AWS(Amazon Web Servises)はプランに応じたサポートを用意しているものの、サーバー監視や障害対応などは対象外です。そのため、AWSサービスとは別に保守サービスを契約するべきかどうか悩みますよね。
「物理的なサーバーはAmazon側で管理しているので、保守が必要かどうか、判断がつかない」そんな方を対象に、本記事では、AWSの保守で利用者側がするべきことや、AWS保守を外注するメリット・デメリット、運用代行サービス会社の選び方など、AWSでシステムを構築している企業が知っておくべきAWSの保守業務について解説します。
目次
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AWSの保守業務の内容
物理的なサーバーを持つ場合、定期的なOSアップデートや老朽化したサーバーを取り替えるリプレイスといった保守業務が発生します。AWS運用の場合は、物理的なサーバーを持たないのでハードウェア管理はありませんが、保守業務が不要なわけではありません。
AWSで提供されているシステムでは、AWSが責任を持つ部分とAWSサービスの利用者が責任を持つ部分を明確に分ける「責任共有モデル」という考え方を採用しています。簡単にいえば、クラウドそのもののセキュリティはAWSの責任下にありますが、クラウド内のセキュリティ(ゲストOS、ミドルウェア、アプリケーションなど)はAWS利用者の責任下にあるということです。
したがって、AWS運用をするうえでは、利用者は以下のような対策を講じる必要があります。
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システムを正常に動かすための監視・障害対応
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システムに対するセキュリティ対応
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技術的な課題を解決するための技術サポートの利用
AWSのサポートプラン
「AWSサポート」とは、技術的な相談ができる公式サービスのこと。無料でもベーシックサポートが受けられますが、有料サポートは4種類に分けられており、自社のシステム規模に合ったプランを選択可能です。各AWSサポートの料金と概要は、以下のとおりです。
プラン | 概要 | 利用料 |
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ベーシック | 無料プランです。個人利用であればベーシックプランでも十分に運用できます。 | 無料 |
※AWSアカウント登録をした時点で加入 | ||
デベロッパー | AWSを試したい、システムテストをしたいという方に向いているプランです。 | ・29.00USD |
または | ||
・月額AWS使用料の3% | ||
ビジネス | AWS上でビジネス利用に耐えうるシステムを構築する場合に向いているプランです。 | ・100.00USD |
または | ||
・月額AWS使用料のうち最初の0~10,000USDに対しては10% | ||
・月額AWS使用料のうち10,000〜80,000USDに対しては7% | ||
・月額AWS使用料のうち80,000〜250,000USDに対しては5% | ||
・月額AWS使用料のうち250,000USDを超える分に対しては3% | ||
エンタープライズOn-Ramp | AWS上に、ビジネスにとって重要なシステムを構築したい方に向いているプランです。 | ・5,500.00USD |
または | ||
・月額AWS使用料の10%の場合 | ||
エンタープライズ | AWS上に、ビジネスの核となる基幹システムを構築したい方に向いているプランです。 | ・15,000.00USD |
または | ||
・月額AWS使用料のうち最初の0~150,000USDに対しては10% | ||
・月額AWS使用料のうち150,000〜500,000USDに対しては7% | ||
・月額AWS使用料のうち500,000〜1,000,000USDに対しては5% | ||
・月額AWS使用料のうち1,000,000USDを超える分に対しては3% | ||
※追加料金でAWSインシデント検出と対応が可能 |
AWSサポートでは、「技術サポート」をカバーしていますが、サーバー監視や障害対応は対象外です。AWS上に構築したシステムの運用・監視を委託したい場合は、運用代行サービスを利用すると良いでしょう。
