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システム開発の訴訟リスクとは?トラブル避けるためのポイントを徹底解説!

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システム開発の訴訟リスクのイメージ図

システム開発を外部に発注する際、思いがけないトラブルから、訴訟へ発展してしまうケースが増えています。システム開発における訴訟の原因としては、発注側と受注側の期待値のずれコミュニケーション不足不明確な契約条項などが挙げられます。

これらの問題を防ぐためには、システム要件を明確にし、開発会社と密にコミュニケーションを取ることが重要です。また、契約書には作業範囲や納品物の品質基準などを明確に記載する必要があります。

本記事では、システム開発の訴訟を回避するためのポイントや、外注先選定に役立つ情報を詳しく解説します。希望した内容のシステムが円滑に納品されるよう、訴訟リスクについても理解しておきましょう。

 

目次

 

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システム開発の訴訟リスクとは?よくある原因と回避策

訴訟リスクとはのイメージ図

システム開発の現場では、訴訟やトラブルへ発展するリスクを常に意識しておく必要があります。ここでは、システム開発の訴訟リスクとしてよくある原因と回避策を解説します。

  1. 発注側と受注側間の期待値のずれ
  2. 要件の誤解
  3. 不明確な契約条項による解釈の相違
  4. 進行管理の不備・納期遅延
  5. 品質保証の不足
  6. 外注先の技術力の過大評価
  7. 発注側の関与不足・丸投げ

 

●1.発注側と受注側間の期待値のずれ

システム開発における訴訟の多くは、開発会社と発注者の認識のずれによって引き起こされます。例えば、契約成立に関する考え方に齟齬があり、報酬の支払いやシステムの修正を巡って訴訟が起こるケースです。

システム開発では、開発会社だけでなく発注側にも一定の業界知識が求められます。技術的な理解が皆無だと、開発会社側へ無理なスケジュールや技術範囲による要求を行ってしまったり、開発会社の話や提案を上手く咀嚼できず、システムの完成像を共有できなかったりすることがあり、トラブルの要因となってしまいます。

また、新技術に対する誤解や過大評価がもとでシステム開発会社へ無理な要求をしてしまう可能性も考えられます。現実的な範囲で要望を伝えるためにも、発注側として知識を深めることが大切です。

システムのビジョンをしっかりと把握、共有するためにも、最低限の知識を身につけておきましょう。

 

●2.要件の誤解

訴訟やそのほかのトラブルを避けるためには、プロジェクトの初期段階で前提として、システムへ求める要件や要望、システム開発を行う目的を明確にすることが大切です。要件のすり合わせが不十分なまま進行してしまうと、お互いの認識に食い違いが生まれやすくなり、思わぬトラブルに繋がる可能性が高まってしまいます。

開発会社と密にコミュニケーションをとり、認識をすり合わせる機会を、できる限り多く持つことが認識のずれを防ぐのに役立ちます。これは、契約時にシステム開発の要件や目的に認識のずれがあっても、早い段階で修正できるようにするためです。

要件定義が不十分だと、「この要件は依頼されていない」「この要件の反映は契約内容にない」と開発会社から指摘を受けることがあり、トラブルへ発展する可能性が高まります。

例えば、「一般的に必須とされる機能は要件定義で触れられていなくとも実装すべき」と考えている発注側と、「要件定義に記載されていない機能は、実装しなくて良い」と考えている開発側によるトラブルなどがあります。そもそも訴訟へ発展させないためには要件定義の時間を十分にとり、要望を漏れなく伝えるようにしましょう。

また、要件定義が不十分だと、システム開発の着手中や着手後に機能の抜け漏れが発覚し、修正が必要となる可能性があります。修正や仕様変更に伴うトラブルを未然に防ぐためにも、要件定義をしっかりと行うことが大切です。

 

●3.不明確な契約条項による解釈の相違

不明確な契約条項による解釈の相違も、トラブルの原因となるため注意が必要です。認識のズレが生まれる要因としては、コミュニケーション不足による誤解や、契約条項の解釈の齟齬が挙げられます。

コミュニケーション不足は、法的解釈にずれが生じてしまうだけでなく、「システムに関する要望が正しく伝わらない」というトラブルも引き起こします。その結果、受注側が誤ったシステムを開発してしまい、修正の有無や報酬の支払いを巡って訴訟へ発展することも考えられるのです。

さらに、契約書の作成時には検討事項と重要事項を明確にしたうえで、曖昧な部分や解釈が分かれそうな部分をできる限り排除する必要があります。

 

