによって、国が新たなビジネス機会を追求する中小企業の挑戦をサポートするための補助金を、より多くの企業が活用できるように支援しています。
●社内ナレッジの蓄積・検索システムを開発
株式会社モンスターラボは、ChatGPTを活用して、社内で蓄積されたナレッジを効率良く検索可能なシステム「ChatRKL」を開発しました。
同社は、デジタル領域におけるクライアントの課題解決に最適なソリューションを提供することで知られています。
開発プロセスでは、社員が使いやすいようにどのように設計するべきかというユーザー体験を重視し、社員が日常的に利用しているSlackにChatGPTを組み込んだチャットボットを導入することで、システムの利便性を向上させました。
試行運転では、予想を上回る約40%の利用率を達成し、社内ナレッジ収集にかかる時間を約90%も削減するという顕著な成果を実現しています。
(参考:https://monstar-lab.com/ml-news/news_20231025)
これらの事例から、ChatGPTの活用でビジネスチャンスはさらに広がっていくことが予想されます。
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