外注先を選ぶといっても、数ある企業の中から、自社が求めるサービスを提供してくれるパートナー企業を比較検討し、探し出すのはとても大変です。AWSの環境構築・運用保守に詳しい外注先をお探しの方は、「発注ナビ」をぜひご利用ください。貴社のご希望を伺い、要望を叶える企業をご紹介いたします。
AWSの運用代行サービス
AWSの運用代行サービスにはどのようなものがあるのか、それぞれの運用代行サービスについてご紹介します。AWSに関連する代行サービスは、主に以下の5つに分けられます。
導入代行 | AWSの新規導入に伴うシステム構築やほかのシステムからの移行作業を代行する。 |
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監視代行 | AWSインスタンスを24時間365日監視し、障害の発生に素早く対応する。 |
運用代行 | 運用にかかわる様々な設定変更を代行する。 |
技術サポート | AWSを運用するうえでのトラブルや疑問に回答するなど技術支援を行う。 |
請求代行 | (AWSリセールサービス) 利用者に代わって請求申請を行い、円建ての請求書払いを可能にする。 |
●導入代行
AWSの新規導入に伴うシステム構築やほかのシステムからの移行作業を代行します。導入代行では、AWSのシステム環境構築やオンプレミスのシステムをクラウドへ移行するといった依頼が可能です。導入だけではなく、運用までを一括サポートしてくれるサービスもあります。
●監視代行
クラウドに移行しても、システムを安定して正常に稼働させるためには、ゲストOSやアプリケーションの監視業務が必須です。監視代行では、AWSインスタンス(クラウド内の仮想サーバー)を24時間365日監視し、障害の発生にいち早く気づいて素早く対応を行います。
●運用代行
AWSに限らず、システム運用は専門知識を要する仕事です。社内の人材だけでは対応できないケースもあります。運用代行サービスでは、AWS上で運用されるシステム運用のために必要なインスタンス(サーバー)の停止・起動、システムのアップデート、セキュリティパッチ対応といった様々な設定変更を代行してくれます。
●技術サポート
技術サポートとは、AWS上でシステム運用をする際に生じるトラブルや疑問に回答する技術支援です。AWSの場合は公式の技術サポートが優秀であるため、技術サポートだけを求めて外部依頼するケースはほとんどないでしょう。ただし、後述する「請求代行サービス」を利用する場合は、技術サポートも含めて外注することになります。技術面の知識・スキルが優れている企業を選ぶのはもちろんですが、コスト削減施策や運用方針など、経営に一歩踏み込んだ相談もできる会社を選定するのがおすすめです。
●請求代行(AWSリセールサービス)
請求代行とは、AWSの公式パートナーを通して利用料を支払うサービスのことです。AWSと直接契約をするのではなく、AWSパートナーを通して契約を結ぶことで、利用料の割引を受けられたり、円建ての支払いが可能になったりするというメリットがあります。
請求代行サービスのみを受けられるプランもあれば、請求代行に加えてAWSのサポートも行ってくれるプランまであります。そのため、請求代行まで一括して依頼する場合は、運用保守や相談などのサポート体制が整っている企業を選ぶ必要があります。
監視・運用を外注するメリット
監視・運用は自社で対応することもできますが、外注するメリットの大きい業務であるため、外部委託をするのが一般的です。外注によって得られるメリットは、主に以下3点です。
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本業に集中できる
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24時間365日体制で監視してくれる
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自社運用より安くなることもある
●本業に集中できる
AWSでは「Amazon CloudWatch」という監視ツールが用意されており、自社で監視を行うことも可能です。しかし、AWSの運用保守を行うには、ある程度の知識や経験が必要になります。自社内で対応する場合は、そのための学習コストがかかるため、対応者の分だけ人的リソースが減ってしまいます。本業と並行して管理してもらう場合は、トラブル発生時にはシステムにかかりきりになることが多く、本業に悪影響が及ぶ可能性も否定できません。
AWSを熟知したエンジニアのいる企業へ運用保守を外注することで、自社内の学習コストを下げて本業に集中できます。
●24時間365日体制で監視してくれる