●4.進行管理の不備・納期遅延

納期の設定や進行管理の不備が、トラブルに発展するケースもあります。

例えば、納期が短すぎる場合、開発会社は納期に間に合わせるため急ピッチで作業を進めることになります。結果的に、管理体制がずさんになったり、意図しないバグのあるシステムが完成したりといった事態へ発展する可能性が高まってしまうため、注意が必要です。

くわえて、「システムの規模に比べて予算が少なすぎる」というケースもトラブルのもとです。予算オーバーを理由に、開発プロジェクトそのものが頓挫してしまうことも考えられます。開発側からの見積もりが適切な金額かを確認のうえ、システムの規模に見合った予算を用意しましょう。

 

●5.品質保証の不足

品質の低下が訴訟の原因となるケースもみられます。納品されたシステムにおいて、バグが多発したり、要件を満たしていない状態だった場合、発注者と開発会社の間で責任の所在や補償範囲をめぐる対立が起こる可能性があります。

特に品質保証が不十分だった場合、どこまで修正・再開発が必要かという点でも揉めることもあるため、事前に確認しておくことが大切です。

 

●6.外注先の技術力の過大評価

発注会社が求めた技術と、開発会社の技術にギャップがあった場合にも、思わぬトラブルに繋がることがあるため注意が必要です。

システム開発会社と一言でいっても、得意分野や開発実績は異なります。その点を踏まえてシステム開発会社を選定しなければ、希望通りのシステム開発ができなかったり、納期が大幅に遅延したりといったトラブルが発生し、訴訟へ発展する可能性が高まってしまいます。

このようなトラブルを避けるためにも、開発会社を選定する際は明確な基準を設けましょう。得意分野や開発実績、同業他社のシステム開発の実績の有無などに着目すると効率的に選定できるためおすすめです。この時、大まかな費用感を把握するためにも、複数のシステム開発会社を同時に比較検討しましょう。

 

●7.発注側の関与不足・丸投げ

また、進捗管理や品質管理を、すべて開発会社へ丸投げしないことも大切です。丸投げしてしまうと、思い違いや問題発生に気づくのが遅れ、結果的に大きなトラブルに発展するリスクが生じます。

定期的な進捗報告の機会を設けたり、システムの検収や中間レビューのタイミングを明確にして、発注側もしっかり関与するようにしましょう。

 

訴訟に発展しそうな場合はどうする?具体的な対処法

具体的な対処法のイメージ図

システム開発において、訴訟に発展しそうな場合の具体的な対処法を4つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

  • 契約や記録の整理
  • 冷静な事実確認・コミュニケーション
  • 弁護士や専門家へ相談
  • 第三者による調査

 

●契約や記録の整理

訴訟へ発展しそうな場合は、まず契約書や発注書、議事録、メールやチャットの履歴など、これまでに締結した重要な書類や、コミュニケーションの記録をできる限り集めて整理をしましょう。特に細かい契約条項や法的な規定が、契約書でどのように記載されているか、再確認することが重要です。

また、過去の交渉記録や指示内容を時系列でまとめておくと、トラブル原因の特定や責任範囲の明確化、交渉時の資料として役立ちますし、、訴訟へ発展するのを未然に防げる可能性があるため、おすすめです。

 

●冷静な事実確認・コミュニケーション

トラブル発生時は、感情的になりやすいものです。しかし、落ち着いて事実の確認をすることが平和的な解決につながります。

トラブルに至るまでに、どんな問題や認識のズレがあったのか、双方の言い分や主張を整理し、冷静なコミュニケーションを心がけることが重要です。

 

●弁護士や専門家へ相談

また、自分だけで交渉するのが難しい、または相手方と決着できない場合は、必要に応じて弁護士や専門家に相談するのがおすすめです。

契約書や記録を事前に整理して考えることで、より具体的なアドバイスや方針の提案を受けられます。

 

●第三者による調査

双方の主張が大きく食い違う、状況が複雑化しているなどの場合は、第三者による調査や事実確認を依頼するのも有効です。また、代替紛争解決手段(ADR)に相談することも検討してみましょう。

ADRとは、裁判所を介さずに紛争を解決する手段です。具体的な解決手段としては、仲裁や調停などが挙げられ、専門的な見解を踏まえて、客観的な判断材料が得られます。

 

システム開発の外注で失敗しない!選定時の注意点

注意点のイメージ図

システム開発における訴訟リスクを軽減するためには、自社に合ったシステム開発を選定することが大切です。ここでは、システム開発会社を選定する際の注意点を紹介します。

  1. 得意分野や使用言語、フレームワークの確認
  2. 過去の開発実績
  3. 開発期間のスケジュール・管理方法
  4. 類似事例の成功事例・失敗事例
  5. 知的財産権・二次委託の管理を徹底
  6. コミュニケーションや連絡体制の構築

