近年、アプリ開発のハードルが下がっており、簡単なアプリであれば高度なプログラミングスキルがなくても作れるようになってきています。中には、「パソコンはないがiPadならあるので、iPadを使ってアプリ開発をしてみたい」と考える方もいるのではないでしょうか。実際に、iPadを活用してアプリ開発を行うことは可能です。
そこで今回は、簡単なアプリの開発から始めるために必要な要素や、iPadを使ったアプリ開発のメリット・デメリット、さらにiPad向けのアプリを開発する手法について詳しく解説します。
目次
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簡単なアプリであればiPadでも開発は可能
前述の通り、簡単なアプリであれば、パソコンがなくてもiPadのみで開発が可能です。例えば、2021年にはiPadのみでアプリの開発から公開まで可能なプログラミングツール「Swift Playgrounds 4」が登場し、プログラミング初心者でもアプリ開発に挑戦しやすい環境が整ってきています。簡単なアプリ開発や学習の初期段階では、iPadを活用することで便利に取り組むことができます。
●本格的な開発は難しい部分もアリ
簡単なアプリであれば、開発から公開までiPadのみで完結させられます。一方で、iPadをメインの開発環境に据え、本格的な開発を行うことはまだまだ難しく、処理能力や画面サイズの面で周辺環境を用意することが必要になる場合があります。アプリ開発においては、「統合開発環境(IDE)」を利用するのが一般的。統合開発環境とは、コードを書くテキストエディタやデバッガ(デバッグツール)など、開発に必要なツールを1つにまとめたソフトのことです。統合開発環境の多くは、プログラミングに必要なスペックを備えたパソコンで使うことを前提としています。したがって、iPadには非対応であり使用できないというケースが少なくありません。高度な機能や開発ツールには制約がありますので、大規模なアプリ開発にはデスクトップやノートパソコンが適しています。
iPadでアプリ開発を行うために必要なもの
iPadでアプリ開発を行う際は、プログラミング言語の知識や開発環境の整備といった準備が必要です。ここではiPadのみで開発環境を整える際に必要となる知識や準備についてご紹介していきます。
●プログラミング言語Swiftの知識
「Swift」とは、アップルが提供するオープンソースのプログラミング言語です。iPadのほか、iPhoneやApple Watch、Macなどアップル製品向けのアプリを開発できます。直感的で構築しやすいという強みがあり、スピーディーにプログラミングできるのが特徴です。Ruby(ルビー)やPython(パイソン)などの言語に近い文法を採用しているため、これらの開発言語の知識がある方にとっては特に馴染みやすい言語だといえるでしょう。
Swiftを使う際におすすめなのが、「Swift Playgrounds」です。「Swift Playgrounds」は、ゲーム感覚でSwiftコードを学習できる専用アプリです。視覚的にわかりやすくプログラミングを学べるのにくわえ、アプリの開発から公開まで行える便利なツールです。
例えば、2022年に公開されたタスク管理アプリ「ToDon’t」は、Swift Playgroundsの最新バージョンである「Swift Playgrounds 4」で開発・公開された初のアプリです。実際に使ってみて、Swift Playgrounds 4ではどのような機能を実装できるのかを確かめると良いでしょう。
iPadでのアプリ開発を始めたい方には、学習コンテンツと開発環境が一体となったSwift Playgroundsを活用することをおすすめします。
●XcodeとSwift Playgrounds 4を組み合わせる
Xcodeとは、アップルが提供する統合開発環境(IDE)のこと。アップル製品のアプリ開発に特化しており、ゲーム・教育・エンタメなど幅広いジャンルのアプリを開発できます。しかし、XcodeはMac専用の統合開発環境であるため、iPadへはインストールできません。
