「発注ナビ」にご登録いただいている開発会社の皆様が発注ナビの導入に至った経緯、その使用感、そして導入後のビジネスの変化は、どのようなものだろうか。アセアン技能支援機構株式会社の代表取締役である日高裕行氏にお話を伺った。
社名 | アセアン技能支援機構株式会社 |
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所在地 | 東京都新宿区新宿2-3-12グレイスビル4F |
従業員数 | 1 – 30名 |
事業内容 | ベトナムに特化したコンサルティング業 |
掲載カテゴリ |
- 導入前の課題
日本企業とベトナム企業を仲介するビジネスを行う中で、ベトナムのシステム開発企業と多数のコネクションを構築。今度はベトナム企業の日本でのビジネス展開を支援しようということになったが、システム開発の新規顧客開拓のノウハウが社内になかった。
- 導入後の効果
2カ月に1件の割合で数百万円の案件受注に成功。お客様とのミーティング機会が格段に増え、社内の営業力も向上中。リモートワークの普及で海外オフショア開発に対する抵抗感も少しずつ減少していることから、今後は、さらなる案件受注増を見込んでいる。
日本とベトナムとの架け橋となり海外オフショア開発に特化したサービスを新たに提供
アセアン技能支援機構株式会社は2014年に設立されたベトナムに特化したコンサルティングを行う会社だ。同社はもともとシステム開発会社ではなかったが、日本とベトナムをつなぐ事業の中から新たなビジネスが展開していったという。
ベトナムは勤勉な国民性があり、日本に比べると人件費も安いため、低コスト高品質な成果が得られるため、製造拠点をベトナムに置く企業や、ベトナム市場を見据える企業、ベトナム企業との何らかの連携を考える企業は少なくない。しかし、ベトナムにコネクションがないため、同社を頼ってくる企業も多い。
「あるとき、国内のIT上場企業に人材紹介の提案に行ったところ、ベトナムの海外オフショア開発企業を紹介してほしいというご依頼をいただきました。独自にマーケティングを行い、現地で20社以上の企業を訪問し、トップと意見交換を行い、弊社が自信をもってご紹介できるオフショア開発企業を絞り込んでいきました。その中には、AIやIoT、ブロックチェーン、アノテーション等幅広い技術ニーズに対応できる企業もありました」(日高氏)
そうしてできたベトナムのシステム開発企業とのコネクションは同社にとっても大切なリソースとなった。
「そうしたコネクションを活かして、数人月の小規模案件からから数十人月の大規模プロジェクトまで、ベトナムのオフショア開発企業の規模や得意分野などを念頭に置き、日本のお客様企業の要望に合わせてご紹介、ご活用いただくサービスも展開しています」
同社では現在、海外オフショア企業の紹介、人材の紹介、ビザサポート等を中心にベトナムに特化した事業を行っている。
海外オフショア開発に抵抗感があるお客様が多い中でいかに新規開拓営業を行うかが課題
一般に海外オフショア開発の成功率は70%程度だといわれており、発注先の企業をしっかりと選ばなければ成功にはつながらない。実際に、海外オフショア開発を使ったことがない、あるいは苦い経験を持ったという企業も多く、海外オフショア開発には少なからず抵抗感を持っている企業も多いという。
「なかなか海外オフショア開発が定着しないなかで、弊社のような小規模企業がオフショア開発企業の紹介の企業開拓は簡単な事ではありませんでした。しかし、IT開発のリソースが更に不足し、新型コロナウイルス感染症の流行でリモートワークが一般化していく中、リモートワーク、ニアショア、オフショアの垣根は確実に下がっていくだろうという確信のもと、営業活動を展開しようという判断に至りました」
同社が前面に立ち、国内企業のシステム開発ニーズに対してベトナムのシステム開発会社につないでいくのが、同社のスタンスだ。これは長期的な視点で見れば、将来的な国内のIT人口減少による開発サービスの量的・質的な低下を防ぐ意味でも重要な取り組みといえる。ただ、現状では海外オフショア開発に抵抗感を持つ企業も多く、それをどう払拭していくかが、大きな課題だ。
しかも同社にとって、システム開発というのはまったく新しいビジネス。同分野での新規顧客開拓の経験もノウハウもなく、営業体制が整っていなかった。
「当初はメールで営業していた時期もありましたが、効率的ではありませんでした。営業代行も使ってみたのですが、なかなか成果が出ず、結局マッチングサービスに行き着きました」
発注ナビを選んだ決め手は明確な料金体系と案件が豊富なところ
案件のマッチングサービスは複数あるが、どのように選んだのだろうか。
「マッチングサービスのプラットホームを提供する数社とコンタクトを取り、詳細を確認し、サービス内容、案件数、案件の規模、料金体系、サポート体制等を評価しました」
ただし同社には、それ以外にもサービス選びの大切な基準があった。