 

【関連記事】

「システム開発における失敗事例とその原因について」

 

●1.得意分野や使用言語、フレームワークの確認

各開発会社の得意分野をはじめ、使用するプログラミング言語(Python、Java、C++など)やフレームワーク(Django、Spring Frameworkなど)を確認しましょう。

たとえば、ウェブサービス開発に強いのか、モバイルアプリ開発が得意なのか、あるいはAIやIoTといった最新技術に精通しているのかなど、開発会社によって得意とする技術領域は異なります。自社が実現したいプロジェクトに最適な技術を持っているかを見極めることが大切です。

 

●2.過去の開発実績

過去の開発実績もしっかりとチェックしましょう。実績が豊富であることに加え、自社のプロジェクトと類似した分野での経験があるかどうかが特に重要です。

過去に類似案件の経験があれば、プロジェクトの潜在的な課題やリスクを事前に把握し、適切な対策を立ててくれる可能性が高まるため安心です。

このとき、成功事例だけでなく、失敗事例にも注目すると、どのように課題を乗り越えてきたか、その会社の対応力や問題解決能力が見えてくるため、リサーチしてみると良いでしょう。

 

●3.開発期間のスケジュール・管理方法

プロジェクトを円滑に進めるためには、開発会社のスケジュール管理方法と進行管理体制の確認が不可欠です。

具体的には、どのようにして進捗報告や課題共有を行うのか、どのような連絡ツールを使用するのか、そして納期遅延が発生した場合の対応策などを事前に確認しましょう。定期的なコミュニケーションと透明性の高い進捗報告が行われる体制が整っているかどうかは、後々のトラブルを防ぐ上で非常に重要なポイントです。

 

●4.類似事例の成功事例・失敗事例

開発会社を選定する際には、過去のシステム開発の訴訟事例や、トラブルの事例を参考に、トラブルを回避できそうな開発会社を選定しましょう。

具体的には、「要件定義の時間をしっかりととれる、コミュニケーションを密にとりやすい」「専門用語を多用せず、専門家としての説明責任を果たしてくれる」といった点に注目しましょう。専門家としての説明責任を果たし、クライアントとの密なコミュニケーションを大切にする姿勢は、プロジェクト成功の鍵を握る重要な要素となります。

また、複数の開発会社から相見積もりを取ることで、適正な費用感を把握できます。この時、極端に安価な見積もりを提示する会社には注意が必要です。後から修正対応や仕様変更に伴う追加費用が予想以上にかかり、結果的に高額になるケースが少なくないためです。

 

●5.知的財産権・二次委託の管理を徹底

システム開発において、知的財産権の帰属は重要な問題です。開発したシステムの著作権や特許権が自社に帰属するのか、契約書で明確に確認しましょう。

また、開発会社がプロジェクトの一部を別の会社に二次委託(再委託)する可能性がある場合は、その範囲や管理方法についても確認が必要です。二次委託先も含めて、情報漏洩や品質管理が徹底されているかを確認しておくことで、リスクを低減できます。

 

●6.コミュニケーションや連絡体制の構築

開発会社とのコミュニケーションは、プロジェクト成功に繋がる最も重要な要素の一つです。

選定段階で、担当者とのやり取りを通じて、質問への回答が迅速かつ丁寧か、自社の要望をしっかりと理解しようと努めてくれるかなど、信頼関係を築けるかを見極めましょう。

対面での打ち合わせ、オンラインツール、チャットなど、連絡手段や報告頻度についても事前に確認し、スムーズな連携体制を構築することが大切です。

 

外注契約時のポイントとは?必ず記載すべき8つの項目

外注契約時のポイントのイメージ図

システム開発の外注で失敗しないためには、契約内容の明確化が非常に重要です。将来的なトラブルを未然に防ぎ、双方の認識のずれを解消するためにも、契約書に必ず記載すべき8つの項目を詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

  1. 依頼する作業範囲
  2. 納品物の品質基準
  3. 納期および納品スケジュール
  4. 報酬の支払い条件および報酬額
  5. 予算
  6. 納期遅延に対する対応・ペナルティの内容
  7. 納品物の不備の修正措置・修正対応
  8. 違約金の支払いに関する規定

 

●1.依頼する作業範囲

契約書には、開発会社に依頼する具体的な作業範囲を明確に記載しましょう。

たとえば、「要件定義、設計、開発、テスト」までが対象で、「リリース後の保守・運用は含まれない」といったように、どこからどこまでを依頼するのかを定義します。

また、「規定範囲外の仕様変更や修正には別途追加料金が発生する」といった条件も併せて明記することで、後々の費用に関するトラブルを防ぐことができます。

 