そこでおすすめなのが、XcodeとSwift Playgrounds 4を組み合わせてアプリ開発を行う方法です。同じプロジェクト両方の環境で更新が可能なため、iPad上のSwift Playgrounds 4で作成したプログラミングコードをXcodeへ読み込み、その後の作業はMacのXcodeで行うといった作業が可能です。Swift Playgrounds 4単体でもアプリの開発・公開は可能ですが、より高度で本格的なアプリを開発したい場合はXcodeを活用することをおすすめします。
●周辺機器の準備もしておくと良い
開発に必須ツールのほか、作業効率アップのため、iPadで開発する際はパソコンでの開発環境にできる限り近い環境を整えましょう。例えば、外部キーボードとマウスがあればiPadの画面全体を作業スペースとして使用できます。そのほか、あると便利なのがタブレットスタンドです。タブレットスタンドを使うことで、タブレットをノートパソコンに近い状態にセットできます。「猫背になる」「目線が下に向いてしまい首や肩がこる」などのトラブルを防ぎ、快適に作業できます。周辺機器を選ぶ際は、性能や端末との互換性に注意してください。出先でも使用する場合は、持ち運びのしやすさも考えましょう。
iPadでのアプリ開発のメリット・デメリット
比較的シンプルなアプリであれば、iPadでも十分に開発可能です。では、iPadを活用してアプリ開発をする際のメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
●iPadでアプリ開発をするメリット
特に大きなメリットは、手軽にアプリ開発へ挑戦できるという点です。Swift Playgrounds 4のように、iPadでアプリ開発から公開まで完結できるツールを利用すれば、すぐに開発環境を整えられます。くわえて、iPadはMac製品(パソコン)よりも比較的安い費用で購入できるのもポイント。機材費は大きなウエイトを占める費目であるため、その点を節約できるのは大きな魅力です。また、iPadであれば持ち運びしやすいというメリットもあります。オフィスや自宅はもちろん、外出先であっても思い立ったらすぐ作業を進められます。
●iPadでアプリ開発をするデメリット
デメリットとして挙げられるのは、開発できる範囲が限られているという点です。Xcodeのような統合開発環境を、iPadにインストールすることは現時点では不可能です。したがって、統合開発環境が必要になるような開発は行えません。また、画面の作業スペースが小さいため、作業効率が落ちてしまうことも考えられます。
iPad向けのアプリを開発するには?
ここからは、iPad向けのアプリ開発についてご紹介します。iPadにおけるOS「iOS」やプログラミング言語、iOSアプリ向けのおすすめツールをピックアップしました。
●iPadのOSは「iPad OS」
iPadのOS(基本ソフトウェア)は、iPhoneのOS「iOS」から枝分かれした「iPad OS」です。iPad OS はタブレットに適した独自性能を備えていますが、iOSとの高い互換性も備えています。ちなみに、iPadやiPhoneと同じアップル製品である「Mac」に搭載されているOSは「macOS」です。macOSがiPhone向けに開発されて誕生したものが、現在のiOSにあたります。その点を踏まえて、iPad向けアプリの開発に適したプログラミング言語を把握していきましょう。
●iPad OS向けアプリの開発言語
iPad OSのアプリやiOSアプリ開発に必要となる主なプログラミング言語が「Swift」です。SwiftはAppleから登場した独自のプログラミング言語であり、「Objective-C」という開発言語が基となっています。かつてのObjective-Cには、表記がわかりづらく操作性に癖があるという問題点がありました。こうした問題点を改善し、よりわかりやすいプログラミング言語として登場したのがSwiftです。iOSアプリ開発の場面では、Swiftによる開発がメインになると考えて良いでしょう。
Swiftのほかのプログラミング言語としておすすめなのは、以下の3つです。
JavaScript
JavaScript(ジャバスクリプト)は、Webサイトや開発の場面で使用されるプログラミング言語です。ポップアップウィンドウの表示や画像の拡大、アニメーション表示など、コンテンツに動きを出したい時に活躍します。文法が比較的シンプルでわかりやすく、プログラミング言語の入門としておすすめです。くわえて、テキストエディタとブラウザがあればJavaScriptによるプログラミングが可能です。複雑な環境を構築する必要がありません。