「弊社は純粋な開発会社ではなく、ベトナムの複数の開発パートナー企業をご紹介するという形態のため、そうした場合でも登録可能かどうかということも重要な基準でした」
いくつかの候補に絞り込んだ中で、最終的に発注ナビを選んだ決め手は、どのようなところにあったのだろうか。
「発注ナビは料金体系が明確で、小規模から大規模の案件が安定して登録されている点、毎月定期的な情報交換ができる点を評価しました。他サービスでは、基本料金の他、一定割合を成功報酬として受注金額から引かれるものもありましたが、発注企業との折衝などにプラットホームが介在するのではと思い、対象から外しました」
発注ナビにはいくつかのプランがあり、毎月利用する前提のベーシックプラン、契約期間内で利用する月を選べるセレクトプランのほか、スポットである月だけ利用するためのプランも用意されている。いずれのケースも、利用月にどれだけ受注できたとしても、成功報酬のような追加料金は発生しない。それは月内の受注成約数が増えるほど顕著になるが、日高氏の言う「料金体系が明確」というのは、この点を評価したものだ。
また、発注ナビではカスタマーサクセスと呼ばれるサービスがあり、ご利用企業には担当コンシェルジュが付き、定期的なミーティングを通じてより多くの受注に向けた情報共有やアドバイスを行う。発注ナビから紹介した案件について、発注企業の動きや、成約までの進捗状況なども分かるなど好評だ。
無料のお試しからスタートし、月額契約へ。2カ月に1件の割合で数百万の案件を受注
同社では、2021年1月から無料プランで利用し始めた。無料プランでは案件紹介のエントリーこそできないが、どのような案件があるか、新着案件のチェックなどが行える。もちろん、良い案件があった場合スポットで紹介費用を支払えば、案件にエントリーし発注者の紹介を受けることもできる。
「1月に無料プランで利用してみたところ、案件が豊富で、エントリーしたい案件がいくつか見つかりました。そこで6カ月のセレクトプランを申し込み、契約を更新しながら使い続けています」
同社では、2021年11月までに発注ナビ経由で4件を受注している。当初はエントリーしていない無料プランの時期や、セレクトプランで利用していない月もあるため、それらを勘案すれば、おおよそ2カ月に1件程度の割合で受注に成功していることになる。
「いずれも売上で数百万円の案件です。発注ナビは、応募していれば必ず月数件は商談できます。現在、月13件程度の案件にエントリーして、3~4件の紹介をいただいています。2カ月に1件程度の受注につながっているので、当社の営業体制と数百万円規模の案件ということを考えれば、成約率はまぁまぁ良いと思います」
同社は現在、5社ほどのパートナー企業と連携している。そのため、発注ナビの案件にも、どのパートナーに向く案件かを見極めてからエントリーしているという。
「1つの案件は、その1つで終わりではありません。最初は小さな案件でも、そこから次につながることも珍しくありません。発注企業も、それを期待していることが多いようです。これが上手くいったら次も、という感じです。そのため、弊社では小さな案件も見逃しません。パートナー企業の得意分野であればなおさらです」
お客様とのミーティング機会が増え、営業力UPへ。海外オフショア開発への理解を広めていきたい
発注ナビ導入で変わったところはあるのだろうか。
「間違いなく、発注企業とミーティングを行う機会が増加しています。エントリーした全ての案件でミーティングの機会がもらえるわけではありませんし、ミーティングを行ったからといって100%受注できるわけでもありませんが、ミーティングを行える機会は確実に増えたことで、弊社の営業力は着実に鍛えられていっていると思います」
日高氏によれば「海外オフショア開発を初めて使ってくださるお客様が増えた」という。
「それまで関心がない、あるいは敬遠していた海外オフショア開発にご理解いただける企業が増え、受注できるようになりました。事前提案なども、パートナー企業にとって得意分野の案件を選んでいるため、かなり作り込んでいます。そうした積み重ねにより、安心してご発注いただけているのではないかと思います」
同社の取り組みにより、少しずつ海外オフショア開発への信頼が高まりつつある。それというのも、同社のパートナー企業が、いずれも低コスト・高品質なシステムの開発に成功しているからにほかならない。
「5社のパートナーはそれぞれ得意分野を持っていて、どのような技術・ビジネス分野にも、おそらく対応できます。たとえば開発言語では、JavaやPHPはもちろんですが、COBOLによる開発にも対応できます。ビジネスの世界ではリモートワークが盛んになっています。リモートワークも、ニアショアも、オフショアも、物理的な距離の違いだけで、基本的には変わりありません。しっかりしたパートナーであれば、大きな戦力になります。これを広く世の中にお伝えし、広めていきたいと考えています」
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