●2.納品物の品質基準

納品物の品質基準を具体的に記載することも重要です。たとえば、「システムの動作要件」や「パフォーマンス要件」など、どのような状態になれば納品物が完成と見なせるかを定義します。

この基準が曖昧だと、発注側と開発会社の間で「完成」の認識にずれが生じ、トラブルの原因となる可能性があるため注意が必要です。

 

●3.納期および納品スケジュール

プロジェクト全体から各工程に至るまでの納期と納品スケジュールも、契約書に盛り込みましょう。

「○○年○○月○○日までに第一フェーズを完了させる」「最終的な納品は○○年○○月○○日とする」といった具体的な日程を定めることで、進捗管理がしやすくなります。スケジュールが遅延した場合の対応についても、この段階で合意しておくことが望ましいです。

 

●4.報酬の支払い条件および報酬額

報酬の支払い条件や金額は、トラブルの最も多い部分です。

「総額は○○円」「着手時に○割、納品時に○割を支払う」といった具体的な金額と支払いタイミングを明確に記載しましょう。これにより、支払いの遅延や認識の違いを防ぐことができます。

 

●5.予算

プロジェクト全体の予算を事前に共有し、契約書に盛り込むことも大切です。「当プロジェクトの予算は○○円とする」と明記することで、途中で想定外の追加費用が発生したなどの事態に備えやすくなります。

また、予算内でプロジェクトを進行させるための共通認識を持っておくことで、無駄なコストを抑えることができます。

 

●6.納期遅延に対する対応およびペナルティの内容

万が一、納期が遅延した場合の対応とペナルティについても定めておきましょう。

「納期遅延が○○日以上発生した場合、報酬を○○%減額する」といった具体的なペナルティを記載することで、開発会社の責任感を促すことができます。これにより、プロジェクトの遅延リスクを軽減することが期待できるでしょう。

 

●7.納品物の不備の修正措置・修正対応

納品物に不具合や不備が見つかった場合の修正措置や、対応範囲を明確に定めておきましょう。

「納品後○ヶ月間は無償で修正対応を行う」「不具合の修正は、バグの特定から修正、テストまでを開発会社の責任で行う」といった内容を記載することで、納品後の予期せぬトラブルにも冷静に対応できます。

 

●8.違約金の支払いに関する規定

契約不履行が発生した場合の違約金についても明確に記載することが重要です。

これは、発注側と開発会社双方のリスクを管理するための規定です。具体的な損害賠償条項を明記することで、予期せぬトラブルが発生した際に「言った・言わない」の水掛け論になるのを防ぎます。

なお、これらの条項は双方合意のもと、弁護士などの専門家のリーガルチェックを受けて作成することをおすすめします。

 

システム開発訴訟の一般的な原因や事例

システム開発訴訟の一般的な原因や事例のイメージ図

ここでは、システム開発訴訟の具体的な事例を紹介します。実際に起こった事例を参考に、発注側として注意しておくべきポイントを把握しておきましょう。

 

●争点1.プロジェクト管理のユーザー協力義務

ある健康保険組合とシステム開発会社の間で起こった訴訟問題の事例です。原告(健康保険組合側)と被告(システム開発会社側)は、平成9年5月にシステム開発の委託契約を締結しました。

当初の納期は平成10年12月でしたが、開発スケジュールの遅延により、開発会社側の要望で平成11年3月に納期が変更されました。しかし、期限から数ヶ月経過してもシステムが納品されず、原告は委託契約を解除します。その後、システム開発の代金の減却および損害賠償を請求しました。

これに対し、被告は「開発スケジュールの遅延は原告側による機能の過剰追加や仕様変更、原告が回答すべき懸案事項の意思決定の遅れにある」と主張します。そして、契約解除における報酬と、損害賠償を求めて反訴するという事態へと発展しました。

この裁判は、結果的に原告である健康保険組合(発注側)が勝訴しています。開発会社側には、専門家としてのプロジェクトの管理義務があるとされたためです。

具体的には、機能の追加や仕様変更を求められた際、委託料や期限の変更、ほかの機能への影響などを踏まえたうえでその旨を説明し、要求の撤回や納期の延長などを求めなくてはならないとされました。開発会社は、専門家としての説明責任を果たさなかったため敗訴したといえるでしょう。

参照:情報システム開発トラブル事例と対応法

 

●争点2.要件定義

要件定義とは、発注側がシステムに求める要望をヒアリングしたうえで「どのような方向性と手順で開発すべきか」をまとめる作業のことです。この要件定義が争点となった裁判の事例もあります。