システムを常に問題なく稼働させるためには、24時間365日体制のサーバー監視業務が必須です。24時間365日体制でシステム監視を行うのは大変な労力を伴うので、監視業務のリソースを割かずに済むという点は大きなメリットといえます。保守を外注していれば、システムに万が一の事態が生じた場合にも、素早く復旧活動を行ってくれるという安心感があります。
●自社運用より安くなることもある
AWS運用のノウハウがない、もしくは人員が足りないという場合には、運用担当者を採用・教育する必要があります。自社でエンジニアを採用したり育成したりするよりも、運用を外部に頼んだほうが、コストは抑えられます。請求代行サービスを介してAWSを契約することで、割引価格で利用できるといったメリットもあります。
監視・運用を外注するデメリット
監視・運用を外注するメリットは大きいですが、デメリットも存在します。外注の課題点を理解したうえで、デメリットを小さくできるような対策を講じることが大切です。監視・運用を外注するデメリットは、以下の3つが挙げられます。
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外注先の技術力に左右される
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AWS運用の知見を持つ人材が育たない
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情報漏洩の懸念がある
●外注先の技術力に左右される
AWSのニーズが高まっているため、AWS運用代行を行う外注会社も増えています。しかし、監視や障害対応といった技術を要する運用は、外注会社のスキルに左右されるものです。システムを安定して稼働させるためには、信頼できる代行企業選びが重要です。
●AWS運用の知見を持つ人材が育たない
外注を選んだ場合は、社内にAWSのノウハウを蓄積させる機会を失うという機会損失が生じます。
運用を外注先に任せることでリソースに余裕ができるという点はメリットですが、AWS運用を担う人材がなかなか育たないという点ではデメリットといえるでしょう。
●情報漏洩の懸念がある
システムの運用を外部に委託するということは、運用に必要な情報を外部に渡す必要があります。AWSシステムの構築・運用のためには情報開示が必須です。自社内で運用を完結させるよりも、情報流出のリスクが高くなるという点もデメリットになる恐れがあります。情報漏洩という重大なインシデントを起こさないためにも、セキュリティ意識が高く信頼できる外注先を選ぶことが大切です。
AWSの運用代行サービスの外注先を選ぶポイント
運用代行サービスを選ぶ際には、きちんと比較検討をする必要があります。AWS運用を委託する場合は、外注先にシステムの情報開示を行う必要があります。適切にデータを扱ってくれる外注先を選ばなければ、社運を揺るがすインシデントにつながる危険性も否定できません。
AWSの運用代行サービスを選ぶ際には、以下2つのポイントをチェックしましょう。
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AWSの実績があるか
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運用コストの削減につながるか
●AWSの実績があるのか
運用を任せるのであれば、AWSの実績が豊富で、運用や障害対応といったノウハウを多く蓄積しているAWSパートナー企業を選ぶのがおすすめです。
AWSパートナー企業とは、AWSを活用して顧客のためにソリューションやサービスを構築する企業のことで、AWSパートナー企業はAPN(AWSパートナーネットワーク)というコミュニティに所属しているため、該当企業はAWS公式サイトから閲覧できます。
さらに、AWSではクラウドに関するスキルの理解度を認定する「AWS認定デジタルバッジ」を用意しているため、知識とスキルを証明することも可能です。外注先がどれくらいの知識やスキルを有しているのか、APNや認定デジタルバッジを通して確認しましょう。
●運用コストの削減につながるのか
サービスの品質も重要ですが、予算に対してあまりにも高額だと運用が立ち行かなる恐れがあります。運用コストの削減や最適化を実現できるかをチェックすることも大切です。
特に、請求代行(AWSリセール)サービスを活用する場合は、AWS利用料の割引率もチェックすべきポイントです。AWS運用にどれくらいの費用をかけられるのか算出し、複数のAWSパートナー企業を比較検討しながら、自社のシステムを任せられる外注先を探しましょう。
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システム開発会社選びはプロにお任せ完全無料で全国5000社以上からご提案