さらに、プログラミング言語の中でもシェア率が高く、参考となる書籍やノウハウが豊富に公開されているのも特徴です。操作につまずいた際も、解決しやすいといえるでしょう。
Python
Python(パイソン)は、1991年に登場したプログラミング言語です。データ収集や分析、AI、動画の埋め込みなど様々な機能を搭載したアプリ・Webツールを開発できます。例えばYou TubeやInstagram、Dropboxなどの有名サービスはPythonが使われています。JavaScriptと同じく、コードがシンプルで構文を覚えやすいのも大きな魅力。汎用性の高さとわかりやすさを備えたプログラミング言語だといえるでしょう。
Ruby
Ruby(ルビー)は、ソフトウェアエンジニア・まつもとゆきひろ氏によって作られた日本製プログラミング言語です。Webアプリやスマホアプリ、Webサイトの制作など幅広い場面で活用されています。JavaScriptやPythonと同じく、コードが比較的簡単で覚えやすいのが魅力です。シェア率の高いプログラミング言語であることにくわえ、日本語で書かれた情報が豊富にあるので、手軽に学習しやすいというメリットもあります。
アプリ開発の際は外注も検討しよう
iPadアプリに限らず、アプリ開発全体のハードルが低くなってきたと感じ、「自社でもアプリ開発が可能なのでは?」と考える担当者の方もいるのではないでしょうか。そこで、アプリを自社開発するケースと、外注するケースのメリット・デメリットをまとめました。開発したいアプリの要件や要望、予算などを鑑みつつ、それぞれのメリット・デメリットを比較して自身に適したケースを選びましょう。
●自社でアプリ開発をするメリット・デメリット
アプリを自社開発するメリットは、「社内の人材で作業を完結させるため外注に比べ安価であること」「アプリ開発のノウハウを蓄積できること」にあります。外注費を削減できれば、浮いた分をほかの費目へ充当できます。くわえて、アプリ開発に必要なスキルやノウハウが蓄積されることで、再度アプリ開発の機会が巡ってきた際も円滑に対応できます。社内における業務の対応範囲が広がり、エンジニアのスキルアップにもつながるでしょう。
一方、デメリットとして挙げられるのはアプリの仕上がりにムラが出やすいという点。社内のエンジニアやプログラマーのスキルによっては、思うようなアプリに仕上がらない可能性もあります。またエンジニア人材が現時点で不足している場合は、採用活動から開始しなくてはなりません。開発コストだけでなく、一定の採用コストも必要となるでしょう。
●アプリ開発を外注するメリット・デメリット
アプリ開発を外注するメリットは、「一定のクオリティーが保証される」という点にあります。専門知識を持ったプロへ依頼するため、自社対応では難しいハイレベルなアプリの開発も期待できます。また、社内にエンジニアがいなくても外注することでアプリ開発可能です。特に単発の開発案件であれば、エンジニアを育成するよりも外注したほうが手間も少なく、スピーディーに開発できるでしょう。
外注するデメリットとしては、「コストがかかること」「アプリ開発のノウハウが自社内に蓄積されないこと」という点が挙げられます。開発会社にもよりますが、「開発実績が豊富」「スキルの専門性が高い」といったエンジニアが開発を担当すると単価は高額になります。また、社内にアプリ開発のノウハウが蓄積されず人材のスキルアップは期待できないでしょう。
クオリティを求めるなら外注がおすすめ
様々なプログラミング言語やツールの登場により、深い知識がなくともアプリを自作できる機会が増えています。しかし、「iPadでアプリ開発を行う」「限られた開発環境・言語でアプリ開発を行う」という場合、できることが制限されてしまうのも事実です。
また、各種プログラミング言語や統合開発環境の知識も必要となります。人によっては学習に時間がかかったり、挫折してしまったりすることもあるでしょう。クオリティの高いアプリを開発したいのであれば、開発会社への外注が現実的な手段だといえます。
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