原告はシステム開発会社、被告はある旅行会社です。旅行会社は、航空券の予約や申し込み、決済機能を搭載したシステム開発を依頼しました。

開発プロジェクト自体は終了しましたが、完成したシステムにはオペレーターによる「遠隔操作機能」が搭載されていませんでした。旅行会社は、「航空券の予約や申し込み、決済作業には遠隔操作機能が不可欠だ」と主張し、報酬の支払いを拒否する事態へと発展しました。

それに対してシステム開発会社側は、「遠隔操作機能の搭載は契約内容に含まれていない」と主張し、報酬の支払いを求める訴訟を起こしました。

結果的に、こちらも発注会社が勝訴しています。「契約内容に照らせば当然に必要と考えられること、必須機能であるとわかることは、要件定義で提示されていない項目でも実現すベき」と判断されたためです。

参照:情報システム開発トラブル事例と対応法

 

●争点3.リスク管理

ここで紹介するのは、上記2つの争点でご紹介した事例に類似する事例です。要件定義の失敗と、それを見越したリスク管理が甘かったために引き起こされた訴訟トラブルとなります。

被告である依頼側(書籍の管理や配送を行う企業)は、あるシステム開発会社A(訴外)へ書籍在庫管理システムを発注しました。しかし、開発は円滑に進まず、改めて原告となるシステム開発会社へ開発を発注します。

その後、原告は検収の段階で「個別出版社対応機能の不足への対応を要求された」と主張します。この追加開発によって開発費用の見積もりが当初より膨れ上がり、追加請負代金の支払いを巡り訴訟へと発展しました。

こちらの事例では、結果として原告であるシステム開発会社が勝訴しています。システム開発会社は、本来Aへ発注されていたシステムと同様のものを受注、構築したに過ぎず、個別出版社対応機能の開発・追加は業務範囲外だと見なされたためです。

そもそも、この事例では依頼側の見積もりに関するリスク管理が甘く、結果として訴訟へと発展した側面があるとも考えられます。

 

システム開発を外注する時のよくある質問

システム開発を外注する時のよくある質問のイメージ図

システム開発を外注する際のよくある質問を以下で紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

  1. フリーランスと開発会社どちらに依頼する?
  2. 開発後のサポートはある?

 

●1.フリーランスと開発会社どちらに依頼する?

システム開発を外注する際、フリーランスのエンジニアに依頼するか、専門の開発会社に依頼するかは、プロジェクトの規模や要件によって判断が必要です。

フリーランスに依頼する最大のメリットは、コストを抑えられる点にあります。開発会社のような中間マージンや管理費がかからないため、費用を節約したい場合に適しています。

また、担当者と直接やり取りができるため、意思決定が早く、柔軟な対応を期待できるのもメリットです。

一方で、対応できる範囲が限定されることが多く、複数人での大規模な開発には不向きな場合があります。また、個人事業主であるため、不具合発生時の責任範囲が曖昧になり、トラブルにつながるリスクや、プロジェクト管理能力が個人によって大きく異なる点も考慮が必要です。

開発会社に依頼するメリットは、信頼性と安定性です。複数のエンジニアやデザイナーがチームで対応するため、大規模で複雑なプロジェクトでも安定した品質が期待できます。

組織として運営されているため、契約やセキュリティ面での信頼性も高く、開発後の保守・運用まで一貫してサポートしてくれる体制が整っていることが多いのも嬉しいポイントです。

しかし、複数の人材が関わるため、フリーランスに比べて費用が高くなる傾向にあります。また、窓口となる担当者を通すため、細かなニュアンスが伝わりにくくなる可能性もあるため注意が必要です。

結論として、小規模な開発や単発のプロジェクトでコストを抑えたい場合は、信頼できるフリーランスを探すのが良いでしょう。一方、大規模な開発や長期的な運用を見据えたプロジェクトで、品質やセキュリティを最優先する場合は、開発会社に依頼するのが賢明です。

 

●2.開発後のサポートはある?

多くの開発会社は、システム開発後の保守・運用サポートを提供しています。これは、システムを安定して稼働させ、不具合や仕様変更に柔軟に対応するためにも、非常に重要なサービスとなります。

サポートの内容は会社によって異なりますが、一般的には、システムの不具合修正やセキュリティアップデート、OSやミドルウェアのバージョンアップ対応、そして機能追加や改善などの仕様変更対応が含まれています。

契約を結ぶ際には、開発後のサポート体制について必ず確認するようにしましょう。特に、どこまでが無償サポートの範囲で、どこからが有償になるのかを明確にしておくことが、後々のトラブルを防ぐ上で大切です。

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